表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【短編】現代ドラマ短編シリーズ

卓と蘭の秘密

作者: 烏川 ハル

   

「出来たよ。砂のお城だ」

「わあ、大きい。お兄ちゃん、すごーい!」

 公園の砂場で、幼い息子と娘が遊んでいる。

 ベンチに座って、二人の様子を微笑ましく眺めている私。

 (はた)から見れば、仲睦まじい親子のように見えるのだろうか。


 兄の(たく)と妹の(らん)

 確かに卓は、私によく懐いてくれているが……。

 実は私とは血が繋がっていないのだ。夫と前妻の亜子(あこ)さんとの間に生まれた子供なのだから。

 亜子さんが事故で亡くなったのは、まだ卓が生まれて間もない赤ちゃんの頃。私が継母になったのもまだ彼が物心つかない頃だったので、どうやら卓は亜子さんについて全く覚えていないらしい。

 一方、蘭が生まれたのは私の再婚後。当然、私がお(なか)を痛めて産んだ子供だ。

 いわゆる「腹違いの兄妹(きょうだい)」だとしても、二人とも本当に仲が良くて、蘭に至っては時々「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」と言い出すほど。卓は「残念だけど、血の繋がった兄妹(きょうだい)は結婚できないんだ」と返しているが、まだ幼い子供なのに、一体どこでそんな知識を覚えてきたのだろう。


 それだけ二人の仲が良いのだから、あえて卓に実母のことを思い出させる必要もない。卓と蘭に対しては「二人は父も母も同じ、普通の兄妹(きょうだい)」ということにしておこう。

 夫と相談して、そう決めたのだが……。


 実は夫にも隠したままの、さらなる秘密がある。

 夫と結婚後に出来た子供だけれど、蘭の血縁上の父親は夫ではないのだ。だから卓と蘭には、血の繋がりは全くないわけで……。


「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」

「残念だけど、血の繋がった兄妹(きょうだい)は結婚できないんだ」

 という二人の会話を耳にするたびに、私は少し複雑な気持ちになる。




(「卓と蘭の秘密」完)

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ