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今の戦闘音でここに誰かがいるという情報はばれただろうがあちこちで戦闘音がしているのでここに来る確率は少ないだろうが用心はしておくに越したことは無い。
「サーチ」
俺の脳内に訓練場を真上から見下ろしたような地図が広がる。
サーチの魔法は魔力を込めるほど索敵でき範囲が広がり、レベルが上がるほど魔力量だったりが正確に分かる様になるらしい。俺はキャラクター設定の時に最大レベルまで上げているので魔力量や形からどこに誰かいるか分かる。
リハンを倒すのにあまり時間が経っていないのにも関わらず8人も退場してることが分かる。ミラはユリと戦闘していて、かなり白熱しているため近づかないほうがいいだろうと思い、俺はミラとユリとは反対側の1番、近い人をターゲットにし、身体強化を付与し一気に距離を詰め、倒すという戦法をとった。
もちろん、俺に倒されたというう事をアピールするために不意打ちなんてことはせず、正面から潰してやった。男子どもは俺の姿を見るなり安心しきった顔をして、エサが来たなどのことを言っていたが、瞬殺してやった。
言葉で今の状況を表すとすれば蹂躙だろう。相手が俺だから油断をしていたと言うのもあるが、単純に俺が強すぎる。次からは手加減をしたほうがいいな。
何か武器を使って極力、魔法を使わなくした方がいいな。今更といった感じだが俺は片手剣を作る。
なんで、片手剣なのとかいうと剣聖スキルをもっているからだ。剣聖スキルは剣術スキルの上位互換だ。
そこからは剣を使って倒そうと思っていだが、終盤だったということもあり剣で1人倒したところで残り1人になってしまった。ミラとユリの戦いはミラに軍配が上がったみたいだ
ここで俺がミラに勝つと、自動的に俺が学年代表となる。落ちこぼれだった奴が学年代表になるのは周りとしてはどういう気分なんだろうな。今頃、風魔法で映し出される映像でミラを必死に応援している事だろう。
サーチでミラの位置を把握したが、訓練場の真ん中の開けたとことで留まっているので俺が来るのを待っているのだろう。
魔力残量的に見てもユリとの戦闘でかなり疲弊したことが窺える。効果の切れかけていた身体強化の付与魔法を掛けてから、ミラがいるところへと向かう。
ミラがいるところへはすぐに着いた。ミラはサーチで俺が近づいたことに気づいたのか、一気に臨戦態勢を取る。
堂々と出ていくとまだ俺だと分かっていてなかったらしく、ミラはとても驚いた様子だった。
「アレク君!?魔法が使える様になったて言ってもここまで残れるってだいぶ凄い魔法を使える様になったの?」
「ミラ、驚きすぎだよ、戦闘が終わったら俺が何の魔法を使える様になったかは言うよ」
「そ、そうだね、それに剣なんて使ったことなんてなかったのに、私の知らないアレク君になった感じがして悲しいよ」
ミラは何気なく言っただけだろうがかなりニアピンだったので、冷や汗が背中を伝う。
「それよりも早く決着をつけよう」
「聞きたいことがいっぱいあるから終わったら覚悟しておいてね」
「わ、わかった」
覚悟をしないといけない質問ってどんな質問なんだ!?
そんな思考に取られたのもわずか数秒で一気に意識を戦闘に集中させていく。
戦闘の合図なんてものは決めていなかったが、ミラと俺は戦い始めた。
互いに距離を詰め、俺は片手剣をミラはレイピアを一閃する。右へ左へと剣を振るう。こちらがどんな魔法を使うか分からない以上、距離を取って戦うことは不利になると踏んだか、接近戦を挑んでくる。
剣聖スキルがどれくらい働くものかの検証を出来るからいいかと思っていたが、ミラは俺が思っていた数倍強かった。パワーやスピードなどの面においてはこちらが優勢なのだが、体の使い方がうまいのと、ミラの剣術が凄いのだ。俺の剣聖スキルが発動しているはずのだが、効果がまるで無い。スキルがあっても自分の素の実力が無いので生かしきれてないのだろう。
素の実力なんてものは一朝一夕で上がるようなものでは無いのでパワーやスピードで力押ししてみたが、うまくいなされ、逆にこちらがピンチに陥る。
このままだと押し切られる可能性があるので、ミラのレイピアを強く押し返してバックステップで距離をとり仕切り直しを図る。
「風の精よ、ウインド」
俺の距離を取りたいという考えを読まれたか、初級魔法のウインドを自分に当てることで距離を詰められてしまう。魔法を自分に当ててくるなんて思いもしていなかった俺はレイピアの刺突によって、軽くダメージを負う。
畳みかけてこようと次々に刺突や斬撃を繰り出してくるが、なんとかそれに対応する―剣聖スキルのオートガードが働いた―。
「やあっ‼」
気合を入れるための掛け声とともに刺突が繰り出される。その剣先を払い、防戦一方の状況を打破するために攻撃に転じた。
「炎の精よ、ファイア‼」
俺はあえて詠唱して、レベル1のファイヤを放つ。ミラは驚異的な反応速度で魔法を避けたが、完全には避けることができず、多少のダメージを負わせることができた。