表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カエル  作者: 保知葉
(本編)カエル
6/14

閑話:帰り道に第三者が集まって

さてさて、こちらは喫茶店に取り残された餅屋。

あれはぜってー両想いだろう、と頭を抱えながら逃げていった間宮の表情を思い出していた。


「…あんな表情もできるんだなぁ…」


感情の読めない間宮、とは仲間うちでの共通認識だ。そこそこ間宮を知ってる餅屋もそれは違わないと思っていた。


「間宮ちゃんはツンデレかあ…」


一人納得した餅屋は伝票を掴むと席を立った。この情報はすぐさま笹山に伝えなくてはならない。目に見えて元気のない友人には紛れもなく吉報だ。

その時、カララン、と喫茶店の古びたカウベルが鳴り、餅屋の視線がそちらに向いた。

餅屋は思わず言った。


「げ」


「あんたねえ、人の顔見て言うセリフじゃないわよ」


そう言って餅屋を睨んだのは宮田だ。その後ろに田間がいる。


「間宮に何してくれたのかしら」


姉御肌の宮田と外見はおっとりお嬢様な田間は間宮の友人だ。

間宮、宮田、田間の三人はサークル内でしりとり仲間とか呼ばれてる友人同士で、個性は違えど仲が良い。ただ、男女構わず話しかけられやすい宮田と、男友達に囲まれやすい田間と、一人で好きなように動きたい間宮が一緒に行動することは少ない。

ましてや、宮田と田間が二人連れというのは珍しく。


…自分はこの二人を怒らせたらしい。


悟った餅屋は促されるまま再び席につき、チョコレートパフェを追加注文した。甘いものでもなければ切り抜けるのは難しそうだった。


「カエル男の件は口出し無用だから」


「そうそう、第三者は見守るのが正道ですよ」


女二人に男一人、両手に花の状況なのに何だろう、この窮地みたいな感じ。


(宮田ちゃんはともかく…田間ちゃんからも悪意をひしひしと感じる…)


女の友情ってこんななのか。


「…二人とも、間宮ちゃんのこと好きなんだねえ」


餅屋が思わずつぶやくと、何を当然、とも言うように宮田が眉をしかめ、田間が笑った。


「大好きだからこそ、こんなに間宮を困らせた餅屋くんを許すわけにはいかないの」


田間が携帯を開き、受信メール画面を餅屋に見せた。


 件名:(無題)

 本文:とうしよう もちやにはれた


「はれた?」


「間宮慌てると濁点とばすから」


「一瞬、“ほ”れただと読んであせったわ」


餅屋にホレた。


「…そーんなドロドロ展開になる要素はなかったって」


「ドロドロ展開も面白いっちゃ面白いけどね。餅屋は笹山に刺されるだろうけど」


「…宮田ちゃんって、俺のことホント嫌いだよね」


「今さらよね」


どこで宮田への対応まちがったのだろう、と考えても今さらだと餅屋は頭を振った。

で。


餅屋にバレた。


「バレたっていうか…」

「バラしちゃったんでしょ間宮。変なとこわかりやすいからね」


「でも間宮困らせたことには変わりありません」


「そうそう。だから餅屋にはあたしたちを接待する義務が発生しました」


と、宮田と田間がメニューを開き、どれから攻めようか相談している。


「…ご接待したら間宮ちゃんのご機嫌直してくれるんだよな?」


「それは接待の内容次第」


にっこり笑った田間を見て、餅屋は、人の恋路に口出しなんかするんじゃなかった、と本気で思った。


「…俺、金おろしてきていい?」


「身代に携帯置いてくなら」



「…中身、見ないでね」


近くのATMはどこだったかを考えながら、餅屋は呟いた。

このまま帰りたい。


(そんなことしたらもっと状況悪化するんだけどさ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ