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奴隷の二人?

前提情報


民族

・ナルノ人…最も人口の多い民族で、社会的に最も強い。大きな体格をしている。好戦的な性質があるが、身内贔屓なところがある。他の民族を差別する。


・ロハンネ人…文化的に優れた民族。商人が多い。ナルノ人からは狐野郎と言われる。毛深く堀が深い。特徴的な顔立ちは一部から人気。社会的にはナルノ人に次いで強いとされている。


・フェルモマ人…目、髪、肌の色素が薄く、顔のパーツが小ぶりで童顔。白い髪にヘーゼルの目をしている者が多い。被差別人種で、奴隷として有名。社会的に弱い。

 明るい日差しが降り注いでいるとある商店街。二人の商人が酒屋の店先に置かれている椅子に腰を下ろし、世間話をしていた。

 なんでもない日常の話から最近仕入れた珍しい品々、クセのある商売相手の話など、商人という職業柄、口が回る彼らの話題は尽きない。

 そうして和気藹々と会話を楽しんでいる彼らの近くに、ふと人影が現れた。


「少し良いかしら」


 彼らに声をかけたのは、見窄らしい茶色のマントを羽織り、フードを深く被った子供だった。顔はよく見えないが、口調から女の子供だという印象を受ける。そんな彼女の隣には、下半身に古臭い布を巻きつけたロハンネ人の男が偉そうに立っていた。変に人目を惹きつけている理由は単純で、彼が上裸だからだった。


 服装の見窄らしさや貧しそうな雰囲気から、この二人が奴隷であることは確かだ。

 商人達はそんな彼らを一瞥する。茶髪の商人は少女の偉そうな口調に眉を顰め、嗜めるように声をかける。


「あのな嬢ちゃん。奴隷がそんな口聞いちゃ……」

「私は奴隷じゃないわ」


 言い終わる前に少女は商人の言葉を遮った。その口調は強く苛立っているのが伝わってくる。

 その時、少女が少しだけ顔を上げた。フードの中から白い肌と毛髪が覗く。奴隷として有名な民族である”フェルモマ人”の特徴だった。

 茶髪の商人は少女に指を差し、大きな声で嘲笑った。


「はは!”私は奴隷じゃないわ”だってよ!フェルモマ人はジョークが得意なんだなぁ」


 少女の眉間に深い皺が刻まれた。だがそれよりも商人達の視線を引き付けたのは、少女の隣の男が恐ろしい形相で彼らを睨みつけたことだった。

 男に睨まれるだけであれば、商売をやっている人間は多少なりとも経験したことがあるはずだ。この程度で怯むならば商人に向いてはいない。しかし目の前にいる男は、今にも襲いかかってきそうな凶暴な顔をする。まるで夜の森で狼の群れに囲まれ、息が詰まり、体が強張るような感覚だった。

 商人達は本能的な恐怖を感じて身構えた。それを見た少女は、男の方に振り返って軽く嗜める。男の剣呑な雰囲気はすぐに消え去った。

 少女は商人達を見て頭を下げると、マントを翻して男と共にどこかへ消えていった。




「ゴーレムを殺すにはどうすればいい?」


 目の前に立つ見窄らしい格好をした男のあまりに愚かな質問に、老人は大きなため息をついた。


「そんな当たり前のことも知らんとは、とんだ田舎者がいたもんだ。そんなもの、体のどこかにある印を消して体を崩して、土の中から核を見つけて破壊すればすぐに死ぬ」


 質問の答えを返されたというのに、男の表情は全く晴れなかった。むしろ眉間の皺が更に濃くなり、難しい顔になる。そんな男の代わりに隣にいた少女が口を開いた。


「ありがとうおじいさん。助かったわ」


 その少女は頭を下げると男を連れて歩き出した。

 二人は雑踏の中をまっすぐ歩いていく。仲が良いわけではないので、友人のような会話は一切ないし、互いを振り返ることもない。

 少女は老人から離れたことを確認し、前を向いたまま口を開いた。


「レン。人に答えてもらったらお礼ぐらい言いなさい。私より長く生きてるのにそんなこともできないの?」


 その声には苛立ちが表れ、力がこもっていた。レンが恐る恐る少女の顔を見ると、眉が不機嫌そうに寄せられているのが目に入る。


「すみません。次から気をつけます」

「言葉遣いも偉そう。あと、歩く時にすれ違う人を睨むのもやめてくれる?知り合ってまだ日が浅いけど、あなたのナルノ人嫌いにはもううんざりよ」


 次から次へとレンへの説教が湧いて出てくる。ないはずの痛覚が頭に生まれたような心地になって、レンは少女を止めに入った。


「エリー。もう分かりました。私が悪かったです」


 エリーはその態度すら気に食わない様子だった。


「本当にわかったんでしょうね?」

「はい。気をつけます」

「そう。なら良いけど」


 動きを止めてくれなかった口がやっと止まってくれた。一旦安堵に胸を撫で下ろすが、レンは再び訪れた沈黙に耐えられなくなった。エリーとは親しいわけではない。彼女との沈黙も心地良いものではなかった。

 レンは頬を引き攣らせながらエリーに声をかける。


「あの……なかなか良い情報が得られませんね」


 エリーは再び不機嫌そうに顔を顰め、無愛想に言った。


「核を破壊するの。それでおしまい。みんな言ってるんだから、ゴーレムは核を破壊すれば死ぬの。だからあなたの用事は終わりよ。さっさと私の用事に付き合いなさい」


「ま、待ってください!」

 レンは慌ててエリーを止めた。

「”私”はそんなことでは死にません。ほら、皆ゴーレムの体の印を消すだとか言いますけど、私の体には印がない。恐らくその辺りを歩いている”彼ら”と私とでは何かが違うんですよ」


 何度人に尋ねても同じ答えが返ってくるというのに、レンはその答えを否定し続ける。そしてまた街行く人に同じ質問を投げかける。エリーはそれを時間の無駄だと感じていた。


「なんで違うってわかるの?試したことがあるからそう言えるんでしょうね」


 エリーの声音には、隠す意思も感じられない苛立ちが含まれていた。それは聞いた者が思わず背筋を伸ばしてしまうような迫力がある。圧迫感を感じてレンは黙り込むが、その沈黙はエリーの心を逆撫でる材料にしかならない。


「まさか試したことがないって言うんじゃないでしょうね?あなた、本当に死にたいって思ってる?死ぬ気がないのに私を付き合わせてるの?」


 一度に責める言葉をずらりと並べ立てられ、逃げ出したい気持ちになってしまう。

 レンはエリーと目を合わせることが出来ないまま言った。


「やったことはないです。私の核は貰い物なので、壊すわけには……」


 その言葉を聞いてエリーは不機嫌そうにふん、と鼻を鳴らす。それを見たレンは慌てて続けた。


「それに、核を破壊したところで私の命が絶たれることはないと確信があります」


 その言葉にエリーの片眉が上がる。根拠を示せということだ。


「昔の話ですが、私と同じ時代に、そう遠くない地域で生まれたゴーレムがいました。犬のようにゴーレムに”種類”があるのなら、私と同じ種類と言って良いでしょう。そのゴーレムが核を破壊された所をこの目で見たことがあるんです。彼は核を破壊された時、体の形が崩れて人の形を保てませんでした。しかしそれだけです。体の形が保てなくなるだけで、死にはしなかった」


 しばらく沈黙が続いた。するとエリーが呆れたような溜息をつき、すっかり興味を失ったようにレンから視線を逸らした。


「まぁいいわ。しばらく付き合ってあげるけど、遅すぎたらあなたを置いて先に死んでやるんだからね」

「ま、待ってください!」


 二人は情報収集に戻った。何度も何度も同じ質問を繰り返すだけの作業だとわかりきっているので、エリーは乗り気ではなかったが。


「ゴーレムを殺す方法を知らないか」


 街行く人々に声をかけるが、エリーの姿を見た人間は大抵馬鹿にするか、あるいは突き放すかのどちらかだった。なのでレンが尋ねることにしているが、レンの方も粗末な身なりから奴隷だと思われてしまい、変な顔をされる。二人は気が狂うほど続く繰り返しのせいで手持ち無沙汰になってきた。


「上手くいきませんね」


 何も考えずに発されたような、空っぽの台詞。エリーはレンと旅を始めてから何度もこういう台詞を耳にしている。勿論それが手持ち無沙汰によって発された誤魔化しの言葉だとわかってはいるが、エリーは呑気なレンの下半身に巻かれた布を見て険しい顔をした。

 奴隷の代表的な人種といえばフェルモマ人だ。だからこそエリーが奴隷として軽んじられるのはまだ理解できる。しかし、明らかに社会的な地位も名誉もさほど悪くないロハンネ人の姿をしているレンが奴隷とみなされ、情報収集に支障が出ている。それを思うだけで目眩がしてくるようだった。


「あなただけでも良い格好をさせるべきかしら。お金が必要ね」


 その時、二人の背後に何者かが近付いた。


「ねぇ、少し良いかな?」


 突然声をかけられる。声がした方を振り返ると、そこにはエリーと同じくらいの少年が立っていた。茶色く短い髪をしており、その上には変な形の帽子が乗っている。

 彼は純粋そうな笑顔を浮かべ、その大きな垂れ目で二人を捉えていた。その視線はまさに好奇心の強い人間のものだ。


「ここら辺で質問をしてまわっているのは君たち?」

「そうよ。何かいけなかったかしら」


 エリーは無愛想に応えたが、少年は臆することなく近付いてきて彼女の手を握った。


「ううん! もしかしたら僕が力になれるかなって思って!」


 握られた手を見たままエリーは固まった。その表情は誰が見ても嫌がっている顔だった。


「初対面でレディの手を握るのはどうかと思うのだけれど」


 目力の強いエリーに睨まれたので少年は慌てて離れた。しかしその態度は変わらず飄々としている。


「ごめんね、よく距離が近いって怒られるんだ。いやぁ、気を付けなきゃね」


 コホン、と咳払いをすると少年は改まって胸を張った。


「僕はトム!この町で情報屋みたいな事をしてる。本は沢山読むし情報通だと自負してるから、少しは君達の役に立てると思うよ」


 エリーはレンを見た。レンもエリーを見ていたようで視線がかち合う。二人ともどうしようかと悩んでいた。

 二人にとってここまで友好的な人間は初めてで、正直なところ困惑が強かった。何か裏があるのではないかと疑う気持ちもあるが、エリーは人の厚意を跳ね除けられるほど冷酷ではない。加えてこんな機会を逃せばまともに話を聞いてくれる人間が次はいつ現れるかわからない。逃すわけにはいかなかった。


「えぇと、そうね。なら教えてほしいことがあるんだけど」


 トムは満遍の笑みを浮かべて質問を待っている。エリーは彼の目をまっすぐに見つめて言った。


「ゴーレムってどうやって殺すの?」


 その問いが耳に届いた瞬間、トムの顔から笑顔が消え、その代わりに困惑が滲んだ。これはそう、引かれている。


「言っておくけど、いきなりゴーレムを殺したら所有者に弁償しないといけなくなるんだ。お勧めはしないよ」

「違うの。所有者は……私、ってことになるのかしら」


 エリーは再びレンに視線を戻す。それに気付いたトムはレンを舐めるように見つめた。


「君がゴーレム?印があるようには見えないけど、もしかしてその布で隠しているのかな。ううん、そんな事より、殺し方も知らないのにゴーレムを作ったの?彼の殺し方を知ってどうするの?」


 質問の嵐を受け、一体どれから答えようかとエリーは悩んだ。彼女が悩んでいると、横からレンが口を出してきた。


「私にその印とやらはないし、そこの彼女に作られたわけでもない」


 トムは大きな目をさらに大きく見開いた。その反応を受け、そこまで驚くことがあるだろうかとレンまで困惑してしまう。


「何か変なことを言っただろうか」


 心配になって聞いてみるが、トムは何やら思案しているようで、ぶつぶつと独り言を呟いている。


「印がない?そんなモダンゴーレム聞いたことないぞ…もしかしてブラックヘイデイか?いや、なわけないか…」


 エリーは少年の独り言をしっかりと聞いていた。


「ぶらっ…な、何?」

「あぁ、ブラックヘイデイ。製造も所持も禁止されてる古いゴーレムだよ。確か黒魔術時代の産物だね」


 トムはそのゴーレムの話を恐ろしい勢いで喋り出した。二人にはよくわからなかったが、ナルノ人の多くが信仰するサンポール教の悪魔のモデルとみる説があるだとか、所有や製造がバレてしまうと捕まってしまうだとか、そんな知識を披露されたのはわかった。

 圧倒されている二人に気付き、トムは恥ずかしそうに笑った。


「あぁ、ごめんね。関係ない話をしちゃって……」

「いえ、続けて。ゴーレムには種類があるのね。そのゴーレムはどうやったら殺せるの?」


 彼の独り言や説明から、レンの話が合っていたことがわかる。ゴーレムには種類があるのだ。しかも、そのブラックヘイデイというゴーレムは”昔”のゴーレムらしい。レンが長寿のゴーレムだと聞いていたエリーは、その情報に飛びついた。


「えぇ?良いけど、多分そのお兄さんはブラックヘイデイじゃないと思うよ。雰囲気が違うし」


 そう言いつつも、トムは快く教えてくれた。


「ブラックヘイデイは黒魔術時代のゴーレムだって話したよね。今黒魔術は禁止されているから見かけることもないし、文献も多くはない。殺し方はよくわからないけど、本によれば心臓、いや、核のある部分に杭を打ち込んで破壊したり、聖なるもので一突きしたり。どちらにせよ核を破壊する事は共通してるね」


 エリーがレンの顔を見上げて頷いた。


「やっぱり核を破壊するしかないみたいよ、レン」


 良い情報を貰ったというのに、レンは浮かない顔をしている。彼は真一文字に閉じられていた口をやりづらそうに開いた。


「……私は、そのブラックヘイデイではないと思います」

「理由は?」


 機嫌が良くはないであろうエリーにも構わず続ける。


「私が生まれた頃、黒魔術なんてものは聞いたことがありません」


 レンはトムの方に向き直った。


「そのゴーレムが最初に作られたのはいつかわかるか?」


 レンの問いに難しい顔をし、トムの目線は空中を彷徨った。


「長い間いろんな場所で黒魔術が使われていたし、最初に作った魔術師が名乗りを上げられるような時代でもなかっただろうし、黒魔術に関する文献は多くが燃やされているからはっきりとはわからない。でも、僕が見た中で一番古かったのは千年近く前だった気がする」


 その千年前のゴーレムは黒魔術が確立される前である途上期のゴーレムだから、ブラックヘイデイだと断言するのは正しいとはいえない、とトムは付け加えた。

 千年という数字に、エリーは思わず目を見開いた。レンが人間より遥かに長い年月を生きてきたゴーレムであるということは知らされていたが、それほど具体的で恐ろしい数字を出されると、未だ十年しか生きていない少女にとっては大きな衝撃となる。

 一方、レンの表情には一切の驚きも喜びもなかった。諦めのような色が滲んでいる。


「では違うと思います、エリー。私が過ごした年月は気が遠くなるほど長かったので数えてはいませんが、もっと長かったと思います……恐らく」


 エリーに再び衝撃が走る。千年以上の時を過ごした長寿の存在が己の目の前にいる事が信じられないのか、大きな目をさらに大きく見開いてレンの目を凝視する。

 驚いて固まってしまったエリーに苦笑すると、レンはトムの方に向き直って尋ねた。


「そのゴーレムよりも前に存在したゴーレムはいないか。恐らく私はそれに該当する」


 レンが言い終わると大きな笑い声が聞こえてきた。おかしくて仕方がないというようにトムが笑い出したのだ。彼は馬鹿にしたようにレンを指差すと、腹を抱えて言った。


「あはは!面白い冗談だね。君ってお堅そうに見えてジョークとかいうタイプ?」

「ジ、ジョーク?私は真剣に言っている」


 レンにふざけたつもりは微塵もなかった。しかしトムの態度に動揺してしまう。

 短い年月しか生きていない少年に馬鹿にするように笑われたのが頭に来たのか、レンの顔は苛立って険しくなった。そんな彼に気付き、エリーは手を前に出してトムを制止した。


「真剣な話よ。ほら、ブラックヘイデイよりも前にゴーレムがいたのかどうか教えてちょうだい」


 トムはしばらくおかしくて仕方がなかったようだったが、エリーに言われてやっと深呼吸を始めた。

 気を取り直してトムは答える。


「いたかもしれないっていう話はあるけど、全部御伽話みたいなものだよ。実在するわけない。そこのお兄さんが面白い法螺吹き兄さんなだけさ」


 揶揄うような物言いに反応してレンが余計に苛立つので、今にも襲いかかってしまうのではないかと心配になってくる。焦りを感じたエリーはトムを急かした。

 彼はわかったよと言って降参するように両手をひらりと上げてみせた。


「でもさ、神話の話になっちゃうよ?」

「そう」


 短く相槌をうってエリーはレンを見た。視線に気付き、レンもエリーの方を見る。彼の眉は八の字に下げられ、これはまるで捨てられた子犬が「拾ってください」と訴えかけるような顔ともいえるだろう。

 エリーよりも遥かに長く生きているはずのこの男は、時折こうして甘えてくることがあった。齢十歳の少女相手にだ。


「はぁ…それで、その神話ってどういうものなの?」

「それが、僕もそんなに詳しくはないんだ。今話した以上のことはわからないよ」


 トムの反応は微妙だ。

 この少年から聞くことができるのはここまでのようだった。二人はトムに礼を言って立ち去ろうとするが、二人が踵を返す前にトムが言った。


「僕が泊まっている部屋、色んな本を持ってきてるんだ。大体は仕事に必要な資料だけど趣味の本もある。その中に詳しいものがあったはずだよ。見に来るかい?」


「え、でも…情報屋なんでしょう?」


 戸惑いを隠せないエリーに、トムはウインクをしてみせる。


「本を見に来るだけだろ?僕が取り扱ってるのは商人向けのお得情報。趣味の本を見るくらいでお金を取るほど困っちゃいない」


 トムは着ている服を撫でてみせた。恐らく見窄らしい格好をしている二人への皮肉が混じっている。

 エリーは皮肉を無視し、口元に手を当てて考え込む。レンはエリーの判断を待っていた。

 しばらくしてエリーはレンを見て頷き、レンも頷き返した。


「本を見せてもらうわ」


 エリーの言葉に、トムはほくそ笑んだ。


「喜んで!」



 明るい日差しが降り注いでいるとある商店街。二人の商人が酒屋の店先に置かれている椅子に腰を下ろし、二人でこそこそと話をしていた。

 そんな彼らの近くに、ふと人影が現れた。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」


 振り返ると、そこには笑顔の少年と爽やかな男が立っていた。

 少年の方は茶色く短い髪に大きな垂れ目をしており、頭の上には変な形の帽子が乗っている。ナルノ人の顔立ちだ。

 男の方は黒髪で、鼻筋が通っていて男前だった。年齢は三十代くらいだろうか。垂れ目が妙な色気を携えており、いかにも女に好かれそうな男だった。こちらもナルノ人だ。

 商人達は二人の姿を目に入れた途端、目を見開いてあっと声を上げる。


「スドゥに、ヴィルマンさん!?ど、どうもこんにちは。今日は化粧してないんですね」


 この辺りの地域にいる商人ならば誰もが知るであろう大商人の仲間の情報屋であり、ホムンクルスのスドゥ。そしてそんな彼の作り手であるヴィルマン。

 二人の顔は、雰囲気の違いはあれどどこか似ているようにも見える。


「ちょっと用事があってね」


 いつもなら派手な化粧をしているので、すっぴんを指摘されたヴィルマンは拗ねたように唇を尖らせた。

 それを無視し、少年の形をしたホムンクルスはいつも通りの明るい声で言った。


「フェリックスの所から奴隷が一人逃げたんだ。だからみんなに見つけたら捕まえて!って言って回ってるんだよ。逃げたのは女の子で、ナルノ人とフェルモマ人の混血。一見フェルモマ人に見えるけど顔付きがナルノ人っぽくて目付きは鋭いし、目もヘーゼルじゃなくてアンバー。金属製の“ボルバンズ”の髪飾りを付けてる」


 その情報に、二人の商人は顔を見合わせた。スドゥはその様子を見て首を傾げる。


「もしかして、何か知ってる?」


 二人の商人は首を縦に振る。それを見たスドゥは大袈裟なほど嬉しそうな笑顔を浮かべ、茶髪の商人の背中をバシバシと叩いた。


「助かるなぁ!その子の事教えてよ。無事フェリックスの所に連れて行けたら、勿論大商人様から褒美があるだろうね」


 商人達は甘い誘惑に生唾を飲み込んだ。我先にと口を開こうとした瞬間、ヴィルマンが人差し指を立てて釘を刺す。


「連れて行けなかったら褒美はないから、あんまり期待しないこと。わかってる?」


 そんなことはわかっている。商人達はわかっているのだ。だが、期待に胸が躍っていた。

 大商人フェリックスとはスドゥとヴィルマンの主人で、この辺りでその名を聞かずに商売をする人間はいない。簡単に言えば、この地域の商いを牛耳る大手の一人だった。

 そんな大手の商人が近くに置いている、いわば直属の部下のような二人だ。ヴィルマンはフェリックスに最も近い優秀な魔術師で、フェリックスの御機嫌取りまでしているほどだ。奴隷をすぐに捕まえて帰り、彼の機嫌を取るに違いない。スドゥは情報屋としての腕が立つ。すぐに奴隷の少女の居所を見つけて捕まえてしまうに決まっている。

 そんな二人の能力と立場を信用しているからこそ、商人達は期待しているのだ。


「さっきそんな子供を見ました。汚れた茶色のマントを着てて、フードを深く被ってます。偉そうな態度でしたよ。確かに目はアンバーだったし、目付きもナルノ人の俺達よりも悪かった。ボルバンズの髪飾りなんて付けて、えぇ、偉そうでしたねぇ」


 ボルバンズの髪飾りとは、ナルノ人の中でも由緒ある英雄の家として名を馳せている“ボルバンズの一族”が代々身に付けている筒状の髪飾りのことだ。ボルバンズ家の者は髪飾りをつける為に髪を伸ばし、横の髪を一束まとめて髪飾りを通す。その髪飾りは左右どちらにも付けており、一目見ただけで出身の家がわかる目印となっている。

 茶髪の男は先程少女に会った時のことを思い出しながら、必死に喋ってみせた。それに続き、横の若い商人が補足を付け加える。


「その子供、ロハンネ人の男を連れてましたよ。汚ねえ格好なもんでそっちも奴隷でしょうけど、これがまた危なそうな男でね。見つけたら気を付けてください」


 二人の話を手帳にまとめ終わり、スドゥは顔を上げた。


「うん、特徴も一致してるしその子だろうね。情報提供感謝するよ。じゃあ僕らは忙しいから行くね」

「またね、ダンディちゃん。また今度遊びましょう」


 スドゥは愛想の良い笑顔を浮かべて軽く手を振り、ヴィルマンはウインクをして商人達の元から去った。

 しばらく歩くとヴィルマンが口を開く。


「ロハンネ人の男ねぇ……あの子が男を誑し込めるような子だとは思えないんだけど」


 スドゥは彼の発言に心底引いた。そして次の瞬間にはうんざりし、じとりとヴィルマンを見上げる。


「あのさ、ヴィル。良い加減ハンルークの話真面目に聞いてくれない?」


 ハンルークとはフェリックスが所有しているいわく付きのゴーレムだ。


「あら、あの女何か言ってたかしら」

「ここに来る前聞いただろ! ハンルークがエリーを追いかけて森に入った時、強いゴーレムがいたって。だからハンルークはエリーを追えなくなったんだ。ロハンネ人モデルで、少し長い黒髪、真っ黒な目、青年のような容姿! ハンルークが教えてくれたのに君は…」

「スドゥが覚えてるから良いでしょ。情報担当はあなた。アタシは非力なあなたのサポート役。そうよね?」

「はぁ、まったく……ハンルーク嫌いもほどほどにしてくれったら」


 スドゥは軽く咳払いをして気を取り直す。


「とにかく、エリーはゴーレムを連れてるんだ。しかもあのハンルークに追跡を諦めさせる実力者。只者じゃない。二人を見つけたら、まずは男とエリーを引き離さないと」


 ヴィルマンは頷いた。


「そうね。でも、私はエリーがいた時世話を任されてたことがあるから顔が割れてるの。一人でなんとか出来る?」


 この男はスドゥをいつまでも子供扱いしてくる。


「舐めないでよ」


 少年はネクタイを締め直した。




 トムを先頭にして、二人は彼が泊まっているという宿屋へと向かっていた。その道中、トムは自分が持つ知識をしきりに喋っていた。レンは途中から興味をなくして聞いていなかったが、エリーは全ての言葉に耳を傾けていた。


「あなた物知りね。すごいわ」

 エリーがそう言うと、トムは照れたように頬を掻く。

「えへへ。そうかなぁ」


 照れた仕草は少年らしい愛おしさがある。

 トムは気分を良くしたのか、口数が更に多くなった。レンがトムを見る目はうざったそうで仕方がない。

 一行が活気のある商店街を抜けて歩いていくと、すぐに宿屋の看板が見えてきた。トムは宿屋を指差し、あれが泊まってる宿屋だよ、と親切に教えてくれる。

 三人が宿屋の中に入ると、中はがらんとしていた。木製の建物はいかにも古そうで、歩を進める度に地面に使われた木材が軋む音がした。

 一転して静かな場所に来たことによってレンが肩の力を抜いたのがわかった。


「人が少ないのね」

「そうだよ。情報屋って職業柄、金を払いたくない輩が力尽くで情報を狙ってくることがあってね。あまり人がいない場所の方が安心できるのさ」


 そこまで言うと、トムは思い出したかのように眉を上げ、申し訳なさそうに二人を振り返った。


「申し訳ない! 言い忘れてることがあったよ」


 彼は帽子の上から自分の頭をコツンと軽く叩いてみせた。


「職業柄でね。情報は守らなきゃいけないから、部屋にはゴーレムが入れないよう結界を張ってあるんだ。ゴーレムを使って情報を奪おうとする輩がいるからね」

「貴様……!」


 レンが怒りに震える。しかし、エリーは軽く手を上げて彼を制した。


「情報屋がこういう対策をしているのは珍しくないそうよ。それに、情報を貰うんだからそれくらいの誠意は見せないとね」


 彼女の堂々とした態度に苦い顔をして引き下がるレンだが、納得はしていないようだ。

 トムは申し訳なさそうな顔を作ってみせるが、内心では獲物がうまく引っかかってくれて良い気分だった。

 いつもは大商人フェリックスを始めとしたずる賢い人々を相手にしている情報屋のスドゥにかかれば、こんな小娘ごときなんてことはない。


「いやぁ、申し訳ない。こればっかりは」

「気にしないで。これくらい大丈夫だし、色々話も聞きたいし」


 エリーはレンに向き直った。


「いい?大人しくしておいてね。必要のないトラブルは避けてよ」

「はい。気をつけます」


 レンが守るかどうかはさておき、返事が聞けたことに満足してエリーはトムと部屋に消えていった。

 レンは主人の帰りが待ち遠しい犬のように落ち着きのない様子でその場に立っていた。人が少ないとはいえナルノ人の宿屋であることに変わりはないし、エリーと離れるのに慣れていないのか、側から見ると挙動不審な男になっている。

 そんな彼に声をかける人間がいた。


「ねえ、そこのお兄さん。ちょっと助けてくれない?」


 長身で体格の良いナルノ人の男だった。黒髪で、鼻筋が通っていて男前だった。年齢は三十代くらいだろうか。垂れ目が妙な色気を携えており、いかにも女に好かれそうな男だ。


「な、何の用だろうか」


 主人の少女に散々言われてきたことを思い出し、無愛想になりすぎないよう彼は努めて穏やかな声を出した。

 声をかけてきた男は人の良さそうな笑みを浮かべ、少し離れたところにある荷物の山を指差す。


「お兄さん力持ちそうだし、あれ運ぶの手伝ってくれないかな」


 レンは眉を寄せて男の体を見る。その表情はいかにも面倒臭そうな顔だった。


「別に構わないが……あなたの体格で無理という事もなさそうに見える。わざわざ私に声をかけるほどか」

「ちょっと、ケチくさい男だね。辛気臭そうな顔してるしモテなそう」


 最後の一言は言う必要があるのだろうかとレンは思う。

 レンの面倒くさそうな顔を見て、男は彼の肩を掴んで押した。


「アタシ力弱いし、二人でやった方が早く終わるでしょ?良いから早くしてちょうだい」


 その時レンの表情から、突如として色がなくなったのだった。




 スドゥの部屋に入ったエリーは、部屋を静かに見回していた。

 木製の安宿だ。ベッドと棚、壊れかけの窓がある。しかし、それだけだった。

 何もない。本や資料が一つもないのだ。おかしな状況だが、彼女は驚かなかった。


「あなた、やっぱり情報屋のスドゥでしょう」


 驚いたのはスドゥの方だった。


「いつから気付いてたの?」

「最初から怪しかったわよ。情報屋が無償で教えてくれるのなんて怪しすぎるし、ナルノ人なのに神話を知らないなんてことありえない。普通なら所有も製造も禁止されてるブラックヘイデイの話なんてしないでしょうし。あなた、ブラックヘイデイの話をしている時自分がなんて言ったか覚えてる?」


 スドゥは降参するように手を挙げた。続けろということだ。


「レンに向かって、ブラックヘイデイとは”雰囲気が違う”って言った。そんなのブラックヘイデイに会ったことがある人しか言わない。それに今はもう禁止されているゴーレムなら、ブラックヘイデイについての詳しい書物を読むなんて普通の情報屋には無理なことだわ」


 エリーの言葉にスドゥは感心した。実際、情報屋がここまで親切に教えてくれることは少ない。特にこの地域は裏の商売にも関わるフェリックスが手をつけている地域だ。彼と同じ闇商人も多く、金に汚い輩が多い。親切な商人はこの地域には向いていない。

 ナルノ人の神話を知らないのもそうだ。スドゥはエリーを部屋に誘い込むために知らないと言ったが、普通のナルノ人であれば神話の代表的なエピソードの一つぐらいは語り始めることだろう。そのくらい信心深く、神話の英雄にリスペクトを持つ民族だ。

 ”雰囲気が違う”という発言もエリーが言った通りだった。きっとエリーは、スドゥがブラックヘイデイであるハンルークの仲間だということを読み取った。


「いやぁ、参ったな。君にそこまでの頭があるなんて思ってもみなかったよ。世間知らずのフェルモマ人だと聞かされてたのにな」


 スドゥは帽子を取った。何やら中を探っている。


「君の頭が回ることはわかったし、今回は僕が油断しすぎていたみたいだ。でも、君はゴーレムと引き離されてる。君にはフェリックスのところに戻るしか道はない」


 そう言うと、スドゥは帽子の中から短剣を取り出して構えた。しかしエリーは怯えるどころか、拳を握って構えている。その目は真剣だった。

 スドゥが先に一歩を踏み出し、少女に向かって短剣を振り翳す。するとエリーの手が短剣を避けてスドゥの腕に周りこみ、腕を軸としてスドゥの体が持ち上げられた。

 同じくらいの身長とはいえ、スドゥの方が少し大きい。負けるはずはないと高を括っていた。

 スドゥが向かってきた勢いを利用して持ち上げ、エリーはそのまま彼の体を地面に叩きつけた。


「うっ……!」


 思いきり背中から落ちた。受け身を取れず、肺のある部位に直撃したせいで一瞬呼吸ができなくなる。

 苦しさに悶えていると、エリーはスドゥの帽子の中を漁り出した。


「スドゥはヴィルマンが空間拡大術式を埋め込んだ帽子を持ってるって本当だったのね」


「や、やめっ……!」


 エリーは中から細長いものを取り出した。


「フェリックスの所にいる時、聞き耳を立てていて本当に良かった」


 エリーは苦しそうに唸っている人造人間を縄で縛り、体の自由を奪った。スドゥは縄を解こうと手先を動かすが、それに気付いたエリーは彼の手を踏み付けた。スドゥの顔は痛みに歪む。


「あなたにも痛みってあるの? なさそうね、良かった」


 軽く言ってしまう彼女に笑みが漏れる。


「ちょっと痛いかも」

「そう。でも、私の敵になる方が悪いから」


 そう言うと、彼女はスドゥの体をベンチのようにして上に乗った。


「ちょ、ちょっと。苦しい……」

「重いって言いたいの? 失礼な人ね」


 エリーの声には強い圧があるが、空虚だった。中身がないような、興味がないような感じがある。


「私はね」

 エリーは言う。

「人を殺すのは悪いと思ってるの。でも、フェリックスの仲間なら、私の邪魔をするなら、殺しさえしなければ何をしても良いと思ってるわ」


 スドゥを震えさせるには十分な言葉だった。彼は動悸が激しくなり、核であるフラスコの中身が強く脈打つのを感じた。


「さて、そろそろ質問に答えてもらおうかしら」


 エリーはスドゥの方には目もくれずに続ける。


「こんなに弱いのにあなたが一人なはずないわよね。ヴィルマンあたりと一緒なんでしょ?もしかしてレンの相手はヴィルマンかしら」

「…そうだね、無謀だろうけど」

「無謀ね」


 食い気味な否定だ。この少女はスドゥが思っているよりもあのゴーレムの力を信用している。


「じゃあゴーレムの話に移るわ。あなたが既に話してくれた事以外に情報はある?」

「申し訳ないけど、そんな情報は本当に持ってない。君を捕まえるつもりだったんだもの。用意してないよ」

「まぁ、そうよね」


 ただでさえ無愛想な声が更に温度をなくした。用済みという言葉が頭に浮かんでくる。

 そこで扉が大きな音を立てた。必要以上に強い力で叩かれているのか、怒った人間が叩いているように聞こえる。うるさい。

 エリーが声を張り上げて返事をするが、扉は開かない。代わりに外から声が聞こえてくる。


「エリー。男を捕まえたんですが」


 レンの声に安心するどころか、エリーは呆れたように溜息をついた。


「あぁ、ドアの開き方がわからないのね。レンったら、私達が入る時にちゃんと見てれば良いのに。突起があるでしょ? それを掴んで右に回して。右っていうのは、えっと……私がいつも使ってる方の手。あー、宿屋の入り口があった方よ。力入れすぎたらダメだからね」


 長い説明がなされた後、やっと扉が開かれた。

 まず見えたのは無表情なレンの顔。そして引き摺られている男。ヴィルマンだった。動きもなく体に力が入っていないので、気絶しているのだとわかる。

 ヴィルマンは弱くない。体格も良く、それなりに喧嘩も強いはずだ。恐らく魔術の方も結構な腕を持っている。そんな彼が引き摺られてきたという事は、やはりあのハンルークを追い返しただけはある。このゴーレムは強い。

 部屋に入って扉を閉めると、レンはヴィルマンを投げ捨てた。気絶したヴィルマンはスドゥの近くに転がって力なく倒れる。顔が地面に当たって大きな音がしたので、顔に痣が出来て文句を言うヴィルマンが想像できてしまう。

 レンはヴィルマンには目もくれず、エリーの方に視線を移していた。


「怪我はないですか。何もされてはいませんか」

「大丈夫よ。噂通り、フェリックスの所の情報屋さんの腕っぷしはあんまりみたい」


 エリーはスドゥをちらりと見ると、再びレンの顔に視線を戻して言った。


「それより、これ以上は情報がないみたいよ。これでフェリックスに居場所がバレるでしょうから、早く遠くに行かないと」

「そうですか……」


 残念そうなレンの背中を叩いて、エリーは部屋を出ようとする。


「ねぇ!」

 スドゥは尋ねた。

「君達はなんで一緒に行動しているの?」


 エリーが振り返る。その顔には笑顔はないし、情もなにも感じない。


「別に。利害の一致よ。それ以上でも以下でもないわ」

「エリー。もう行きましょう」


 レンがエリーを急かすが、スドゥは口を止めなかった。


「そんな強いゴーレムどうやって見つけたの? 森で見つけたんだろうけど、どうやって味方につけたのかな。何か交換したのか、それとも……」

「言ったでしょ」


 これ以上は聞くな、ということだろう。有無を言わせるつもりのない、大きく圧のある声が響く。


「私達はゴーレムの殺し方を探してるの」


 そう言い残し、二人は去っていった。




「ん……?あれ、アタシ何して……」


 体を起こして目を擦る。黒髪のロハンネ人の男に声をかけ、エリーとスドゥがいる部屋から引き離そうとしたのは覚えている。

 そこで思い出した。急に殴られ、そこから記憶がなくなっている。おそらくエリーからヴィルマンの特徴的な口調の情報を聞いていたのだろう。ついいつもの口調に戻った途端に殴られたのだ。

 ヴィルマンは恐ろしくなって周囲を見回した。そこはエリーを捕まえる為に取った宿屋の個室だ。しかしそこには誰もいなかった。

 エリーも、あのゴーレムも。そして、彼が作ったホムンクルスのスドゥも。

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