田間ちゃんと大学デビュー
友人の田間のはなしです。最後のほうにノーマルではない表現があるので注意。
田間には仲のよい友人が二人いる。一人は姉御肌で美人、一人は天の邪鬼で可愛い。
「大学デビュー」した田間には、入学当時は友人がいなかった。以前の田間を知っている知人たちには遠巻きにされたし、大学で知り合った同じ学科の学生には嫌煙された。
理由は田間があまりにも「モテ系女子」を意識しすぎたからである。見本にした雑誌がソレだったために、蜂蜜色の巻き髪(長さはまだセミロングには足りなかった)、甘めのワンピースにばっちり愛されメイクな田間は、女子友達ができにくかった。
かといって、男子「友達」ができるわけでもない。声をかけてくる男は田間と友達よりオトモダチを目指していたし、彼らのいうオトモダチが健全でないことはなんとなく分かった。
因みに、今現在も女友達よりは男トモダチのほうが多い。
その辺りは妥協している。
「宮田って、愛したがりよね」
講義後、三人で学食の夕方限定アイスクリームを食べていた。
「田間は愛されたがりじゃん」
うーん、そうかも、と田間はチョコミントに舌を伸ばす。田間は棒付きアイスは舐めとる派だが、宮田はかじりとる派だ。抹茶あずきの選択が渋い。
「間宮はどうかしら、」
「間宮はなー、」
一人カップのレモンシャーベットを削りとろうと格闘中の間宮は聞いちゃいない。
「一番恋愛に興味なさそうな人が、彼氏もち」
田間はついついため息をついた。
「なに、田間は彼氏ほしいわけ」
「せっかくの大学生活、フリーで過ごすのって損じゃありません?」
「駅前立っときゃすぐ声かかるでしょ」
「そーゆーのじゃなくて、恋がしたいの」
はーるよこい、
はーやくこい。
「もうすぐ秋だけど」
「出会ってもないのに別れの季節なのよねえ…」
なにも自分は男あさりをしたいわけではない。友人の間宮のように、可愛い恋がしたいだけなのだ。
「…オウジサマと、なんて望んでないんですけどねえ」
間宮は飽きずに掘削作業を続けている。そんな姿が可愛いなあと思う。田間は間宮が好きなのだ。
冷たさなのかミントなのか、鼻の奥がツンとした。