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第二十三節 SIDE-美和-

 さてさて生理的に受け付けない笑顔を浮かべる新キャラも登場いたしまして、舞台は再び一触即発の間合いでございます。


 それにしてもこの新キャラ噛ませ犬かと思いきや、以外にも強キャラでございました。


 腕力も技術もアレク君より上と来たもんです。


 このままでは私のアレク君がやられてしまいます。


 そこでお助け美和さんの出番というわけでして。


 アレク君へ作戦も伝えましたし、必要なものはそろえました。


 それでは参りましょう。イッツ☆サイエンス!


 両者にらみ合いが続いてますが間合いの関係上どうしてもアレク君が後手に回ります。


 私の読み通りレイピアを手に突撃してくるパク氏。


 先ほどと同じようにデュランダルで受けるアレク君。


 結果も当然同じでデュランダルを振りかぶってレイピアごとパク氏を吹き飛ばします。


 すると再現VTRのようにまたしても後方へ飛んで一定の距離を取るパク氏。


 しかし先ほどと違うのはアレク君の手には沢山の金属粉が詰まったゴム風船のような袋を手にしております。


 そのゴム袋を山なりに相手へ投げつけるアレク君。


「そんなもの投げつけてどうしようとうのです?」


 殺傷能力がないと判断したのかゆっくり近づいてくるゴム袋に対し警戒心の薄いパク氏。


 しかもゴム袋の飛距離が自分に届かないことを見切っているのか動く気配もありません。


 丁度パク氏の視線の高さくらいにまでにやってきたゴム袋。


(アレク君!今です!)


「ファイヤー・ランス!」


 ゴム袋目掛けてファイヤー・ランスが放たれます。


「投擲で視線誘導からの魔法ですか、作戦にしては稚拙なぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ファイヤー・ランスがゴム袋に直撃した瞬間、辺りは眩い光に包まれました。


 至近距離で直視していたパク氏は堪ったものではないでしょう。


 最悪、失明の恐れもあります。この世には治癒魔法もありますのでそこまで心配要らないでしょう。


「きさまぁぁぁぁ!何をしたぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「ちょっとした科学実験さ」


 両目を押さえて悶絶するパク氏にアレク君は笑顔で答えます。


 そう。科学実験なのです。


 ゴム袋の中身は大量のマグネシウムの粉と少量の硝酸ナトリウムの粉が詰め込まれておりました。


 さて問題です。マグネシウム粉の中に燃焼補助剤として硝酸ナトリウム粉を入れたアルミニウムの筒による現在兵器がありますがそれはなんでしょう?


 ヒントは非殺傷武器とか非殺傷鎮圧武器とか言われてたりします。


 もう分かりますよね?そうです、スタングレネードです!


 激しい閃光と大音量の爆発音で目と耳をやっちまうやつですね。


 今回は火薬部分を抜きましたので閃光だけですが。


 どちらかというと電気制御される前のカメラのフラッシュとかが近いですね。


 さて、実力はパク氏に軍配が上がるでしょうが、果たして視力を失った状態ではどうでしょうね?


 答えは簡単。いつものように極太ワイヤーで縛り上げちゃいます。


 ついでにクロロホルムを精製して吸引させて眠らせます。


 因みにクロロホルムは扱いを間違えると割りと簡単にお逝きになられますので、ドラマとかでよくあるハンカチに染み込ませてー的なのはお勧めしません。


 濃度を薄めて少量ずつ時間をかけてやるのがお勧めですよ!


 そんなこんなでおとなしくなったパク氏。


 登場がハデな割にはかませ犬感が半端ないですね。


(美和さん。セイルの治癒をお願いします)


(はいはーい。いつでもどうぞ!)


 おっといけない。こんな可愛い幼女に傷一つ残しちゃいけませんよね!


 スーツに守られている箇所は大丈夫でしようが、今セイルちゃんが着用しているのはインナーバージョンですので、衣服から出ない箇所が守られる程度です。


 腕とか脚とかは素のままですから擦り傷や切り傷が多数見受けられました。


 因みにアレク君が投げ捨てたことによって辛うじて繋いでいた意識は刈り取られて今は静かに眠っています。


 セイルちゃんの外傷をきっちり治療し終わる頃にはネイアさんが大穴から戻ってきて、


「申し訳ございません旦那様」


 開口一番謝罪からはいりました。


「なに、気にすることないよ。どうもコイツはミリアと同じで精霊を吸収した特殊な人間っぽいし」


「しかし…」


「気にしない。気にしない。それよりも地下牢のほうはどう?」


「あと二名ほどです」


「じゃあ、救出作業に戻って早く安心させてあげよう」


「畏まりました」


 ネイアさんはもう一度深くお辞儀をすると退出していった。


 アレク君はフッと小さく笑うと瓦礫に埋もれて身動きが取れなくなっていた三体の自動人形を捕縛し始めた。


 丁度全員を縛り終える頃にセイルちゃんの意識が戻りました。


「…お兄様?」


「あぁ、セイル目が覚めた?」


「はい。…そうだライコフは!?」


「ライコフ?そういえばさっき連行されたって」


「そうなんです!帝国軍に連れて行かれなんです!」


「まぁ今回の首謀者が捕まえられないのは悔しいけどここは帝国領なんだし、仕方ないんじゃないかな?」


「違うんですお兄様!ライコフは…いえ、あの子は見た以上にずっと幼いんです!今回の事件もその男に騙されてやってしまっただけであの子も被害者のひとりなんです!」


「でも帝国軍が相手だと外交的にも…」


「お兄様!お願いします!!」


 見たこと無いセイルちゃんの必死な表情にアレク君も気圧されているようです。


 しかし、ここで帝国軍に手を出すことは外交問題に…ん?もう既に手を出してません?


(あのーアレク君?)


(どうしました?)


(私たちって既に帝国軍に手を出してません?ほかあれ)


 私は床に転がるパク氏を指差してアレク君の視線を誘導しました。


 数秒間パク氏お眺めていたアレク君ははぁぁぁぁと長いため息とともに頭をガシガシと掻いています。


(一人やっちゃった以上、もう何人でも一緒じゃないですか?)


 私はニッコリとアレク君へ笑いかけます。


(………それもそうですね)


 はい。論破。幼女の頼みを断ろうだなんてこの美和さんが許しませんよ!!


 苦笑を浮かべながらも必死に懇願するセイルちゃんの両肩に手を添えるアレク君。


「分かった。俺がなんとかする。詳しい話を教えてくれ」


「お兄様!ありがとうございます!」


 笑顔のセイルちゃんから戦闘状況の詳細を語られました。


 話を聞くうちにだんだん険しい顔になっていくアレク君。


 説明を聞き終わることには完全に顔には影が落ちダークモードアレク君が降臨しておりました。


「あははははは…そうかセイルにそんな事を…ははっ、ははははははは!」


 目が一切笑ってませんよぉ!?


 流石にセイルちゃんもアレク君の異変に気が付きビクッと身を引いています。


「セイル。悪いけどライコフを助けに行くのはちょぉぉぉとだけ待ってもらっていいかな?なにほんの数分さ」


 ダークモードアレク君に問われるもセイルちゃんは首を何回も縦に振るのが精一杯なようです。


「美和さんも悪いけどここで待ってもらっていいですか?」


 今度は私!?


(も、もちろん。大丈夫ですよ?ごゆっくりどうぞ?)


「あはは、ありがとうございます」


 ダークモードアレク君はそう言い残すとパク氏の足をつかんで外へ出て行きました。


 その後数百回の打撃音と途中から悲鳴が鳴り響きましたが私たちは何も聞いてませんし何も知りません。


 ただ言えることは、アレク君を本気で怒らせる事だけは絶対にしないでおこうと心に誓いました。


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