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リザードマンは妻と娘の待つ世界に帰りたい  作者: 須藤 蓮司


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11/24

11話

パソコンぶっ壊れたので中古のノートPC買いました。

1万2~3千円でそこそこのパソコンが買える時代に驚愕。

 乱戦が始まった。



 相手は糞ボスの取り巻き共が25~30匹程。

 相対する俺達はヒカゲ青年を抜いた同期達6匹。


 数ではあっちが有利な上、アイツ等はあれでも歴戦のリザードマン達だ。

 …こいつは中々、厳しい勝負になりそうだな。



 …なんて思っていた時期が、俺にもありました。



『…な、なぁアギト兄。なんつーか…。』 


『…やっぱり、ノーキン兄貴もそう思うっスか?』


『…意外なんよ。』


 …お前等の言いたい事は分かる。

 正直俺も予想外だったわ。



『『『『…コイツら、なんか弱くね?』』』』



 取り巻き共クッソ弱いわ。

 俺やノーキンなら大体一~二撃で終わる。

 カリブやドクロ達でも三人ワンセットで戦えばまず苦戦はしていない様子。

 …って言うのも、俺達の少し後方の樹上から、さっきからまるでレーザーみたいな速度の矢が飛来しては、攻めづらい場所にいる奴の手足を貫いて行動不能にしているから。


 キザの野郎だ。

 …アイツ、俺がついさっき思い付きで話した魔法の運用方法を、実践でいきなりやってみせやがった。

 風の魔法を纏った矢は、まるで生き物のようにグネグネと進路を変えながら(まと)へと飛んでいく。


 なんすかソレー、めっちゃカッコイイじゃないですかー。


 あ、じゃあ俺も必殺の爆裂魔法をお見舞いしちゃおうかな。


『…ちょっ!何魔石取り出してんスか!兄貴は魔法禁止っス!』


『まだ精度が甘いってヒカゲ先輩に言われてたじゃないですか!俺達にも当たっちゃいますよ!』


 いーじゃんケチ臭い、ちょっとだけだって!

 お前等なら一発当たった位じゃあ死なないだろ?

 …それだけ、強くなったからな。


『…兄貴…。』


『ノーキンの兄貴!簡単に騙されないで下さいって!』


『やっぱ巻き込む気満々だったんスね!』


 …ちっ、気付きやがったか。

 連中、知力も多少上がってきてやがるな。

 …ノーキン以外は。


 まぁそれは置いておいて、実際馬鹿みたいに強くなったよな、お前等。

 今なら気ぃつければ火吹き鳥位なら狩れるんじゃねーの?

 単独で。


『いや…まぁ出来なくは無い気もしますけど、やりたくは無いっスね…。』


『それよりも、襲い来る相手を雑談を交えながら、一人であしらってる兄貴達の方が異常ですよ。…俺等、こう見えて結構必死なのに。』


 コイツらビックリする程動きが単調だからな。

 どいつもこいつも初撃から急所狙いのフルスイングだし。

 …多分、これが魔物相手の猟での「必勝パターン」なんだろうけど…。


 歴戦の猛者達でコレなんだから、やっぱリザードマンは脳筋種族だわ。


 …ん?

 そういう意味で考えると、ノーキンもアイツ等よりは多少頭が回るって事か?

 …。

 …。


『…そりゃあ少しは慣れるって…。アギト兄ィが俺を〆る時だって、いつも急所狙いのフルスイングじゃんか…。』


 …マジか。

 俺も脳筋だったのか。


 …いやいや、アレは相手がノーキンだからだし。

 …ちゃんと分かっててやってたし。

 今回だって相手の動きに合わせて戦ってるもんね。


 風切音と共に俺の顔スレスレを矢が通過した。

 その矢は、俺の後ろから首チョンパを狙っていた奴の肩へと突き立つ。

 肩をおさえて悶絶するリザードマンの顔面に、ワンテンポ遅れで俺のパンチがめり込んだ。


『…お前等…流石に気を抜き過ぎだ。』


 べっ…別に、ボケッとしてたワケじゃ無いんだからねっ!

 ちゃんと後ろから来てたのも分かってたんだからねっ!


 …何だよその目は。

 分かったよ、じゃあ残りのは俺が片付けるよクソっ!


『…さっきの奴で、最後だ。』


 …。


 …そういえば、青年の方はどうなったかなぁ…?




『…いい加減に、もう諦めたらどうですか?』


『…うるせぇっ!!さっきからチョコマカチョコマカと飛び回りやがって…!!』



 あれ?まだ続いてた。

 てっきりヤケクソになった糞野郎が燃やされてて、これが本当の焼け糞だな!ってなってると思ってたのに。


『…どうやら貴方の手下は、みんな倒されたようですが?』


『…!?なっ…!?』


 …ああ、俺達が倒しきるの待ってたのね。

 そりゃあ待たせてスマンかったね。


『何で手練のリザードマンが、生まれたばっかのガキ共に殺られてんだよっ!?…畜生っ…俺は認めねぇぞ!?…何がウイザードだ!飛び回ってるだけのテメエなんか全然怖かぁ無ぇぜ!!』


 いや、殺ってないし。

 大怪我負わせて虫の息だから動けないだろうけど。


 それにしても、こりゃあ実力で分からせないとダメだな。

 叩きのめ…すのは、ヒカゲ青年には無理かなぁ、性格的に…。

 …仕方無い、ここは俺等で…。


『…仕方がありませんね。』


 お?何だ?

 …青年、珍しく怖い顔して…。


 …うおっ!!ビックリした!!


 …糞ボスを取り囲むように、幾つもの火の玉がっ!?


『なっ!?なんだこりゃあっ!?』


『僕が5つ数える間に負けを認めなければ…命の保障はできかねます。』


 ヒカゲ青年がそう宣言すると、風に煽られたようにユラリと炎が回転を始めた。

 …アレだアレ、地震なんかの後に起こるっていう…火炎旋風だっけか?

 あんな感じの炎の竜巻が、糞ボスを焼き殺さんと範囲を狭めながら回転し続けている。


『…5…4…。』


『…!!』


 ジリジリと縮まって行く炎の向こう側で、糞ボスの影が転げ回る。


『…3…2…。』


 …あ、アレは気付いて無いな。

 冷静な青年にしては珍しいな。

 …まぁ彼もイラついてたのかもな、仕方無いね。


『…1…!』


 …あ〜、青年よ。

 糞ボスはギブアップしようにも、声が出せんハズだぞ。

 …こんな炎の竜巻の中心にいたら、呼吸はおろか口やら気管やらも焼かれてるだろうしな。


『…あ。』


 ハッとした青年が炎の術を掻き消したが、後のフェスティバルだった。


 円形に焼け焦げた地面の中心で、今だ燃え続ける糞。

 俺は仕方なくバーニングシットに歩み寄り、地面を掘って土をぶっかけた。

 俺は躾が出来たリザードマンだからな、糞にはちゃんと土をかけて処理するぜ!



 …黒コゲになったその気色悪い物体は、なんと辛うじて生きていた。

 腐ってもリザードマンの群れのボスだな。

 すげえぞ!!さすが超越者ボス!!ほんとに死なねえぜ!!


『…うっかりだったな…炎での酸欠や、高温での自然発火を失念してたなんて…。』


 仕方が無ぇんじゃねーの?

 俺だって火炎旋風の詳細な内容なんて覚えて無ぇし、青年だって初めて使ったんだろう?

 殺されなかっただけ有り難いって話だぜ。


 おいノーキン!いつかの薬草持って来て、適当にコイツに貼っておけ!

 内側の火傷は…知らねぇけど、適当に煎じて飲ませでもすれば良んじゃね?

 あ、他のリザードマン共もついでにな。

 …どいつも大怪我だけど、まぁリザードマンならあの程度じゃ死なんだろう。


 …つーか襲って来た相手を介抱してやるとか面倒臭ぇな!!

 前回カッコつけて「同族殺害ともぐいを始めよう…」みたいな事言っちゃったのによぉ、俺。


 …正直、あの夢の言葉が気になってんだよなぁ。

 なんか「善行を積め」とか言ってたし。

 …深読みするとさぁ、もしかして悪行はしちゃアカンのか?って考えにもなるじゃん?


『…恐ろしい威力だったね…おまけに使用魔力もほどほどだった。本当に、君の発想には毎回驚かされるよ。』


 まあソレは、思いつきで言った俺も驚いてるよ。

 …あ、こっからは面倒くさい話するから飛ばしてもらってOKよ?




 炎の魔法を使うには、魔力を燃焼する物に変換する必要がある。

 炎が燃え続ける限り燃料は消費されるから、絶えず魔力を変換し続けなくちゃいけない。

 そんなもん魔力がいくらあっても足りん。


 だから、俺は昼飯の準備をしていたヒカゲ青年にもう一つ、風の魔石を渡した。

 んでもって、飯食った後にでも試してみてもらおうと、思いついた事を伝えてた。


 最初に火の魔石で種火を作り出し、次に風の魔石で風を起こす。

 …要は焚き火を風で煽ってやろうってこと。

 炎の燃焼に必要な酸素なんかは元からそこらにあるんだから、ある物を使う分には魔力消費とか関係無いだろうって。

 それに一つの大きな魔法を維持し続けるよりも、別々の小さな事象を起こす魔法を使う方が燃費良いんじゃないかね?


 …俺が思いついて伝えたのは、その程度の事だったんだが。

 あんな適当な思いつきから、まさかこんな大魔法に発展するとはねぇ…。


 炎によって発生した上昇気流が、風をうけて渦巻状に立ち上ったのか?

 …記憶が曖昧だけど、竜巻とかってたしかそんな原理だったよな?

 …青年にしてみれば偶然なのかもしれんが、まさか魔法で災害を再現するとは…。


 それにしても、複数の魔石で一つの魔法って発想は中々に上手くいった。

 多分あの飛行魔法も、上昇気流以外にも姿勢維持なんかに風の魔石を使って成功したんだろう。


 …ん?今更ながら、風の魔石で魔法を使うのって、どんなイメージすりゃいいんだ?

 …扇風機みたいな回転エネルギー?

 …空気を圧縮して撃ち出す?

 …なんか変換のイメージがいまいち出来んのだが、まぁ落ち着いたら後で青年に聞いてみるか。



 …とりあえず。



 勝ったな青年。

 いや、青年ボスって呼んだほうが良いか?


『…できれば、止めて欲しいかな?…流石に君からそう呼ばれるのは、ひどい違和感を覚えるよ。』


 …もろちん…じゃ無かった。

 …もちろん冗談よ?

 俺は今更、青年にかしこまる気は無ぇからな。


 さてさて、そんじゃあ俺も後片付けでも手伝うかね。

 んでもって、帰ったら今夜はパーッと騒ごうじゃねーの。

 なんたって群れのボスが変わったんだからな。


 …食料庫の中身をスッカラカンにしてやるぜ!

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