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1話

よろしくお願いします。


 ふと気がつけば、えらく狭くて薄暗い空間に閉じ込められていた。



 …なんだコレ、状況がわからんのだが。



 …いや、まてよ。


 なんか霞がかかったみたいに記憶が曖昧なんだが、幾つかはうっすらと思い出せる。


 …死んだんだっけ?

 …いや、多分死んではいなかった気がするが、何かトラブルがあったのは確かだ。


 で、信じられないことに『転生』したんだったな、俺。


 何か…神さまじゃあ無いんだけど…そんな感じの奴と話をした気がする。


 なんだっけなぁ…?

 何か、大事な事を忘れてる気がするんだけど…。

 とりあえずそれはここから脱出してから考えるとしよう。



 …つーか、何なんだここは。


 壁を手で押すと何かブニョブニョっとしてて、不思議な弾力がある。


 外の光も少しばかり透けていて、たまに大きな影が前を横切ったりしてるのが見える。



 …とか考えているうちに、俺はある事実に気が付いてしまった。


 …なんか、だんだんと狭くなってきちゃあいませんか?


 最初は多少手足を動かす余裕があったんだけど、今では指を動かすのがやっとだ。


 …まずい!

 状況はまったく分からんが、このままだと圧死するぞ俺っ!

 折角転生したっぽいのに!!


 変な姿勢で力を込めにくいんだが、無理矢理に両腕を突っ張って壁を歪ます。

 そんでもって、引っ張られて下がってきた天井に、今できる渾身の頭突きをお見舞いした。


(こなくそっ、どりゃっ!!)


 …すると、どうだろう。

 張りつめた弓の弦が切れるように…いや、水羊羹に楊枝を指したように、突然ぷつりと天井に亀裂が入り、そこからチュルンと押し出されるように俺の体は外へと排出された。



 …小石が転がる地面へと、乱暴に投げ出される俺の体。


 …幸いなことにそんなに痛くはないが、寝心地は最悪だ。


 俺は起き上がろうと手足に力を込めて体を起こし…。



 …再び、無様に転がった。



 あれっ?何だこれ、立てない?


 …ここでやっと、自分の転生がゼロスタートのタイプだと気がついた。


 …あ、俺赤ん坊か!

 じゃあさっきまでいた場所は、母親の胎内…?


 …違うな。

 外が透けてたし。

 じゃあアレって何だったんだ?


 そう思って、首を自分の出てきた方向に向けると。


 薄~い殻が破れて、ふにゃりと歪んだ、白い卵がそこにあった。



 ピーンと来たね。

「ああ、俺、人じゃ無ぇわ」って。


 んで、そんな俺の後にいつの間にやら大きな影が。


 あ、コレ殻の内側からよく見た影だわ。


 そんな事を考えながら、今度は首を影の方向へと向けてみれば。



『…フシュッ!…ギャッ!ギャッ!!』



 …二足歩行の巨大なトカゲが、俺を見て奇声をあげていたのだった。

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