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・図書委員の私(わたくし)から

とある企画に悪ふざけで執筆して投稿したものですが、せっかくなのでこちらにも掲載させていただきました。

なお、掌編集としてまとめていますが、『誰かに宛てて~』ということ以外に共通性はありません。

「あっ、うん……」

 おろしたショーツを足首にかけたまま右手で自分の中心をかき混ぜます。反対の左手は乱れた制服の下から指を這わして乳首を刺激。

 動かせば動かすほどに快感は高まり、私を高い位置へと押しあげていきます。

 なによりも、神聖な学舎まなびやでこんなことをしているという背徳感が、私の中に渦巻く快楽を倍増させました。


「あっ、あっ、うん……あっ……」

 声の抑えが効かなくなり、そのことで自らの高まりを実感します。

 呼吸が乱れ、体内からあふれた滴がどんどんこぼれでていきます。


「あっあっあっあっ、もう、もう……!」

 やがて意識が肉体から飛び出し、天へと昇ろうとします。


「私、もう……」



 ピピピピッーー!



「ひゃっ」

 突然なり出したアラームに驚いてしまい、指がとまってしまいます。

 私はあわてて時計のスイッチをたたき、鳴り響く電子音をとめました。


「はぁ、もうこんな時間ですか。あとちょっとでしたのに……」

 恨めしい気持ちを時計にぶつけますが、アナログ時計の針が逆回転することはありません。

 いまの中断で、せっかくもりあがっていた気分に水を差されてしまいました。もういちど盛り上げようとしても時間がかかってしまうにちがいありません。そもそもタイムリミットを知らせるためにアラームをセットして置いたのですから、これ以上は続けることはできません。


 名残惜しく思いつつも、椅子から立ち上がり図書室の窓から外をみます。すると、まばらながらに登校してくる生徒たちの姿がみえました。

 こんな時間から図書室を利用する人はとても稀ですが、やはり今日の日課はここで終わらせるしかないでしょう。


 朝の図書室の管理は私に一任され、先生が確認しにくることはありません。本は盗難が盗まれないようにIDチップが仕込まれていますし、図書委員である私が待機しているので問題は起こらないと、先生は考えているのでしょう。優等生というのは、こういうとき信用を得られて便利です。そんな理由で鍵の管理を任された早朝の図書室は私のプライベートスペースなのです。

 私が日課をおこなうのはこの時間、この場所だけ。以前はときどきですが家でもしていたのですが、不思議と達することができず、この場所でのみでするようになりました。

 図書室ここでしか満足できないのは、私が本好きなせいなのでしょうか。あるいは室内にただよう本特有の紙の香りが私をリラックスさせてくれるのかもしれません。

 ここでしかできないそのことは、徐々に回数を増やしていき、いつのまにか日課となっていたのです。


「それにしても……」

 ため息が漏れてしまいます。

 この日課は当然人のいる放課後にはおこなうことができません。さらにタイミングが悪いことに今日は土曜日です。なので月曜日まで私はこのモヤモヤを引きずらなければならないのです。


「あと、ちょっとでしたのに」

 後ろ髪を引かれる思いはありますが、それでも用心をおこたるわけにはいきません。その場の欲に呑まれてはお猿さんと一緒です。私は理性ある淑女なのですから、慎みをもたないといけません。


「さっ、片付けをしてしまわないと」

 気分を入れ替え、汚してしまった床と椅子を掃除しましょう。こんな跡を衆目に晒しては、今後の日課に障るかもしれませんし。

 その前におろしたままのショーツをあげないと。しかし、ポーチに手を入れたところで自らのミスに気づきました。


「私としたことが……ティッシュがありません」

 床や椅子を拭くにはぞうきんを使えばよいですが、自分のデリケートな部分をそんなもので拭くわけにはいけません。


「なにか、拭けるものはないでしょうか」

 ショーツをあげられぬまま、あたりをうろうろと捜しまわります。

 すると、誰かの忘れ物でしょうか。カウンターの引き出しに習字用の半紙をみつけました。


「これを一枚拝借させていただきましょう」

 透明なビニールから半紙を抜き出すと丁寧に身体にあて、そこにのこった水気を吸わせます。

 ティッシュとは異なる硬くツルッとした紙面が妙な感じです。さらには水分を吸った紙が敏感な部分にくっつき、剥がすのにピリピリ刺激がしました。それでも紙は問題なく剥がれ、水分を拭うという目的は達せられました。


「ふぅ、これで問題ありません」

 ショーツをあげて壁にかけられた鏡をのぞき込み、胸元のスカーフをなおします。それと一緒に髪が乱れていないかもチェックします。それが終わると今度は床と椅子の掃除をします。


「……これで大丈夫ですね。今朝も何事もなく終わりました」

 ですが、ふとテーブルに視線を向けると、さきほど拭いた半紙がそのまま残っていました。


「あぶなかったです」

 私は半紙を処分しようと手にとります。このまま丸めてゴミ箱に入れてしまえば証拠隠滅です。

 ですが、生乾きでシワのついた半紙をみたら、ほんのりとイタズラ心が芽生えました。

 マジックをとりし、半紙のシワになった部分を中心に下品な記号を描き加えます。


 クス。


 自分でしたことに笑みがこみあげます。


「もう一筆添えましょう」

 さらにマジックを動かし『あなたの精液かけてください』と、半紙に描き込みました。

 自分でもこんなことをするなんて信じられません。ひょっとしたらお預けの不満が、まだ身体に燻っているのかもしれません。

 そして、本棚の間を歩き一冊の本を抜くと、半分に折りたたんだ半紙を間に挟みます。


「ふふっ、誰か見つけてくれるでしょうか?」

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