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第十三節 SIDE-美和-

 最上美和のーお手軽拷問講座ー


 はい。というわけで始まりました。


 最初にして恐らく最後になるであろうこの講座ですが、皆さんどうか最後までお付き合いください。


 それでは材料の確認から。


 最低ゲス野郎のロリコン魔族が一体。魔力を少々。以上です!


 それでは初めて行きましょう!


 まずは太目のワイヤーロープで全身を縛り上げます。


 この時の注意点として怒りに任せてワイヤーで輪切りにしてしまわないようにしましょう。


「うわっ!何をする!?解け!!」


 ゲス魔族の悲鳴が良いアクセントになってます。


 胴体だけでなく手足が拘束されているので転倒すると顔面をしこたま打ち付けるのがミソですね。


 それでは続けてまいりましょう。


 お次は全長五cmくらいの毛虫のおもちゃを用意します。


 コイツは魔力が切れるまでのあいだうねうねと動きながら這いずり回るように設計してあります。


 で、コイツを十体ほど生成してゲス魔族の服の中に投入します。


「なっ!ちょ!何か体を這いずって!ひゃ!うひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


 はい。悲鳴が笑い声に変わりましたね。これは良い傾向です。


 無数の毛が体に触れてそれはもうそこら中がこそばゆい事でしょう。


 それではのた打ち回っているゲス魔族にさらなる追い討ちをかけていきましょう。


 今度は三角形に尖った小石を用意します。


 丁度まきびしのような形になるようにしましょう。


 これを二十個ほど用意してゲス魔族のロングブーツの中へ投入します。


 するとどうでしょう。


「痛っ!痛い!!ブーツの中で小が刺さって足が全体的に痛い!!」


 と、こうなります。それでも毛虫が這いずりまわるので、


「痛いけど!うひゃひゃ!こそばい!!痛っ!でもこそばっ!うひゃひゃひゃ」


 痛みとこそばゆさがエンドレスワルツでございます。


 これで終わりかですって?そんなわけがございません。


 こんなゲス魔族には地獄すら生ぬるいってもんですよ。


 きっとこの場が世紀末なら奇声を上げながら頭が吹き飛んでいることでしょう。


 ここまでは触覚への攻撃でしたので、お次は味覚と行きましょう!


 辛味成分を口に放り込むのかって?いえいえ、そんなことは致しません。


 辛味は味覚ではなく痛覚を刺激します。それを大量に与えてしまうと場合によっては気絶してしまうことになりかねないのです。


 それでは拷問になりませんので、今回は体に優しい『カテキン』を使用します。


 この『カテキン』は緑茶に多く含まれており、主に苦味と渋味をになってます。


 これを100%抽出して口の中に放り込みます。


 すると舌の奥のほうからじわじわと。


「うげぇ!なんだこれ口の中が苦い!渋いぃぃぃ!!」


 と、いう事になります。勉強になりましたね!


 さぁだんだん楽しくなってきましたね!お次は聴覚と参りましょう!


 皆さん不快な音を想像してみてください。


 恐らくほとんどの方は黒板を爪で引っかく音や、発砲スチロールをこすり合わせる音などを想像したのではないでしょうか?


 あれって実は、音の周波数が不快の原因なんです。


 人間の耳は特定の周波数帯をもつ音が外耳道の中で増幅される作りになってます。


 そして、一番増幅されやすい周波数帯が2000-4000Hzと言われ、これが不快な音の原因とされています。


 つまり黒板を引っかく音が不快なのではなく2000-4000Hzの音全般が不快な音ということになります。


 よってこのゲス魔族の耳周辺のみで3000Hzの音を出し続けると、


「うわ!なんだこの音は!背筋がゾっとしてくるぅぅ!!」


 こうなります。


 どんどんいきますよーお次は嗅覚です。


 シュールストレミングやクサヤなどに代表される臭みですが、アレは発酵による腐敗ガスが主成分となってます。


 簡単に言ってしまえば物が腐れば臭い匂いを放つってことです。生ゴミと一緒で。


 因みにお手軽に生成できて強烈な臭いを放つものってなんだと思いますか?


 そうです。皆さん以下の実験でおなじみにアンモニアです。


 アミノ酸に起因するアンモニア化合物がもっとも簡単に生成できる臭み成分といえるでしょう。


 ただし、直接嗅ぐと刺激臭となって気絶することもあるので、お気をつけて!


 それではアンモニアが染み込んだティッシュを鼻につめるとどうなるでしょう?


 答えは、


「ぐはっ!臭い!目にしみる!!臭いぃぃ!口の中の苦味が増していく!!!!」


 となります。臭いの成分が味覚を刺激する面白い結果となりましたね。


 さて、触覚、味覚、聴覚、嗅覚ときましたね。


 それでは最後に残った一つはなんでしょう?


 そう!視覚です。


 不快な画像を生成して見せ付ければいいだけの話ですが、それでは面白みがありませんので今回は趣向を凝らしてみましょう。


 このゲス魔族はロリコンなわけでして。その対極に位置するものを強制的に見せ付けてやろうかと思うわけです。


 さて、みなさん。一緒に考えてください。


 ロリコンの対義語ってなんでしょうか?


 まぁここからは個人の志向によるものですので、深くはつっこみません。


 ですので、私が思うものを召還しようと思います!


 それではお越しいただきましょう!


 ボディービルダーの熱烈な絡みです!!!


「マッチョが!マッチョがぁぁぁぁぁ!うわ!?なんだこれ!?目を閉じても見えるぅぅぅぅ!!」


 うーん、なんとも良い響きです。ゲスの断末魔って心に響き渡りますよね!


「くそっ!ふざけやがって!!これでもくらいやがれ!ライトニング・ボルト!」


 おっと、ゲス魔族が健気にも雷で反撃してきました。


 まぁあたり一面にワイヤーネットを張って避雷針代わりにしてますので、こちらに当ることはありませんけどね。


 何度も何度も飛来する閃光ですが、関係の無い地面に落ちるだけで私たちに一切の害はありません。


 ただ眩しいのと五月蝿いので、イライラが募ってまいりまいたが。


(あの…美和さん?)


 このゲス魔族をどうしてやろうかと思案しているとアレク君から念話が入りました。


(どうしました?)


(いえ、もうそろそろ終わったかなーと)


(えぇ、お仕置き完了です!)


(それじゃあアジトを聞き出してもいいですか?)


 おっと、拷問に夢中で目的を忘れてました。


 そうです、こいつの魔の手から他の幼女を助け出す使命が私にはありました!


(そうですね。では拘束以外は一度全部解除しましょう)


 もう少しこの芸術を味わって居たいという欲求に駆られながらも目的のために仕方がないと全ての拷問を解除しました。


 拷問を解除すると周りの雷は収まり、拘束はそのままで地面に横たわるゲス魔族はハァハァと息を荒げながらも何とか整えこちらをキッと睨んできました。


「鬼か!貴様ら!」


「黙れロリコン」


「なっ!」


 ゴミでも見るような目で見下しながらアレク君が一言で黙らせました。


 アレク君がゲス魔族の胸倉を掴むをグイッと持ち上げ、ドスを聞かせた声で問いかけます。


「他に攫っていった人はどこに居る?」


「ふんっ!問われて素直に答えるやつなんぞ居るものか!」


「美和さん。もう一度フルコースで」


「わかりました」


 私は発動直前で待機させていた魔法をアレク君の始動によって再発動させました。


 うっきうきで。


「ぎゃぁぁぁぁ!!痛い!苦い!臭い!マッチョが!マッチョがぁぁぁぁぁぁ!」


「美和さん。ストップしてください」


「はい」


 一分ほどそのままにしてからアレク君の指示で停止させました。


 ゲス魔族はまたしてもハァハァと肩で息をしているご様子。


「で?何処に居る?」


 そんなゲス魔族を再びグイッと持ち上げ問いただすアレク君。


 持ち上げられたゲス魔族の目には怯えが見え隠れするも口をつぐんでいます。


「美和さん。もう一回いけますか?」


「えぇ何度でも」


 私たちの声にビクッと大きく肩を揺らすゲス魔族。


 今にも泣き出しそうな表情がなぜか私の笑いを誘いました。


 なんとか笑いを堪えようと表情を固めるも漏れ出てしまった笑いが口元だけをゆがめ、ニヤリと笑ってしまいました。


 その表情をみたゲス悪魔は白目を剥き泡を吹いて気絶してしまいました。


「「あっ…」」


 私たち二人は小さく呟くとお互いに顔を見合わせ、そのまま同時に天を仰ぎました。


 恐らく同じこと心の中で叫びながら。


 なんかこの感じ久しぶりですね!


 それでは皆さんご唱和お願いします。せーの!


 どうしてこうなったっ!!!!!


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