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使い古した世界 HEAVEN  作者: やましたゆずる
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第4章 東京での出来事

澪は島根県、鳥取県、岡山県、兵庫県、大阪府、和歌山県、京都府、奈良県、滋賀県、岐阜県、福井県、石川県、富山県、長野県、静岡県、山梨県、神奈川県、東京都まで視察して来た。何処の県でも熊と遭遇して退治してきた。そして東京都檜原村で事件がおきた。猟友会メンバーが熊に襲われた。ライフルで撃って倒れたが突然息を吹き返し手負いの熊のチカラでお腹を引き裂かれ重症を負っていた。ハンターは仕事を確実にしていなかった。澪はそれを神奈川県で聞いて激怒した。「決められた事が出来ないハンターがまだ、いるのね。小林君!こういうの徹底しないと駄目だわ!すぐに都庁へ向かって下さい。」澪はぷんぷん怒っていた。「長官、東京の本部は檜原村役場です。大丈夫ですか?」小林は澪の横顔を見て神奈川県庁を後にした。「大丈夫でしか?長官!」山下神奈川県猟友会会長が心配していた。「嫌?大変だ!小林君、途中のスーパーでフルーツバスケットでも買って行こう!あったら寄って下さい。会長、ありがとうございました。会長の所も気をつけて下さい。基本を大切に!」澪は山下会長に敬礼しその場を立ち去った。東京に入ると成城石井があったので早速飛び込んだ。フルーツバスケットを買って檜原村役場へ車を走らせた。檜原村役場に着くと酒井会長と猟友会メンバーが澪を出迎えてくれた。澪は「酒井さん。お久しぶりです。挨拶はいいから車に乗って病院まで案内して!道中詳しい話聞かせて!」澪は酒井会長の目を見つめた。車は酒井を乗せて走り出した。「熊に襲われた隊員は入会半年の土井と言う23歳の若者です。肋骨3本骨折、腹部裂傷の重症ですが話は出来ます。」酒井は澪に説明した。「生命があって不幸中の幸いですがどうして、このような事になったのでしょうか?心臓外したのですね?」澪は酒井会長の顔を見た。「まだ、経験不足って言えばそうなのでが!日頃から射撃の練習は真面目にしている奴でした。」酒井会長は澪の顔を見て顔を曇らせた。「何故、防御服を着てなかった?二人体制で動いていたのか?もう一人は何してた!」澪は厳しい表情を見せた。「もう一人も捕獲しようと熊に近づいた所を襲われ、もう一人が銃で頭を撃って留めをさしました。二人とも防御服は着ていませんでした。私の管理指導不足です。申しわけありませんでした。再発しないように徹底いたします。」酒井会長は澪の目を見て微妙な表情を見せた。「酒井さん。今後、徹底して下さい。私の管理能力が問われますので、今回は、労災を適用いたします。後日、藤原首相に報告いたします。」澪は酒井会長の目を見てニヤリ笑った。「これは、大変申しわけありませんでした。」酒井は車の中で頭をペコペコ下げた。「小林秘書官、全国に防御服の着用を徹底させてください。お願い致します。」澪は小林の背中に言った。しばらく走ると東京医科大学八王子医療センターに着いた。三人は車を降りると病院の中に入った。酒井会長が病室を知っていた為すんなりと病室に入った。個室であった。土井隊員がベッドに横たわり、唸っていた。数多くの管につながれていた。「痛えよ〜!」口にしていた。付き添いの女性に小林が「つまらない物ですがお受け取り下さい。」見舞を渡し頭を下げた。「これはご丁寧に有り難う御座います。浩一の母です。」お母さんは小林に頭を下げた。「土井隊員のお母様でしょうか?私は、cpJ長官の宮崎といいます。この度は誠に申しわけありませんでした。私どもの落ち度です。息子さんの具合はいかがですか?」澪はお母さんの目を見つめた。「コレはコレは遠い所わざわざすいません。見ての通りです。昨日は錯乱状態でしたが今はだいぶ落ち着きました。」お母さんは澪の目を見つめた。「辛抱強い息子ですが流石に痛かったのだと思います。生命があって何よりです。本人は痛いでしょうが?ちょうど、喉の下あたりからお腹まで引き裂かれていましたから。肋骨3本骨折して!左側の上から3本やられました。現場は血の海でした。」お母さんは顔を引きつらせながら話してくれた。「本来なら防御服を着るのですが徹底されてなかったみたいです。痛恨の極みです。酒井会長にも口酸っぱくして言っておきました。」澪は、お母さんの顔を見つめた。「うちの浩一は長官の姿をテレビやネットで見て、ああいうふうになりたいとマタギの世界に入りました。危険な事は承知でしたから。あんな、綺麗な人が熊と戦ってるなんてとよく言っておりました。長官はこのお仕事をなぜ!」お母さんは澪の目を見つめた。「私、ですか?私、オリンピックのビームライフルの選手で金メダリストだったので、これを生かせる職業と思いマタギになりました。今の藤原首相と御縁があり、マタギの処遇改善を提案した所、私に白羽の矢が立ったと言う事なんです。そして、今があります。でも、10年になりますし、後輩に席を譲ろうと真剣に考えている所なんですが、こういう事故が起こるたびに人間としてまだまだなんだと思い知らされます。だから辞められません。」澪はお母さんの目を見て優しく微笑んだ。「長官の人柄はこうして話してみるとご立派な方だと思います。辞めるなんておっしゃらないで、うちの浩一や全国のマタギの方のお手本になっていただきたいと思います。」お母さんは、澪の目を見て優しく微笑んだ。「土井さん。お約束出来かねますがなるべく辞めないで続けて行きたいと思います。素敵な御言葉有り難う御座います。後浩一さんは労災になりますので治療費、入院費は国で支払いますのでご心配なさらないようにちゃんと直して下さい。」澪はお母さんの目を見て優しく微笑んだ。「すいません。何から何まで。」お母さんは澪の目を見て頭を下げて「浩一、宮崎長官がお見舞いに来ているわよ。」お母さんは、「痛い」と唸っていた。息子の方を揺らした。「長官!すいません。」ベッドサイドにおきて直立不動で澪の目を見て敬礼をした。「痛え〜!」と浩一は胸を押さえた。「バカ!寝てなさい!」澪は浩一の目を見て優しく微笑んで浩一が布団に横になると上から布団をかけた。「ねえ!土井君、防御服なんで着なかった!着ないの状態化していた?」澪は浩一の目を見つめた。「はい!していました。すいません。」浩一はいつも着てなかった事を認めた。「やっぱりな!そんな支部多いだろうな?中国地方、関西地方、四国地方、近畿地方、東海地方、北陸地方はちゃんと着ていたよね。小林君!ふだんは着てないのかな?」澪は半信半疑で頭を左右に傾けて小林の顔を見てニヤリ笑った。「酒井会長、徹底して下さい。」澪は酒井会長の目を見つめた。酒井会長は苦笑いを浮かべ頭をかいて「はい!」と小さな声で言った。「土井隊員、お大事に!お母さんも大変でしょうけど宜しくお願い致します。先を急ぐのでこれにて失礼致します。」澪と小林は直立不動で三人に敬礼をして病室を出た。「ご苦労さまでございました。お見舞い有り難う御座います。」お母さんは澪の顔を見て優しく微笑んだ。土井隊員も笑顔で敬礼をしていた。感激で言葉にならなかった。そして、澪は埼玉県秩父市へ向かった。東京では熊に遭遇しなかった。「長官、この視察で初めて熊に出逢いませんでした。残念です。」小林が澪の横顔をチラリと見た。


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