プロローグ:きっかけはあまりにも突然に
これが小説初挑戦作品です。みなさま宜しくお願い致します。
3月、みなさんはこの季節にどのようなイメージがあるだろうか。世間一般ではもう春と言っていい季節になると思うが、まだ肌寒いので否定したくもなる。学生なら学校の卒業、社会人なら送別会などが終わり、人によっては新生活の準備をしだすこともあるだろう。さて、そんな別れと新しい出会いに気持ちが高揚する季節でもある3月に私こと杉田 明弘は現在、救急車の中にいた。
何か甲高い音が聞こえ目を覚ました。目をゆっくり開け何か乗り物に乗っていた。周りをゆっくり見ると見たこともない機械が置いてあり、白いヘルメットかぶりマスクをしている方がいたから救急車の中なんだと理解した。何があったのかを少しずつ思い出してきた。
俺は休日に小学校時代からの友人でもある斉藤雄二と遊びにいった帰りのことだ。
「もうすぐ中学卒業かー、もうちょっと中学生活を楽しみてえなぁ」
「そうか?俺は高校言ったらバイトも出来るから、遊びの幅が増えるから楽しみだけどな」
「俺は高校行っても野球するんだからバイトしてる余裕がねえんだよ、そこは帰宅部のうらやましいとこだよなぁ。」
「そう思うなら、部活辞めればいいのに…」
「バカやろう!部活は学生時代にか味わえないものがあるんだよ、あと女子にモテる!!」
この男は野球部の4番でエース、顔もそこそこイケメンなのでモテることはモテるのだが女性に節操が無い為、好きになった人にはすぐに告白、付き合ってもすぐ振られるというめちゃくちゃな学生生活を送っていた。ちなみに、最初のころは話題にしていたクラスメイトも、告白回数が二桁を超えたあたりから、関心がなくなった。
「高校入ったら新しい出会いが待っているからな、今から楽しみだぜ!」
「…お前そのうち後ろから刺されそうだな」
そんな他愛もない会話しながら俺たちはわかれた。
帰り道を歩いていたら左から車が着たので通り過ぎるのを待つことにした、すると後ろから小学生が飛び出して車道に出てしまった。
引かれると思った瞬間、俺はその子を抱えて逃げようとしたが間に合わず車に引かれてしまった。
…意識があるということは助かったということか。
隊員の方が意識を取り戻したのに気づき、
「大丈夫ですか!声は聞こえますか!」
はい、大丈夫です!とすぐに返事が出来なかった。理由は簡単だ、大丈夫じゃなかったからだ。
体は特別痛いところはないし、言ってることも理解できるのでたぶん大丈夫だ。
じゃあ何がダメなのか、理由は簡単だ。隊員の頭上に数字が見えるのだ、しかも秒単位で減っている。
俺は恐る恐る聞いてみることにした。
「――その頭上の数字はなんですか?」
そのまま隊員の人たちは黙ってしまった。
「う~ん…特に異常は見当たらないけどなぁ…」
白衣を着た中年の先生が俺のレントゲンを見ながら唸っていた。どうやら隊員の人たちが頭に異常があると判断されてしまったらしい。俺は近くの市立病院についてからはあらゆる精密検査を受けさせられた。
「とりあえず、体に異常は見当たらないから、精神安定剤だけだしておきますね。」
「あれ、帰っても大丈夫なんですか?」
「うん、体に異常も見当たらないし後日また来ていただこうかと思います。
先ほどご家族の方が電話したからお迎えが来ると思うよ。」
俺はしぶしぶ部屋を出て、エントランスに向かおうとした時、先ほど庇って助けた小学生と親御さんが
待っていた。助けた子供に関しては無傷で無事だということは救急隊員の方から聞いていた為しっていた。
ご家族はこちらに気付き小走りに近づいてきた。
「この度は息子を助けて頂き本当にありがとうございます!いくら感謝してもしきれませんが本当にありがとうございます」
「いえ、息子さんが無事で安心しました、今度からはちゃんと左右を気にしないとだめだよ」
「ごめんなさい」
本当に反省しているみたいなので、これ以上は何も言わないことにした。
「あの、よろしければご自宅までお送りしましょうか?」
「ああ、いえ、実はこの後親が迎えに来てくれるみたいですので大丈夫ですよ」
その場でご家族とは別れ、俺はエントランスで親の到着を待つことにした。
中学卒業前に大きな怪我をしなくてよかったと思ったが、
「いつまで見えるんだよ…この数字…」
相変わらず頭上の数字は見えている、おまけにすべての人の頭上にだ。それぞれ数は違うがみんな秒単位で減っている。正直、これだけの人の頭上で数字がごちゃごちゃしてると気持ち悪くなってくる。
精密検査中に鏡越しに見てみたら頭上にはなにも写ってなかった。どうやら自分の目で直接見ないとだめらしい。ためしに先生の頭上にある数字を触ろうとしたが、何も起こらなかった。
代わりに先生から可哀想な物を見る目をされた。
そうこう考えていると、一人の患者さんらしき人の数字が0にどんどん近づいて行くのが見えた。
――あと五分くらいかな。
と思った瞬間、その人が急に苦しみだし倒れた。
周りも騒ぎだし看護師さんが先生を呼びに走っていく。
その間も数字はどんどん減っていき、先生が到着したと同時に数字が〇になった。医者の先生は患者の容体を調べようとしたが、苦い顔をした。
近くにいた看護師に何か言ってその場で心臓マッサージを開始した。
そのまま患者は運ばれていった、俺はその光景から目にして、はじめてこの数字の意味をしった。
続きは5月24日以降に投稿致しますのでみなさま宜しくお願い致します。