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ビーバーに転生⁉

 ―ゴゴゴゴゴ、ゴゴゴゴゴ、ゴゴゴゴー


 今にも雨が降りそうな空と機械音が鳴り響く中、俺はダムの工事をしてた。

 俺は幼い頃、テレビで見た動物の番組でビーバーがダムを作っているところを見て心を打たれた。今思うと何で心を打たれたのか不思議だ。でも、あの頃はビーバーが作ったダムに凄く興味を持ったのだと思う。それからは、ダムの事やビーバーのことを調べ、ダムを造る仕事に就きたいと思ったのだろう。そして、今、幼い頃からの夢を実現する事ができた。

 「雨。…降ってきそうだな」

 灰色に染まった空を見上げていると額に水滴が降ってきた。それに、続くように次々と水滴が降ってきて次第に強くなっていった。

 そう、言ったように雨が降ってきたのだ。

 周りに居た他の作業員たちはカッパをとりに事務所へ向かって行く。俺はそれに釣られるように事務所へ向かった。

 その時だった…

 「うわっ!」

 足を滑らせバランスを崩した。それは、雨で地面が滑りやすくなっていたのだ。

 崩れたバランスを治そうと数歩大股で前に出た。しかし、またしても足を滑らしてそのまま、後ろに倒れた。

 後ろに倒れた先がパイプで作った手すりだった。俺は手すりに全体重をかけるようにもたれた。

 ―バギッ…

 もたれた手すりは鈍い音を鳴らした次の瞬間、手すりが外れた。

 「……えっ?」

 俺は今の状況が理解が出来なかった。目の前には少し黒かかった灰色の雲が広がっていた。そして、さっきまで居た所が遠くに見えた。

 そう、俺は今、仰向けの状態で数十メートルもあるダムから転落したのだ。

 …そして、俺は死んだ。

 …はずだった。

 


 俺は変な違和感を感じた。恐る恐る瞼をゆっくりと広げると眩しい光が先に入ってくる。その後からボンヤリと緑や茶色などが入ってきた。

 ボンヤリとした視界は徐々にクリアになっていた。

俺は目の前の光景を見て目を大きくした。

 それは、俺の目の前には生茂った緑が広がっており、その周りには赤や青色の体をした大柄なトカゲが歩いていた。

 「う、うわー!」

 俺は怖くなり走った。無我夢中で走った。

 ある程度走ったところでふとある事に気づいた。

 それは、視線が低すぎる事だ。そして、4足で走っている事だ。俺はこれまでの事について状態を整理しはじめた。

 「俺は、ダムから転落して、目を覚ましたら森と見たことの無い巨大なトカゲに囲まれていた。それに…この視線の低さ…」

 「…うん。全く分からん」

 全くわからない。情報が足りなすぎる。それにしても喉は乾くし、今とてつもなく水に浸かりたい気分になっている。


 ―ザーザーザー、ザーザーザー、ザーザーザー


 …川の音?

 その音を聞くと何故か身体が聴こえる方へと勝手に動く。

 そして、向かった先には本当に川があった。

 川沿いに駆け寄って川にダイブする瞬間、水面にはビーバーの顔があった。

 しかし、それは…

 「…えっ?…お、俺?」

 川の近くには他のビーバーはいなく。それどころか他の動物すら居なかった。

 この状況よりこの水面に映ってるビーバーは俺となる。

 何で俺、ビーバーになってんの?

 確かに俺、ビーバー好き過ぎて食べ…ペットにしたいと思ってたけど…

 ビーバーになりたいと思った事ないぞ!

 「そ、そうか!これは夢だ!今までのは全て夢!」

 これは夢なんだ。人が動物になるなんて聞いた事なんてない。

 だから、この水には入れば川の感覚なんてない。うん、そうに違いない。

 前足を出し川に浸かった。そのまま、川の中心まで進み身体のほとんどが水に浸かった。

 身体には冷たながらも気持ちよく、毛が流れに添って、だんだん気持ちよくなっていく。

 しばらくして陸へとあがった。

 あっれ〜可笑しいな〜川の感覚しないはずなんだけど?

 だとすると…

 「…ゆ、夢じゃない…だと!」

 もう、認めるしかなかった。

 『俺がビーバーになった』と。

 未だ信じられ無いが仕方ない。夢だと証明する証拠が無いのだから。

 これからどうすればいいんだよ。

 …いや、待てよ。

 ビーバーになったという事はその逆もあるんではないのか?

 人間に戻る方法が…

…ある!

 具体的には分からんがきっとある!それまで、ビーバーライフを満喫しようじゃないか!

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