ショートアロー!「エノラ・ゲイ撃墜指令」第6状況
旧軍兵士とうち解ける大平。グラマンの襲撃、ついに使用される現代兵器。そして新たな愛が生まれる・・・・。
第6状況 壮絶!グラマンVSハンドアロー!
旧軍兵士二人は大平から聞かされた太平洋戦争の終焉、日本が敗戦し、それを糧に急速に発展していった事などを知った。最初は半信半疑だったが、短SAMの発射機や射撃用レーダー、89式小銃などを見たことにより信じざるを得なかった。2人の旧軍兵士、園下、園上は大平と同じ天幕で宿営する事となった。大平とは戦後の説明を聞いた後、すっかり仲良くなり、かつ太平洋戦争に詳しい大平ならこの時代の情報も理解しやすいだろうという小田原の配慮あった。「これ、美味いっすよ・・・」大平が園下、園上にビスケットを差し出す。「ビスケット?ですか?」園下が言いながらビスケットを口に入れる。ビスケット自体は戦中もあったがこのビスケットは2人の記憶には無いものだ。「美味い、しっとりして、この黒い粒はチョコレートか?」園上が思わず口に出す。「カントリーマームと言います。未来のビスケットですね。」大平はほほえみかける。「有香のやつ、元気にしてるかな?あいつ甘いモン好きだから食べさせてやりたいな、このビスケット」園上が呟く「有香?ひょっとして、彼女さんですか?」大平が笑みを浮かべ園上を見る「こいつ、この顔で婚約者が居るんですよ、有香ってのはこいつの婚約者でね」園下がいうと「せっ、先輩、止めてください、恥ずかしいじゃないですか!」園上は赤面して園下にいう「私と園上は中学一緒でね、私の方が1年先輩、こいつの婚約者の中郷有香は園上と同級、よく3人で遊んだもんです、私も良いなと思ってたんですがコイツが持っていった・・・」園下がおどけて言った。「それは言わないでくださいよ先輩、でも全然最近会っていませんでしたよね、婚約してると言っても、基地の外には中々出れなくて、中島本町の彼女の家にももう、大分行ってない」園上は少し寂しそうにしビスケットをかじる。園上の話に出た中島本町という地名。この地名に大平は聞き覚えがあった。「中島本町・・・今の平和公園、原爆の爆心地一帯じゃないか!しかも今日は8月3日と解った、あと3日で8月6日、広島に原爆が落ちる!」大平は戦慄した。その時だった。突然周囲に爆音が聞こえはじめた。「これはグラマンの音です!」園上が言う。「こちらCP、グラマン襲来、警戒せよ!送れ!」各天幕に設置された無線機から板橋の声がする。大平と園上、園下は天幕を飛び出し、茂みに身を潜めた。「こちらCP攻撃にそなえろ!湯本!ハンドアローの使用を許可する。万が一の時は発射せよ!送れ」ハンドアロー、91式携帯誘導弾。隊員が実際に構えて使用する地対空ミサイルだ。ほどなくグラマンは島の上空を旋回し始める。偽装された宿営地や装備には気付いていないようだ「エドワード、本当にこんな無人島に日本軍の新兵器がいるのか?」無線でトム・ワイズ中尉は僚機、エドワードの乗るグラマンに呼びかける。「確かに見たんだ、恐ろしい急加速をみせた日本の新型車を、此所には日本軍の何かがある!」エドワードは無線で答えた。茂みの中で身を潜める隊員たち。「見つからなければよいが・・」グラマンを見据えて小田原が呟く。「もし、発見され、銃撃されたらひとたまりもない」そう思いながら空を見つめる湯本、その傍らで青ざめて震えている宮ノ下。「大丈夫だ、宮ノ下、撃ってきたら俺がこのハンドアローで粉砕してやる!」宮ノ下は無言で顔を強張らせながら頷いた。「トーマス、やっぱり何も居ない、あの上陸用舟艇を破壊して帰ろう」園上、園下の乗ってきた大発は海岸にそのまま置いてあった。トーマスのグラマンが降下する「タリホーターゲット!ファイア」グラマンの両翼に装備された6門の12.7mm機銃が火を噴き大発に吸い込まれる。大発には脱走の証拠隠滅のための爆薬が大量に積んである。もちろんそれに引火、大発は轟音と火柱を上げ爆発した。熱風が茂みに分散している隊員たちにも届く。その竜巻のような熱風は短SAMの射撃統制装置のバラキューダを吹き飛ばした。射撃統制装置が暴露される。「まずい!」板橋が叫ぶ。トーマスが暴露された射撃統制装置に気付く。「やはりいたぞ、日本の新兵器だ、あれは見た感じレーダーだ、きっと高性能レーダーにちがいない、やるぞ!」トーマスはトム・ワイズに呼びかける。「あの新兵器を破壊しろ!」トムが答える「オーケー!」グラマンは旋回し射撃統制装置に照準をあわせる。「明らかに統制装置を狙っている!ハンドアロー射撃許可!統制装置を失うわけにはいかん!」板橋は無線で湯本に命令を下した。「ターゲットロック、安全装置解除!後方安全確認!撃ちます!」湯本の指がハンドアロー、携帯誘導弾の引き金を引く。轟音が響き紅蓮の炎が飛び出した。「ファックユー!」汚い言葉をさけびトムは機銃の発射ボタンに指をかけようとした刹那、トムのグラマンは轟音を上げて爆発四散した。「トォォォォム!」トーマスは思わず叫んだ「くそっ、このリベンジは必ず、トムお前の敵はとってやるぞ」トーマスはそう言い島から離脱した。
「集合!各自状況を報告せよ!」板橋が無線を飛ばす。散っていた隊員達は板橋の元に集まってきた。板橋の傍らには小田原もいる。各自報告が終わり、隊員たちは個々の行動に移った。人員、装備全ての無事が各人の報告で確認された。5発しかない携帯誘導弾を1発使用してしまったが。そしてそれを撃った湯本は複雑な表情をしていた。「装備を守るためとはいえ、過去に干渉してしまった、それに少なくともこの時点では死んでいなかったはずのアメリカ兵を殺してしまった・・・・これでよかったのだろうか」こころのなかでそう呟いた。「湯本2曹。」湯本に声をかけたのは宮ノ下「わたし、さっき凄く怖くて・・えへへ、何も出来なかった・・駄目ですね私、自衛官なのに・・・」すこし悲しげな目をして湯本を見る宮ノ下。それを見て湯本は宮ノ下を抱き寄せた。「えっ!?」宮ノ下は一瞬動揺したがすぐ、湯本に身を委ねた。「大丈夫だ、俺が守ってやる」そう宮ノ下に言った。「守るものがあれば、過去も未来もない、俺は宮ノ下を守るし、仲間も、この国も・・・・。そのためなら小銃でも誘導弾でも俺は躊躇なく撃つ。」湯本はそう誓うのだった。その光景を見ていた旧軍兵士、園上。「愛、だねえ、そういえば有香は今、何してるだろうか・・・・」
広島市内、中島本町「お母様、それでは夜勤の仕事に行って参ります!」三つ編みお下げで国民服にモンペを履いた女性が家を出る。「有香、気をつけてね。」有香の母親が手をふる。珍しいT字形の相生橋を渡る有香。ゴーと言う爆音。1機のB29が悠々と飛んでいる。空襲警報は鳴らない。それを見上げて有香は呟く「Bのやつ、あんなに悠々と、でも今に日本軍がやっつけてくれるわ・・・拓也さん、元気にしてるかしら・・・・」
第7状況へ続きます
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