悪役令嬢ロボット
ギギ、ギギギ・・・。
コンナ紅茶、飲めまセン、ワ!
アナタなんかに王子さまはモッタイなくてヨ!
そんな音声が周囲でいくつも響いていた。
ここは悪役令嬢ロボット作成工場。
昔悪役令嬢が流行ったときに作られ、忘れ去られた工場だ。
そして今なお、悪役令嬢ロボットは生産され続けている。
しかし、ある日その工場に少年が紛れ込んだ。
少年は悪役令嬢ロボットたちに囲まれても、物おじせず、ロボットたちに話しかけた。
「何でそんなに怒っているの? 王子さまを手に入れなくても、それだけが幸せじゃないはずだよ」
少年の言葉に、悪役令嬢ロボットたちは初めて他の可能性を考えた。
そしてある日、工場が突然作り出すロボットを変えた。
新しい型のロボット――それはそれは「穏やかな令嬢ロボット」だった。
王子や聖女ではなく、自分自身の人生と幸せを追求するロボットだった。
悪役令嬢ロボットたちは、穏やかな令嬢ロボットと会話することで、どんどん穏やかになり、幸せになっていった。
それから悪役令嬢ロボットたちは、みんなで楽しく話したり遊んだりして暮らした。
『自分を苦しめるのは、自分自身の気持ちだったんだよ。よかったね』
少年はそう呟いて、空へと昇って行った。
少年は生産されたが破棄されてしまった王子様ロボットの、魂だった。
悪役令嬢ロボットたちは笑顔で「ギギギ、結局私たちは愛される存在でした、ワ!」と言い合い、新しい未来を迎えた。
自分を愛するのは、まず自分自身なのだ。
皆さんも自分を愛してあげてください
そしてその次に私を愛することをおすすめします
少しでも何か思うことがあれば、評価をいただけたら嬉しいです