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白鳥星蘭の日常

作者: Sana

タイトルを変更するにあたって、本編と番外編に分けました。

 

 AM5:00


 わたくしは、カーテンの開く気配にベッドの中で寝返りを打ちました。

 もう少し眠っていたいと思いますが、無情にも窓が開いて、入り込んだ12月の冷たい風が頬を撫でます。


「はぁ……起きなくてはなりませんわね」


 わたくしは諦めて目を開けました。

 そもそもこの時間に起きられるよう、部屋に命令したのは、わたくしです。


「もう良いですわ。窓は閉まって。アロマポットは、わたくしのお気に入りのアロマを焚いてくださいな」


 次の命令を下して、隣のバスルームに向かいました。

 わたくしの部屋は三星ホテルのスイートルームと同じ造りになっていますので、専用のバスルームがあるのです。

 まぁ、良家の令嬢の部屋としては普通ですわよね。


 目の前で、扉がさっと開きます。

 高級家具店の扉だということもありますが、わたくしのしつけも効いているのでしょう。


 家具たちの働きに満足してシャワーを浴びると、ふわふわのバスローブをまとってベッドルームに戻りました。

 クリスタルと金でできた小さなベルを鳴らします。


 一瞬のうちに、足音を立てずにメイドが現れました。


「今朝はあまり食欲がないの。ホワイトアスパラの冷たいスープと小さなスコーンを1ついただくわ。あ、クロテッドクリームと黒すぐりのジャムを添えてね。珈琲ではなく、ハーブティーをお願い」


 メイドは一礼して、下がりました。

 ドライヤーに命じて、髪を乾かさせます。

 その間に、朝のお勉強ですわ。

 時間は有効利用しなくてはね。


 すっかり髪がかわくと、京都で作らせた櫛が飛んできました。このあたりの連係は、もう命令しなくても、できるようになっております。


「星蘭さま、朝食の用意が整いました」

「すぐ参りますわ」


 メインルームに移動して、朝食をいただきます。

 白鳥家では、朝はそれぞれのお部屋でいただきます。

 お仕事で遅くに帰られるお父様を、朝早くから学校に行く弟の朝食に付き合わせるのは申し訳ありませんものね。お母様はそもそも朝はお召し上がりになりませんし。わたくしも朝からステーキを食べる弟と朝食を別にできることを嬉しく思っておりますわ。


 食べ終わると、ピアノのレッスンです。

 わが家では、現役を引退されたプロのピアニストを住み込みで雇っておりますので、好きな時間にレッスンが受けられます。


 AM7:00


 部屋にベートーベンの運命が力強く流れました。

 支度をする時間です。

 先生にお礼を告げて帰っていただくと、メイドが学生服を持って来ました。


 楼園紅鈴学園(ろーえんぐりんがくえん)の制服は、お洒落なことで有名です。

 初等部、中等部、高等部とデザインが変わりますが、わたくしが通う初等部女子の衣装は紺色のワンピースに、ボレロ風のジャケット。白い襟と、腰の後ろで結ぶ大きなリボンが可愛らしくも清楚な印象です。

 対して男子は縁に金糸と銀糸で刺繍を入れた、白のパンツに短めのジャケット。シャツが必要以上にドレッシーで、宝塚のような印象です。


「お嬢様、お車の用意ができました」

 

 執事が、部屋の扉をノックしました。

 7歳の時、夜中に家を抜け出した時から、わたくしに付けられた専用の執事です。


「わたくしももう出られますわ」


 鞄を執事に預けて車へ向かいました。

 白のパンツと短めのジャケットが、今朝もわたくしにフィットしています。

 車に乗る前にメイドが胸元にポケットチーフと赤い薔薇を差してくれました。


「行って参ります」


 わたくしはにこやかに微笑んで、学園に向かいました。

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