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第三章 夢

翌日。私は何度も夢に魘されていた。その内容は、その時時によって違う。でも、最近よく見る夢。

あたしに似た子が、桜の下で涙を流しているのだ。大きな目から、大粒の涙を零しているのだ。その膝元には、廣瀬君に似た人物が寝そべっていた。と言うより、亡くなっていたのだ。


小さな声で何かを言ってるんだけど、全く聞こえ消えない。けれど、誰かの名前を呼んでいた。多分、亡くなったその人のこと。服装は、現代に少し近かった。その男の人は、如何にも病院で入院をしている様な服装だった。女性の方は、制服だった。スカートは赤と黒と緑のチェック。それで、ブラウスの半袖を着ていた。あの制服は、森山大の制服。あたしが目指している学校だった。

「何で・・・?」



私は、誰にも話そうとはしなかった。もしそんなことを言って、笑いものにされたら、いてもたってもいられなくなる。

「どーした、薫。落ち込んだ顔しちゃって。・・・何かあったの?」

七瀬ちゃんが話し掛けてきた。その隣で愛加ちゃんも心配そうな顔をしていた。

「悩みがあるなら聞かせて?薫ちゃん。」

と言っているようにも見えた。

「じゃぁ、聞いて貰おうかな。」

私は、気持ちは落ち込ませたまま、笑顔を作った。まさに、空元気と言う奴だ。

私は、最近見ている夢の事を全て話した。何故か、私と廣瀬君に似ている人物が出てくる事。それから、廣瀬君に似た人物は亡くなっていると言う事。私に似た人物は桜の木下で、廣瀬君に似た人物を見て泣いているという事。私に似た人物は、森山大の制服を着ているという事。

「おかしな話ねぇ、それ。」

七瀬が、そんなことをぼやいた。

「うん。」

「そうじゃなくって、私が思うにその夢、未来のあんた達に起こることなんだよ。」

「えっ」

と、愛加ちゃんと同時に驚いた。

「夢で、未来のことを見ることを予知夢って言うの。大体は自分の体を守るためだったりとかが多いんだけどね。でも、彼が死ぬ病気を抱えているってのは確かなのかも。時々、歌歌うときにの喉を掴むの。」

「そうなの?」

そう言えばそうだった。彼、歌うときに喉を掴んで顔を顰めていた。

「そうなのよ。ファンの中では、色々噂が飛び交っているらしいわよ。」

「噂?」

「それならあたしも知ってる。『病院に通ってるのを見た』とか。あと、半年後に死ぬかも知れないって噂。」

半年後って言ったら、春ぐらいか。

「みんな、大変よ。」

女子たちがそう叫んだ。私は何かと思いそっちを向いた。

「ブラストが解散するって。」

「えっ?」

女子たちが、なんでーと悲鳴の様な声をあげていた。

「詳しい理由は知らないんだけど、これ薫にって」

ブラストが解散すると言った張本人曰く、わたしの幼馴染みの石川萠。可愛くて、情報屋で、優しくて。人っていう感じ。

「最後のライブだから、薫に見て欲しいらしいの。ほら、あそこ。」

そう言って、萠はドアの所を指さした。そして、私にチケットを渡すと、私に行けって言う意味で背中を押してくれた。私は迷わず、廣瀬君の元へと向かった。

「廣瀬くん、これありがとう。」

廣瀬君にさっき預かったチケットを見せた。

「こっちこそ・・・。」

照れたような顔をしながらそう言った。

「あの」

二人同時に、そう言っていた。

「先言えよ。」

「うん。最近ね、変な夢を見るの。」

「夢?」

「うん。その時時によって違うんだけどね。

何故か出てくる人が、わたし達に似た人物なの。それでねっ」

「ちょっと待って。それってこんな内容?薫さんに似た人の膝の上に、俺に似た人が亡くなっていて、薫さんに似た人が泣いているって言う?」

「そうなの。えっ、でも何で。」

「俺も、最近似た様な夢を見るんだ。んで、俺の話聞いてくれる?」

「うん。」

「俺、喉に病気を抱えて居るんだ。それで命の危険性もあるって言われて。それを仲間に相談したんだ。そしたら、今日で最後にして、解散しよう。って言う事になって。」

七瀬ちゃんと愛加ちゃんが言ったことは正しかった。でも、何が正しいのかなんて、私には分からない。

「ねえ、今日、ブラストのメンバーに合わせてくれない?」

「えっ?いいけど。」


そして放課後。

ライブが始まる前に、スタンバイ場所で会わせてもらった。

「こんにちは。初めまして、永瀬薫です。宜しくお願いします。」

「この前ステージに上がってきたこだよね?俺は城崎憂辭宜しく。」

「何?唯斗の彼女?可愛いね。俺は宮磨汐。宜しくね。」

「るせーよ。汐。そいやー憂辭、望菜希は?」

と、廣瀬君が城崎君に聞いたとき、パパーと言う声が聞こえた。その子は、城崎君に抱きついて離れない。ぽかんとしてる私に、廣瀬君が教えてくれた。

「あれ、憂辭の子供。そして、あれが奥さん。」

と言って差した先には、私ぐらいの女性がいた。お淑やかで、綺麗で・・・。とても、言葉では表せない。

「そ言えば、薫ちゃんだっけ?」

「はい」

「君、永瀬湊の娘さんだろ?」

「何でそれを?」

「俺と、憂辭。湊とバンドやってたんだよ。バンド名はブラスト。」

あっ、そう言えば。何故か、ブラストっていうバンド名に聞き覚えがあったんだ。だからか。

「んでね、薫ちゃんと唯斗は・・・」

「それを言うなっ!!!」

「何で?大事なことじゃん。」

「だけど言うな。」

私は、宮磨君のいいかけた言葉が気になった。

「薫ちゃんと唯斗は・・・」

何なの?私と廣瀬君に何があるの?

私は、その疑問が頭に残り、離れなかった。


最期のライブ。

あの言いかけていた言葉の続きが気になって、いい曲のはずの歌さえ聞こえなかった。

「・・・る、薫。」

「あゎゎゎ、ひ、廣瀬君。」

今、聞き逃してたけど、〝薫〟って言ったの?

「どうしたの、そんな顔して。」

「あっ、うっ、ううん。何でもないの。」

「話が在るんだけど。」

「何?」

「いや、ここではちょっと。」

人に聞かれたくない話・・・。何だろうか?


そして、このスタジオの真向かいにある、ファミレスに入った。

「いらっしゃいませー、2名様ですね。こちらへどうぞ。」

ウェイターの女の人が、禁煙席の方へと案内してくれた。私達は、向かい合って座った。

「注文がお決まりになりましたら、チャイムでお呼びください。」

一礼して、ウェイターさんは、去っていった。

「それで、話なんだけど。」

「うん。」

「俺とお前は、兄妹なんだ。」

えっ?私達が、兄妹・・・なの・・・?

私は、そんな単刀直入の告白(言葉)に唯唯、黙ってることしか出来なかった。

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