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それぞれの役割

 “しょうせつのがっこう”の先生に言われた通り、マン・ネリカは自分の書いた小説をコンクールに出品しました。それから、審査が終わるまでの期間に、次の作品を書き始めます。それは、人に見せる用の小説ではなく、自分の為の小説でした。


 マン・ネリカは、非常に執筆速度が速い方でしたので、次から次へと作品が完成していきます。書きたくもない小説を書かされたストレスもあったかも知れません。

「こんな小説、本当は書きたくはないのだけど。でも、人々が望むのならば仕方がない」

 そういった思いで書き上げた作品を学校に提出し、コンクールに出します。その時に、マン・ネリカの心の底に何かが溜まっていくのです。暗く鬱屈した邪悪な思いが…


 そうして、心の底に溜まったその思いを糧に、マン・ネリカは、さらなる作品を生み出していきました。ただし、それらは人には見せません。世間に公開する用の作品と、自分の為に書いた作品とをキッチリわけて管理するようになっていったのです。

 それは、実にいい傾向でした。自分の為に書いた作品を人々に見せた所で、どうせいい評価はもらえません。それどころか、作品は全く理解されず、飛んでくるのは罵詈雑言ばかり。それでは、お互いに得をしません。


 この時、マン・ネリカは“それぞれの役割”というものを学びました。人には人の役割がある。物には物の役割というものがある。どんなに立派な作品も、史上最高の傑作も、それを理解してくれる人がいなければ、意味はない。それは、単なるゴミクズと同じなのです。


 こうして、自分の為に書いた方の小説は、箱の中にしまい、箱には鍵をかけておくようになりました。その作品たちが正当な評価をくだされて真価を発揮するまでには、まだ長い時を必要とします。その時を待ち、ゆっくりと長い眠りについたのでした…

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