表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/21

第6話 試練開始!

「……やるしかない、か」


 試練の内容はシンプルだった。村の全ての仕事を朝までに終わらせること。ただし、手抜きは許されず、完璧な仕上がりが求められる。


 俺は深いため息をつきながら、まずは仕事のリストを確認する。


「鍛冶屋の仕事、大工仕事、農作業、漁の準備……いや、多すぎるだろ!」


 自分で言っておいてなんだが、どう考えても一晩で終わる量ではない。


「どうしたんですの? 早速諦めます?」


 優雅に紅茶を飲みながら、アリシアが俺を見つめてくる。


「そんなわけないだろ! やるよ! ただ……」


 どう考えても一人でやるのは無理だ。だが、俺にはこの村で培った人脈がある。


「おーい、みんな!」


 俺は村の広場に向かい、大声を張り上げた。


「ちょっと手伝ってくれないか!」


 すると、村人たちが興味深そうに集まってくる。


「なんだなんだ?」


「ついに観念して執事になるのか?」


「違う! 俺はこの試練をクリアする!」


 俺はリストを見せながら説明した。


「でも、一人じゃ無理だから、みんなに手伝ってほしい!」


 すると、村人たちは顔を見合わせた。


「ほう……つまり俺たちも一緒にやるってことか」


「うん!」


「おもしれぇ! 乗った!」


「俺も手伝うぜ!」


「私も!」


「いやいや、お前ら気軽に手伝うとか言ってるけどよ、試練ってのは本人がやるもんじゃねぇのか?」


「いいんだよ! 俺がまとめてやるより、みんなでやったほうが早いし、正確に終わる!」


「なるほどな……まあ、お前がそう言うなら、手伝ってやるか!」


「助かる!」


 こうして俺たちは、それぞれの仕事に取りかかった。



「よし、これで鍛冶屋の仕事は終わり!」


 俺とゴルドが仕上げた刃物や農具が、ずらりと並ぶ。次は大工仕事だ。


「この梁をしっかり固定して……よし、次!」


「おお、すげえ! 仕事が早え!」


「当たり前だろ! ここで手を抜いたら明日の仕事が増えるだけだからな!」


「まったくだな!」


 皆で協力しながら作業を進めることで、圧倒的なスピードで仕事が片付いていく。


「おい、農作業の方はどうなってる?」


「バッチリだ! ほら、見ろよ!」


「土もちゃんと耕したし、作物の間引きも終わったぞ!」


 畑の手入れが終わり、作物が生き生きとしている。さすが村人たちだ。


「漁の準備も完了しました!」


「すごい……これなら明日の漁は問題なさそうだな!」


「ふふっ、あなた、意外と指揮をとるのが上手いんですのね」


 アリシアが楽しそうに微笑む。


「……こんな大仕事は二度とやりたくないけどな」


「でも、あなたがまとめてくれたおかげで、皆も楽しく働けたようですわよ?」


「……まあ、そうならよかったけど」


「こういう働き方をすれば、あなたも無理なく過ごせるのでは?」


「……いや、俺はもっとのんびりしたいんだって!」


「ふふっ、本当におもしろい方ですわね」



「ふう……」


 気がつけば、空が明るくなり始めていた。全ての仕事を終え、俺は村の広場に倒れ込んだ。


「終わった……終わったぞ……!」


「本当にやり切ったのですね」


 アリシアがゆっくりと近づいてきた。


「さすがに、あなた一人では無理だったでしょうが……なるほど。こういう方法で乗り切るとは」


 彼女は微笑んだ。


「約束ですわね。あなたを勧誘するのは、これで終わりにします」


「マジで!? もう来ないの?」


「そうですわね……あなたを雇うのは諦めます。でも、また遊びに来るかもしれませんわ」


「いや、来ないでいいから!」


「ふふ、どうかしら?」


 その言葉を聞き、俺は安心して眠りに落ちた。



 こうして俺は試練を乗り越えた。しかし、この出来事がさらなる騒動を巻き起こすことになるのだった……。

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思った方は、

☆☆☆☆☆を面白かったら★5つ、つまらなかったら★1つにして頂けると、とても嬉しく思います!


また、『ブックマークに追加』からブックマークもして頂けると本当に嬉しいです。


皆様の評価とブックマークはモチベーションと今後の更新のはげみになりますので、なにとぞ、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ