第三話 ~王都は存在するんですか?~
とりあえず宿から出る。
まだ昼だろう。
転生してから1時間もたっていないだろう。
それはそうと身体能力が格段に強化されている感じがする。
1㎞を5分もかからず歩けるのは異常なのではないか?
(1㎞を5分は異常なのか?)
≪明らかに異常です。≫
とはっきり答えをいただいちゃいました。
人外確定してしまったものだ。
まぁもとからわかっていたが。
(首都みたいなのはあるのか?)
≪あります。この近くにはスフィア王国の王都、グランデがあります。ここからグランデまでは約30㎞あります。ちなみにここはアルデミア地方のシェーフィム。王都に近い都市としてこの世界ではそれなりに発展しています。≫
(へぇ。じゃあ150分で着くな。2時間半だな。)
≪そうですね。普通の人なら休憩も含めて7時間くらいかかるんですがね。≫
とまぁお褒めの言葉とも取れないような回答をいただきました。
とりあえず仮にも俺が超人だとしても準備なくして出発は一応できるけどできないので出発は翌日にする。
宿を出てそのあたりの商業通りとでもいうべきだろうところを散策していると薬屋の入り口に
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レッドホーンウルフの角求む
金額はそれに応じた数を支払います
先着1名
よろしくお願いします!
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レッドホーンウルフ、か。
持ってるが何に使うのか気になる。
まぁもしかしたら聞いたら取引してくれないかもしれない、っていうか薬屋だから薬を調合するのに使うのだろうか。
とにかく肉体と角は分離できるのだろうか。
(角と肉体は分離できる?)
≪可能です。実行しますか? YES/NO≫
(もちろんYES!)
≪……完了しました。≫
分離完了したみたいだ。
ということでここの薬屋の主人を呼ぼう。
「おい、ここの主人はいるか?」
「ん、客か?」
「いや、入り口の張り紙を見た。」
「そうか。先着だから頑張れよ。」
「いや、もう角を持っているんだが。」
「……は?」
「先着なんだろう?もうレッドホーンウルフの角を持っているから売りたいんだが。」
「そうなのか?どうせ冗談だろう?実物を見せてみなさい。」
そういわれたのでいつも通りバック、と見せかけて収納魔法から角を取り出す。
「これだ。」
「え?あ、はい。」
「ほら実物だぞ?」
「じゃあ鑑定させていただきますよ?」
「好きにするがいい。」
そういうと鑑定を始めた、ように見える。
「本当だったのか。無礼を詫びる。」
「いや、わかってもらえたならそれでいい。」
「ああ、ありがとう。」
「で、どうだ。どのくらいで買い取ってくれる?」
「そうだな。正銀貨7枚でどうだ?」
「そんなに安く見られちゃ困る。これでも大きいほうだぞ?」
「わかった。正金貨1枚だ。これでいいだろう。」
「もしも俺がここを通らなかったら?」
「……わかった。正金貨2枚だ。これ以上は出せん。」
「それで満足だ。ありがとうな。」
そういいつつ正金貨2枚を受け取り、店を去っていく。
≪値切りが得意なようで。≫
(そんなことはない。)
≪確かに失敗する可能性もありましたね。≫
(だがレッドホーンウルフは強いのだろう。だから確実に売って貰わないと次手に入るまで相当な時間がかかるのだろう。それを店主の顔が語っていた。)
そんなことを語りつつ商業通りを回る。
いろいろ周りを見ているのだが、武具店や防具店、薬屋などまるで外に出るために用意された装備みたいな感じで用意されている。
少なからずそういった魔物素材の需要はあるのだろう。
そういえば思ったのだが冒険者ギルドとか異世界といえばメインのそれがない。
なぜだ。
(ギルドとかないのか?)
≪ありません。≫
なんということだ。
その仕組みを思いついたものがいても資金が足りなかったりして開けなかったり、そもそもその考えが似人もいたのだろうか。
それに魔物が強いからと外に出ないものも多い。
納得だ。
ギルドを立ち上げて冒険者という職業でこの世界を背の平に乗せるなんて言うことも簡単かもしれないな。
むろん失敗もあるかもしれないが。
とにかく試すには時間が必要だ。
これからそれも視野に入れて金を稼いでおこう。
時間もあるので一度外に出て魔物を狩ってもいいかもしれない。
その前に何の需要があるのかを調査しなければなるまい。
というわけで商業通りを散策している。
食料品売り場もあるのだが食用の肉不足みたいだ。
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食用の肉求む
食べられる肉であればよいです。
血抜きしてある状態だとより良いです。
いくらでもよいです。
よろしく頼む。
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といったものがあった。
これに関してはレッドホーンウルフの肉でいいだろう。
さっきの店とは違う薬屋でもレッドホーンウルフの角を求める張り紙があった。
レッドホーンウルフはそんなに需要があるのだろうか。
さらに歩くこと数分。
別の薬屋でもレッドホーンウルフを探している張り紙があったのだがそれが不思議だ。