第四話 ~願い事を聞きまくろう~
そう、気になるのはこれだ。
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至急レッドホーンウルフの角を10求む
一つ正金貨4枚で買い取る
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これは明らかに怪しくもあり旨い話でもある。
これを怪しまずしてはいられないのだ。
とにかくこれは至急と書いてある以上急いだほうがいいだろう。
ということで外に出てレッドホーンウルフを狩りまくろう。
ということでやってきました街の外。
風圧斬でレッドホーンウルフは倒せると思うので大丈夫であろう。
それにもし何かあったら“導く者”に頼ってしまえば問題はない。
というわけで最初に来たほうの森に潜入する。
とのこのこやっていたら不思議なことにレッドホーンウルフが現れた。
好戦的なのだろう。
ということで風圧斬で切り殺せばいいと……
≪問題が発生しました。個体名“レッドホーンウルフ”に囲まれました。数は20と推測。退避を推奨します。≫
さすがに驚くよね。魔物が知性をもって人を囲むこともあるのだろうけれどもさすがに20体はやばくない?
包囲されてるんでしょ?
(そもそも逃げられるの?)
≪……演算結果によると成功する確率は1%です。≫
(駄目だよねそれ?!)
≪……≫
黙りやがった。
導く者なら導いてくれよ!
じゃあ風圧斬を全方位に放つ?
だったらどうする?
全方位魔法は存在するのだろうけど……
じゃあ全の風圧斬でなにかあるか?
(全方位風魔法は存在するか?!)
≪……思いが強いとき、魔法は生まれます。必要な形に沿って。その思いを詠唱で表し、全方位風攻撃魔法を体現させる必要があります。技名を抽出します……風圧掃討となりました。≫
(よくわからんけどやるわ!)
「風精霊よ、敵を攻撃する手段となり、我を保護して、その願いにこたえてくれ。風よ吹け、風圧掃討!」
その瞬間今までなかった技が登場した。
風圧掃討だ。
魔法は使用者に沿い、成長し、新たな魔法として体現せしめる。
それをできるものはこの世界に数人も存在しない。
それに本当に願わなければその魔法は完成しない。
そう。それを完成させたのが俺だ。
その魔法は幻想的に周りの風を集め、俺の刃となるべく空を翔る。
そして俺の周りへと収束し、それが周りに放たれる。
まるで周りに突風が吹いたかのように。
≪……久しぶりに魔法が作られる瞬間に立ち会えました。≫
(そんなに珍しいのか?)
≪当然です。意志が強くなければ到底作れませんし、ましてや作ろうとも思う余裕はありません。≫
そう、幻想的且つ威力を持つ範囲攻撃などあってはたまらない。
だがそれが新たに作られるのであればまた話は別だ。
それが今回の風圧掃討だ。
≪では持ち帰りましょう。そろそろ門が閉まってしまいますよ。≫
(ああ、わかった。)
≪それと今回の魔法ですが、秘密にしておいたほうが良いですよ。≫
(わかった。)
と言いつつ収納魔法にレッドホーンウルフの角と肉をしまう。
これで安心して帰れるだろう。
ん?フラグを立ててしまったか?
そんなことを気にしている暇はない。門が閉まる前に街に入らなければならないのだから。
≪高密度の魔力の塊を検出。≫
うん。フラグ回収か?
≪回避してください!≫
と言われるままに右に回避してみる。
やばかった。動かなかったら地属性の土の球に当たって死にかけていたかもしれない。
(なんなのこれ。早く帰りたいんですけど。)
≪物体の接近を感知。解析結果によるとレッドホーンウルフの頭のようです。≫
(なんでやねん。)
≪……?≫
あ、謎を浮かべている。
これはだめだ。
とにかくこいつを倒して帰らなければ……
って角が金色なんですけど?!
こいつはやばい予感。
「お前か、子分たちを倒してくれたのは。」
うう、耳が痛くはないけどちょっと重圧でつらい。
「お前は強いだろう。だがお前を殺し、子分たちの仇をとってくれよう。」
やばい。こいつはたぶん強い。
逃げたほうがいいかな。
聞いてみる?
聞いてみようか
(なあ、どうすればいい?)
≪すでに敵に広範囲結界に囚われているため脱出は不可能です。≫
卑怯だなおい!
広範囲結界とかやめてくれ?
お願いだから逃がしてくれ?
「広範囲結界、か。卑怯だな。」
ぼそっと呟いたつもりだったのだが聞き取られていた。
「それが俺のやり方だ。」
「そうかい。じゃあ倒してやる。」
ってそうじゃないんだよ!
ねえ喧嘩売ってどうするの?
逃げなきゃいけないのに?
どうすればいいの?
そうだ、攻略策ないか聞こう!
(なんか勝てる方法ある?!)
≪至急方法を考えます……演算結果によると風圧斬を収束し、高威力化した魔法、収束風弾を周囲に展開、同時射撃を推奨します。≫
じゃあ試してみるしかないだろう!