マン・ネリカ、旅に出る
小説の書けなくなってしまったマン・ネリカに生きる価値などありません。なにしろ、他には何もできない人間なのですから。
「私は、これからどうすればいいのかしら…」
泣くのをやめたマン・ネリカでしたが、何をすればいいのかはわかりません。途方に暮れたまま、日々を過ごします。
そんな、ある日、マン・ネリカは思いつきました。
「そうだわ。外国に行ってみよう。そうして、海外の小説に触れてみよう。そこから何か学べるかも知れない。新しい発見があるかも知れない」
悪い人たちにお金を使われたり、持ち逃げされたりして、貯金はほとんど残っていませんでした。けれども、幸いにも借金はありません。しかも、小説がたくさん売れていた時に購入した大きな家があったのです。その家をサッと売り払うと、いくらかのお金が手元に残りました。
そうして、外国へ行く船のチケットを購入すると、マン・ネリカはサッと船に飛び乗りました。
船の旅は優雅なものでした。最初は船酔いなどに悩まされたマン・ネリカでしたが、しだいにそれにも慣れてきて、船から見える空や海を眺めて楽しみました。海も空も果てしなくどこまでも続いています。広い広い青空の下で潮風に吹かれていると、自然と空想が膨らんでいきます。
ほんのちょっとですが、昔の力が戻ってくる気がしたマン・ネリカでした。
そうこうしている内に、船は別の国へと到着しました。
マン・ネリカは、船から降りると、見知らぬ街を歩き回ります。テレビや映画の画面で見たコトはあっても、実際にその目で見るのは初めてです。
それからマン・ネリカは、街の本屋さんへと足を運び、店内をゆったりと見て回りました。




