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村に護衛料を要求するアンデッドを“忘れ”させたら、またもや議会貴族だった件

これは私が作っている新しい物語です。皆さんの応援をいただければ幸いです。

王都南方の宿屋。


 任務と任務の合間、勇者パーティは束の間の休息を取っていた。


 食堂では笑い声と酒の匂いが混じる。


 その空気を切り裂くように、ギルドの伝令が飛び込んできた。


「緊急依頼です! 南の村が“アンデッド”に脅されています!」


 ライトノベルが椅子から立ち上がる。


「被害は?」


「毎週、金貨を要求。“守ってやる”と……拒めば家畜や倉庫を荒らすと」


 護衛料。


 魔物にしては、妙に人間臭い。


 俺は黙って聞いていた。


 アンデッドが、組織的に金を集める?


 違和感がある。


 村は沈んだ空気に包まれていた。


 日が沈む前から、家々の扉は閉ざされている。


 村長が震える声で言う。


「最初は墓地から現れました。鎧を着た骸骨や、腐った騎士が……。ですが、妙に理性的で」


「要求は?」


「金貨三十枚。払えば、他の魔物から守ってやる、と」


 守る側を装う脅迫。


 あまりに露骨だ。


 俺たちは墓地近くに伏せた。


 夜。


 霧の中から、甲冑の音が響く。


 青白い光を纏った骸骨騎士たち。


 十数体。


 整列している。


 やはり統制がある。


「……行くぞ」


 ライトノベルが低く告げる。


 包囲。


 逃げ道は塞いだ。


 アンデッドの一体が声を上げる。


「勇者か。だが我らはこの村と契約している」


 契約。


 笑いそうになる。


 骸骨が契約を語るか。


 俺は前に出る。


 魔力を静かに広げる。


 忘却。


「自分たちが“死者である理由”を、忘れろ」


 一瞬、沈黙。


 骸骨の炎が揺らぐ。


「な……我々は……」


 骨が崩れ、腐肉が消え、幻影が剥がれる。


 現れたのは――


 豪奢な外套を羽織った男。


 そして、その取り巻き。


 村人がざわめく。


「……ギミョルマニド卿」


 そう。


 サー・マンフレッド・ギミョルマニド。


 貴族議会の重鎮。


 そして何度も不正疑惑で捕縛されてきた男。


「ば、馬鹿な……変身魔術が解除された!?」


 ライトノベルの剣が男の喉元に当てられる。


「またあなた方か」


 呆れを含んだ声。


「村を脅し、金を巻き上げる。言い訳は?」


 マンフレッドは鼻で笑う。


「これは政治だ。治安維持の一環だよ。村人は“守られている”という安心を買っているのだ」


 理屈は整っている。


 醜いほどに。


 拘束。


 取り巻きも含めて全員。


 村人たちは安堵の息をつく。


 だが俺は知っている。


 彼らはまた出てくる。


 影響力で。


 根回しで。


 貴族という身分で。


 帰路。


 誰も多くを語らない。


 これは初犯ではない。


 何度目かの“摘発”だ。


 だが、何度でも戻る。


 俺は考える。


 勇者は違う。


 俺たちは役に立たなければ、意味がない。


 評価されなければ、外される。


 結果を出せなければ、捨てられる。


 だが。


 彼らは違う。


 生まれた瞬間に価値が保証されている。


 どれだけ腐っても、爵位は消えない。


 何度捕まっても、肩書きは残る。


 俺は拳を握る。


 羨望ではない。


 怒りでもない。


 ただ、構造の違いを理解する。


 俺は“証明”し続けなければならない。


 彼らは“証明”する必要がない。


 それだけだ。


 ライトノベルが歩きながら言う。


「今回も記録に残る。だが……」


 続きを言わない。


 全員が分かっている。


 釈放される可能性が高いことを。


 村は救われた。


 今夜は。


 だが問題の根は深い。


 俺は静かに思う。


 役に立てば、捨てられない。


 少なくとも、勇者である限りは。


 それが、この世界のルールだ。


 不公平でも。


 それでも。


 俺は、使える側でい続けるしかない。

この最初のエピソードを読んでいただき、ありがとうございます。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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