街の人の意見
“しょうせつのがっこう”の先生に怒られたマン・ネリカは、試しに街の人に意見を聞いてみることにしました。
まずは、小説を2作用意します。1作は、マン・ネリカ渾身の作。全身全霊を賭けて、実力の全てを叩き込んだ傑作です。少なくとも、マン・ネリカ自身は、そう思っていました。
もう1作は、適当に書いた小説。学校の先生が言うように、みんなが書いているような決まり切った形式に従った普通の小説です。オリジナリティのカケラもありません。
こうして、マン・ネリカは、街へとでかけ、2つの小説を見せて、街の人の反応を覗いました。すると…
片方は大絶賛の嵐です!
「素晴らしい!これは世紀の大傑作だ!」
「おもしろい!もっと続きを読んでみたいわ!私に、この小説の続きをちょうだい!」
「これは、どこに行ったら、買えるんだい?何?君が自分で書いたから、本屋では買えないって?出版社は、何をやっているんだ!この小説を、さっさと出版したまえ!」
それに引き替え、もう片方の作品は、酷評しか聞かれません。
「何だ、これは?ゴミクズだな」
「何が書いてあるのか、サッパリわからないわ。こういうのは、小説とは言えないわね」
「ああ~、いるんだよね。こういう勘違い野郎。こういうものを本格的な小説だとか何とか称して、お高くとまってる奴。全然理解できないっつーの!オレは、こういうの書く奴は大ッ嫌いだね!!」
残念ながら、絶賛されたのは適当に書いた方の小説で、酷評だったのはマン・ネリカが傑作だと信じて疑わなかった方の作品でした。