ショートアロー!「エノラ・ゲイ撃墜指令」第1状況
架空戦記IFモノです。自衛隊高射部隊が主役ですが、描写、考証などは出鱈目と想像ですので、現実とは全く異なります。
また本作品に登場する81式短距離誘導弾、通称、短SAM(愛称ショートアロー)は実際に陸上自衛隊高射部隊に装備されている装備ですが、現実の最大有効射程は3000Mらしいのです。原爆搭載機エノラゲイは史実では9000M前後を巡航していたらしく、射程3000Mでは作品が成り立ちません。よってこの作品の世界での81式は射程10000Mのトンデモ対空ミサイルという設定とします。その辺りは暖かく見守っていただけましたら幸いです。ちなみに当方元自衛官です(高射特科ではありません)
20XX年8月2日、午前9時、群馬県、相馬が原駐屯地。第12高射特科中隊の一団が駐屯地営門を出た。行き先は青森県、六ヶ所対空射撃場。先頭を中隊長車である73式小型トラック、続いて81式対空誘導弾発射機、同射撃統制装置、隊員を乗せた73式大型トラック、火器搭載車、補給物品等を積んだ車両が続いた。前進する高射部隊員達はこの後に遭遇する奇怪な事態に陥ることをまだ誰も知らなかった・・・・・。
「ショートアロー!エノラゲイ撃墜指令」
主な登場人物
大平 大 おおひらだい 陸士長 通信手 本編主人公
ベテラン通信手で通信車ドライバー、太平洋戦争オタク、
小田原 弘 おだわらひろし 1等陸尉 第12特科中隊中隊長
2等陸士からたたき上げのベテラン中隊長。有事の際は毅然とした指揮を執る
板橋 明 いたばしあきら 3等陸尉 第1小隊小隊長
防衛大学出身の若手幹部
風祭 裕樹 かざまつりひろき 陸曹長 誘導弾統制装置班長
高射特科一筋のベテラン隊員。
入生田 豊 いりうだゆたか 3等陸曹 誘導弾統制装置班員、
陸曹に昇任したばかりの若手隊員 ドライバー
湯本 洋介 ゆもとようすけ 2等陸曹 誘導弾射手
誘導弾射手、携帯誘導弾については神と呼ばれる名手
塔ノ沢 仁 とうのさわひとし 陸士長 携帯誘導弾射手
2任期目の若手。ドライバー
宮ノ下 優 みやのしたゆう 1等陸士 通信手 女性自衛官
1任期目の新人WAC、経験が浅い
小涌 大介 こわきだいすけ 3等陸曹 補給係 ドライバー
糧食班臨時勤務から復帰して最初の演習だったが・・・
野森 清彦 のもりきよひこ 2等陸曹 補給班長
需品学校で経験を積んだベテラン補給班長。
強羅 聡史 ごうらさとし 陸士長
中隊長ドライバー、元ラリードライバーのため、悪路の運転技術はピカイチ
園下 純一 そのしもじゅんいち 上等兵 帝國陸軍 暁部隊員
脱走した日本兵、園上の中学の先輩
園上 拓也 そのがみたくや 1等兵 帝國陸軍 暁部隊員
脱走した日本兵、内気な性格
中郷 有香 なかごうゆか 広島市内、中島地区に住む女性。園上の婚約者
克美 かつみ 園上と有香の孫。
ポールティベッツ B29エノラゲイ機長 実在した人物
トーマス・フィヤビー B29エノラゲイ爆撃手 実在した人物
ヴァン・カーク B29エノラゲイ航法士 実在した人物
エドワード・トーマス 空母ランドルフ所属F6F操縦手 御門島の高射部隊を偵察する
トム・ワイズ 同操縦手 高射部隊を銃撃するも湯本に撃墜される
登場装備
81式短距離地対空誘導弾
91式携帯地対空誘導弾
73式小型トラック
73式大型トラック
89式小銃
UH1J
10式戦車
MLRS
大型発動艇
38式歩兵小銃
川西局地戦闘機紫電改
グラマンF6Fヘルキャット
エセックス級空母ランドルフ
ボーイングB29スーパーフォートレス
第1状況 タイムスリップ!!
第12高射特科中隊の車列は東北道に乗り、六ヶ所村を目指していた。「空が暗いな、こりゃ天気くずれんぞ」中隊長車である73式小型トラックの助手席で中隊長、小田原が言う、「大雨にでもなったらたまりませんね。」ドライバーの強羅が答えるが元気がない。「おい、どうした?強羅?」中隊長が強羅の異変に気付く。「すみません、寝不足かな・・・眠い・・」そう言って強羅は目をこする。「おい、居眠り運転は勘弁だぞ、と思ったら・・・ん?」小田原自身も眠気に気付いたようだ。
2台目に走っている射撃統制装置、操縦は入生田、助手席の車長は風祭だ「おい、入生田、ガムか何かないか?何故だか凄く眠い、車長が居眠りなんかしたらたまらん、誰が見てるか解らないしな」そう言い風祭が入生田に言うと、「実は自分も・・・・」と入生田、3台目の発射機、操縦は塔ノ沢、車長は湯本だ「おい、塔ノ沢!」湯本が叫ぶ。車両は中央分離帯に当たりそうになった。「すみません」と塔ノ沢「しっかりしろ!事故ったらたまらんぞ!いや、でも俺も・・・・」と言いつつも湯本も眠気を感じている。4台目に走るのは弾薬や糧食などを積んだ補給用の73式大型トラック。ドライバーは小涌、車長は野森だ「うーん、眠い、シャレんなんないぞこりゃ」小涌がつぶやくと「俺も眠い、でも頑張れ」野森はそう言っても眠そうだ。5台目は無線通信装置を積んだ73式小型トラック。通信車だ。ドライバーに大平、車長として助手席に板橋、後部座席に宮ノ下が座っている。その後部座席では女性自衛官、宮ノ下が静かに寝息を立てている。「宮ノ下寝てやがる・・・。」板橋が言うと「まあ、移動中は良いんじゃないんですか、演習始まったら体力使いますし、今の内に温存しておいても」と大平が言うと「んじゃ、俺も休んでいいか?」板橋は自身も眠いことに気付いたようだ。「小隊長、俺も眠いんですから、勘弁してくださいよ」大平が言う、車列はどんどん進むが各隊員たちの眠気はさらに強くなる。皆が拙い!と思った瞬間!!
発射機、統制装置、トラックなど車両群は出鱈目な方向にそれぞれが停車している。隊員たちは皆気を失っているようだ、そのとき爆音が響く。その音に気付き薄目を開けたのは太平洋戦争オタクの大平だった、ハンドルに突っ伏した状態で彼が見たものは目の前にある海、そして通り過ぎた緑色の小さな飛行機「し、紫電・・・改?」そのままむっくりと起き上がると、中隊長達や他の隊員たちも気がついたようだ。「集まれ!」中隊長の号令で隊員たちが一斉に中隊長の位置へ駆け出す。これから彼らを待つ困難とは・・・・・。
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