表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カエル  作者: 保知葉
(番外編)願い事は何回?
14/14

宮田さんと願い事

宮田さんのはなしです。

不定期更新。


宮田さんは大学で姉御のポジションにいる。実際、宮田さんは同期の子よりふたつ上だから姉さんは姉さんなのだ。

ふたつ上だけど浪人したわけでもなく、就職からの一念発起でもない。中学で一回、高校で一回留年したのだった。そのため一応現役合格ではある。これで浪人したら心が折れそうだから頑張った。

そんな宮田さんには大学は過ごしやすいところだった。年下もいるし年上もいる。少ないけど同期の同い年もいる。高校まで気にしていた生年なんて話題にならない。なるとしたら成人式のときで、それくらいなのだ。


宮田さんは結構のびのび暮らしているが、悩み事がある。誰にも相談できないのだが、ランプの精を拾ったことだ。


「ねえ、そろそろかえったら?」


「きみの願い事を叶えたらかえるよ」


ランプの精は高校時代に拾った。留年するきっかけとなった父の海外赴任先で骨董品も扱う青空市場を訪れたときに、たまたま購入したミルクピッチャーについていたのである。だからミルクピッチャーの精なのだろうけど、便宜上ランプの精と呼んでいる。ミルクピッチャーの精は語呂が悪い気がするし、やってることはランプの精なのだし。

宮田さんは願い事がない。正確には、ランプの精に叶えてもらえる願い事がない。


「ぼくをそんじょそこらのランプの精と一緒にしてもらっては困る。ぼくはランプの精という職業に誇りをもっているし、就役ランプの精のようにひとを堕落させる願いは叶えない」


宮田さんは知らなかったのだが、ランプの精にも種類があるらしい。

何でも好きなことを3つ、とかいうのは就役ランプの精がよくやるこよで、就役ランプの精とはなにかの罰則としてランプの精をやらされている精霊らしく、宮田さんが拾ったランプの精は自らランプの精になった職業ランプの精なので、どんな願いを叶えるかも条件をつけている、んだそうだ。

だから、このミルクピッチャーに住んでいたランプの精は「単位がほしい」とか「働かずして金がほしい」とか、そういう願いはかなえない。ついでにいうと、「どうぞ元の世界におかえりください」もだめだった。

「世界平和」も願ってみたけれど、叶うまでの時間をきいて実行まえにキャンセルした。願い事って難しいんだなあ、と宮田さんは思った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ