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掌編作品(1~4000字)

ふたりの空間

作者: はなうた
掲載日:2014/03/29

 原稿用紙二枚以内を目標に書きました。

 私の掌編作品五作目です。




 僕と彼女は、いつも素直になれない。


 ◆


 外はすっかり冬の景色だった。風が枯れ木の隙間を抜けたのか、ひゅう、と冷たい音を残す。

 気づけば牡丹雪が窓の外を彩り、降っては地面でその身をとかしていく。

 そんな景色を、和室の真ん中でぼんやりと眺めていた。


 学校も冬休みに入り、僕と彼女はいつものようにこたつに入ってみかんを食べていた。


「ねぇ、みかんもうひとつ取って」

「あんまり食べるとお腹壊すぞ?」

「あとひとつだけにしとく……」

「うん、ほら」


 これと言って会話もせず、黙々とみかんを食べる。


「よし。お礼にコーヒー入れてきてあげる」

「うん、ありがとう」


 キッチンに向かう彼女を見送りつつ、こっちにみかんが無い事に気がついた。

 僕も彼女のあとを追うようにキッチンに向かった。


「あれ、結局来てるじゃん」

「うん」

「まあ、いいけどね」


 彼女はマグカップ、僕はみかんを両手に持ちながら。

 ふたり揃ってこたつに戻る。

 そしてまた、黙ってみかんを食べ、コーヒーを飲む。


「うん、甘い」

「砂糖とミルク多めに入れといたよ」

「うん、いい感じだ」

「もうコーヒー入れるのは私の役目だね」

「そうだね」


 付き合いはじめて三年。

 こうやって少しずつ、互いの事は知ってきたつもりだ。

 そして、こんな風にふたりでいる時間がくすぐったくて心地いい。


 でも、いつも最後のところは口にできない。

 僕と彼女はいつも素直になれない。

 あからさまに手を繋いだりなんかもできない。


 でも、ここだけは別。

 僕と彼女がようやく素直になれる、ふたりの空間。



 そうしてまた、僕たちはこたつの中で足を重ね合わせる。



 実は原作データを紛失してしまい、本作は少し前に記憶を辿って復元させたものです。なので会話などは若干変わってしまっています。多分原作を知ってる方はいないと思いますけども(汗)

 みかんとコーヒーの組み合わせはご愛敬です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品読ませて頂きました! みかんとコーヒー美味しいですよね! ナイスな組み合わせだと思います。意外と柑橘系とコーヒーって合うんですよね。 これから冬がはじまりますからまた蜜柑と珈琲のペアも…
[良い点] 二人の微妙な関係がくすぐったくて、初々しくて。 とてもほほえましかったです。 [気になる点] 脱字報告です。 (6行目) 学校も冬休みに入り、僕と彼女はいつも(の)ようにこたつに入ってみか…
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