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第8話 『異世界4日目』 学園での1日目の朝



 イフリュートは、夕方まで領主として、領地の確認と領民との交流をした。


 なんちゃって領主だ。

 14歳、中学2年生に期待されても困る。

 日本だったらまだ義務教育の年齢だし。 

 と、深く考えすぎずにイフリュートは行動した。


 時間が夕刻になり、イフリュートの学園でのお供である、使用人となったユア。

 ステュアート村の宿屋で出会ったイフリュートよりも4歳上の18歳のお姉さん。

 

 学園に向かう道中、ユアに馬の操作を任せ、イフリュートは後ろから抱き着く感じになった。

 なんとなーく、なんとなくだが、距離を計算してみて、馬に1人乗ったと仮定して、一日に走れる距離は80km。

 1日はこの異世界でも24時間という考えのようで、80÷24=1時間に3.3km計算。

 道路が舗装していない為、舗装してあればもっと早いのかもしれないね。

 

 馬車の場合、どれほどの大きさ、馬の数、馬の種類にもよるみたいだけど、進む距離は1日に30km~50km程度みたいだ。

 とイフリュートはユアの後ろで抱き着きながら計算した。


 そして、イフリュートは領民と領地を守る為に、1つ気になって聞いてみたところ、森の中などで野生のモンスターを見かけることは少ないとのこと、とにかく稀みたいだ。

 ラピィに聞いて分かったこととして、使い魔は魔人界からくる。

 

 そのため、野生のモンスターは、この異世界ではほぼ存在しない。

 野生の動物が長期間100年もの年月をかけて、魔力の素(魔素)を吸収してモンスターに変化するくらいしか野生のモンスターはいないみたい。


 そのため、森にモンスターがいたとしたら誰かの使い魔で主人と一緒に来ているか、何かの捜索に来ている場合があるとのこと。

 使い魔に指示を出して、薬草を取りに行かせたりする魔法使いもいるようだ。

 

「おはようございます。イフリュートさま」


 イフリュートが目を覚ますと、視界にユアが映った。

 イフリュートは早起きしたつもりだったのだが、それよりも早く起きていた様子のユア。


 茶色の前髪をヘアピンでとめている。

 初めて会った時とは違い、メイド服姿である。

 朝から笑顔のあいさつを聞いて、嬉しい気持ちになった様子のイフリュート。


「おはようございます。ユアさん」


 イフリュートは優しい声で返事をした。


『むにゃむにゃ、もう食べられないよ』


 イフリュートの隣では、ラピィが胎児の様に丸くなって寝言を口にしている。

 すがすがしい朝である。



「あっ、イフリュートさま。気を付けてください。使用人に敬語を使ってはいけませんよ。年齢で敬うのではなく階級で判断してくださいね」


「そうだったね。ごめんね、セバスさんじゃなかった、セバスにも注意されてたっけ」


 貴族って大変だ。とイフリュートは起きて早速、思った。


「あたたかい紅茶をご準備いたしますね」


 ユアは、部屋の窓を開け空気の入れ替えをした後、紅茶の準備を始める。

 時間的にまだ、薄暗い朝。

 まぶしくはない、しかし、読書はできる程度の陽射しは入ってきている。


「何から、勉強しておくべきだったかな?」


 教科書を昨日学園の、教務部にもらいに行った。

 その際、いろいろと言われていた気がするが、ボーっとしていたイフリュート。


「教務部の方は、学園での規則を確認しておくようにとおっしゃっていました」


 茶葉の香りを確認しながらイフリュートの言葉に返事をする、ユア。



「規則ね。えっと、あったあったこれかな?」


 たくさんの教科書という名の教本の中から、薄い冊子を見つける。


「あっ、読めないんだった」


 イフリュートは人の話す言葉は理解できる。

 しかし、文字は読めなかった。


「そうでしたね。失礼しました。でしたら、代わりに内容をお伝えします。マントの胸元に施されている星☆とラインについてです。1番上の斜めに入った星☆これは、爵位の階級を示します。自身が当主でなければ父親の爵位が準用され、星☆の数が施されます。星☆の数が多いほど爵位が高いというわけです。最上位爵位の王爵は星☆が8つ。最下級爵位の準男爵などが1つ。イフリュートさまは、中級貴族として表現され子爵位ですので星☆3つです。ここまで大丈夫でしょうか?」


 なるほどということは、こういうことかな?

 イフリュートは、紙に書き始めた。


【学園での爵位星☆】


『最上級』


 王爵  ☆☆☆☆☆☆☆☆


『上 級』


 大公爵 ☆☆☆☆☆☆☆


 公爵  ☆☆☆☆☆☆


 侯爵  ☆☆☆☆☆


『中 級』


 伯爵  ☆☆☆☆


 子爵  ☆☆☆


『下 級』


 男爵  ☆☆


 女爵  ☆☆


『最下級』


 準男爵  ☆


 準女爵  ☆


 騎士爵  ☆



「りょうかい、大丈夫。☆で判断すればいいんだね」


 イフリュートは手にもった筆ペンを置き、ユアのほうを向いた。


「簡単に言いますとそうなります。そして、爵位を示す☆星の下に表示されるラインの数で学年を示します。1つですと1年生、2つで2年生、3つで3年生です。基本的に、貴族様方は13歳の際に1年生、14歳で2年生、15歳で3年生と言う形で在席されていることが多いようです。15歳までに結婚相手をつかまえ、婚約することが多いようです。そのため、この学園生活は大事となります。18歳~20歳までに結婚していない者は行き遅れと言われたりと、かげでささやかれるようです」



「ラインの数だね。OK」


 イフリュートは、2本あるから、中途編入の2年生ってことになる。

 





「おはよう。わたしにも紅茶を」

 

 

 ぐーすかぴー的な感じで眠っていたラピィが毛布を捲りベッドから起き上がった。


「はい。かしこまりました。ラピィさま」


 イフリュートの使い魔にも丁寧な対応をするユア。


 ラピィは、おなかをかきながら大きなあくびをして、イフリュートの座るソファーとは対面のソファーに座った。


お読みいただきありがとうございます。

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