表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

一つの空白を目指して動き出したハナシ。

作者: nelnel

「焼身の獣」


秋。空。空想は終わらない。わたしという供物を天に捧げ。 私は美しくなる。


第1章

実際のところ、私という存在は全くもって曖昧だ。高鳴る鼓動などなく。私はただ小説家をしている。

もちろん、それは仕事として。くだらない、娼婦の仕事だ。

それを知る前は絵描きを目指していた。結果は残した。完成しないという結果を。


第二章

大体のところ、携帯の電話の連絡は編集からの連絡が多い。大体、あれしろこれしろと五月蝿いのだ。

そら、今も来るぞ。

「もしもし?」

「何すか。荒川編集。用件は的確に」

「君ねぇ…。まあ、いいや。新作の原稿の話なんだけどさ」

「ええ、もちろん進んでいますよ。当然じゃないですか」

これはもちろん嘘だ。三日徹夜したが、一行も書けなかった。誇張なしに。いやホント。

「それは良かった。大学の文化祭の演劇の脚本もあるんだろう? 大丈夫なのか」

その大丈夫は一体何を指しているのだろうか。理解不能だ。

「大丈夫です。終わってます」

これは本当。

「そうか、では新作は大丈夫だね。また三日後に聞かせてくれ」


『ブチッ!』


そういって一方的に叩きられた。

ふ ざ け る な 。


(これだから、回線というやつは嫌いだ。価値がない)


そこで私は頭を掻きむしった。その価値のないという、価値観も。それでは無価値になるではないか。どうしろというのだ。


胃のムカつきというよりも、かえって高鳴る鼓動を押さえ込んで、私は新作の原稿を放り出して大学に向かった。


「結論、小説家は食うにも値しない」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ