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終末をもたらす大樹に唯一対抗出来るのは、私の力だけでした  作者: 月輪林檎


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終末は着実に進んでいく

 軍艦での移動はスムーズに進んでいた。甲板から見える大樹が途方もない大きさになっていく。


「あの大樹って樹齢何年なんだろうね」

「さぁ? 樹齢って概念があるのかすら分からないし。そもそもあんな高くまで伸びて普通に立っている事自体ヤバいでしょ。こうして見て改めて思ったけど、あれ空の気流に影響してるんじゃない?」

「ああ……天気とかに関係しそうだね。そういう意味でも大樹にはなくなって貰った方が良いって感じだね」

「だね。終末をもたらす大樹。自衛隊の人達はそう呼んでるらしいよ」

「実際、今がそうなってるし、納得の名前だね」


 日暮さんも言っていた終末。よく終末を生き残った人達の映画とかがあるけど、自分達も運良くそれになるとは限らない。終末で絶滅する可能性だって十分にある。

 それを防ぐためにこうして来ているけど、やっぱり一抹の不安がある。


「私の力がちゃんと大樹を消してくれると良いけど……」

「大樹があの植物と同種ってことなら出来なくはないと思うけどね。逆に、あの植物と大樹を別物って考える方が違和感あるし……てか、あの大樹のところ光がちらちらとしてるけど」

「え? う~ん……あっ、本当だ」

「あれは能力者の炎だろうな」


 私達の元に日暮さんがやって来た。


「二人とも体幹がしっかりとしてるな。今日は大分揺れてるはずなんだが」


 確かに揺れは凄いけど、特に私も火之花ちゃんも揺れで倒れるという事はなかった。まぁ、私は壁に手を着けているからっていうのもあると思うけど。


「能力者の身体能力ですかね?」

「元々のものだろうな。それであの光だが、能力者が炎を撒き散らしているらしい。大樹を燃やそうとしているというよりも、何かに攻撃をしているという形みたいだが、こっからの観測じゃ、それ以上は分からん」

「障害になりますか?」

「分からん。障害になるようなら、排除する方向だが。現状、俺達は人間に危害を加える能力者を排除すべき存在と考えている。同じ日本人だろうとな」

「それで良いと思います。下手に温情かけて、こっちに大きな被害が出したくないですしね」


 能力者は凶器を持った危険人物と大差がない。火之花ちゃんだって、やろうと思えば無差別に人を焼く事だって出来る。火力を高めていけば、世界そのものを燃やす事も出来るかもしれないし。

 私みたいな人への害がない能力者もいるけど、襲撃をしていた能力者達の事も考えると、そういう危険な能力を持っている能力者が多いのかもしれない。


「能力で暴れようという思考になる理由が分からないけど。世界が一変したから、その辺りの倫理観とかも緩くなってるのかな」

「火之花ちゃんは化物とかにしか使ってないしね」

「ここから狙撃出来れば良いのに」

「まだ危険人物か分からないから、早まらないでくれ。こっちの事情を話せば分かり合える可能性は十分にある。それでも攻撃してくるなら排除だ」

「ですね」


 そんな話をしていると、一際大きな揺れが襲ってきた。さすがに火之花ちゃんも耐えられず、私の方に倒れてくるので支える。


「うおっ!? 何だ!?」


 壁に寄り掛かって転倒を防いだ日暮さんが無線機を手に取って叫んだ。無線機から他の自衛隊員の声が聞こえてくる。


『海より例の植物が出現しました! 東堂氏の能力により、触れた瞬間から炭化しているようですが、質量の出現により大波が発生しています!』

「東堂の能力で直接押し上げられるって事は防げたわけか……機関に影響は!?」

『警備で……まだいけ……』

「大分やられてきたな。東堂、西園寺、予定と変わるがヘリを使う。大樹に近づきすぎずに着陸すれば、問題ないだろう」


 そう言って日暮さんは中に戻っていった。作戦変更の共有をしに行ったのだと思う。


「分かりました」


 聞こえていないのを承知で返事はしておく。

 本当は積んできた小さな船で行く話だったけど、海からも植物が出始めている以上、より安全なのは空だろうという判断みたい。私が能力を付与したとしても海に生じた質量による大波でひっくり返る可能性を考えたら、大樹に近づきすぎずに着陸すれば安全だろうと考えられる空を選びたくなるのは分かる。


「海水を吸っても大丈夫って事?」

「塩害は関係ないみたいだね。まぁ、存在自体が異常なものだから、このくらいはあってもおかしくないよ。私の能力で消せるけど、地面から生えてきた以上、そこで生じた唐突な質量の登場は海に大きな変化を生んじゃうみたい」

「明日以降の作戦開始だったら、海路も塞がれてたかもしれないか。即決即行動って意外と重要だったりするって事ね」

「私が生き残れたのは、火之花ちゃんがすぐに連れ出してくれたからだしね」

「まぁ、そうとも言えるか」


 無理矢理連れて行って貰う事が結果的に生き延びる事に繋がっている。あの時の火之花ちゃんの判断が私を救ったと言っても過言ではないし、そもそも火之花ちゃんが私を守って戦ってくれたから、私も戦う勇気を取り戻せた。

 色々な点で、私は火之花ちゃんに助けられている。そして、今も私を助けるために付いてきてくれている。それに対しては感謝しかない。

 ここからどう動くのか分からないので、待機していると日暮さんが二人の女性自衛官を連れて来た。


「東堂、西園寺。これ以上植物が増える前にここから東京に向かう。ヘリに乗るが、撃墜された時の事を考えて、錦、皆口と繋ぐ。タンデムというわけだ」


 私と火之花ちゃんがパラシュートを操作できるわけもないので、装備を装着して錦さんと皆口さんにしっかりと繋いで貰う。その状態でヘリに乗り、軍艦から飛び立った。


「少人数になりますけど、大丈夫ですか?」

「ああ。他は艦載艇で東京に向かう。こいつも向かうが、到着するかどうかは分からないけどな。東堂の能力は一度の発動で消えるはずだったな?」

「はい。でも。ずっと触れ続けていたので、一応まだ使える状態ではあるみたいです。まだ発光していますし。でも、私が離れたから、本当に一回消せれば良い方だと思います」

「ないよりマシだが、本来はないものだ。一回があるだけ感謝しかないだろう。今、他の仲間よりも東堂と西園寺を無事に届けられるかが問題だ。二人が作戦の要だからな」


 軍艦からヘリに乗り換え東京に向かう。予定通りではないけど、無事に東京に着けば後は走ってでも大樹まで向かえる。ここからが正念場かな。私じゃなくて、自衛隊員の皆がだけど……

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