第6話 ステュアート村の屋敷
~数分後~
「領主様」
執事さんっぽい人がイフリュートの近くに来た。
宿屋のおじさんが呼びに行ってくれていた。
「初めまして、よろしくお願いします。ステュアート村とその周りの領地を治めることになりました。イフリュート・ルア・ニイナ・ステュアートです」
「領主代理をさせていただいております。執事長のセバス・ルア・ムノアです」
きちんとした、佇まいで白髪のダンディーなおじいさんがイフリュートに挨拶した。
身長は175cm位だろうか?
瞳の色は茶色である。
「セバスさん。今日は領主の屋敷で泊まれますか?」
「はい、ご用意できております」
「じゃぁ、そろそろお暇します。えっと、おいくらですか?」
立ち上がり、お金を出すためにイフリュートはポケットをガサガサする。
「領主様。お金は結構でございます。領主様からお金なんていただけません」
あっ、そういうものなのかな? うーん、でもお礼はしたいなとイフリュートは思った。
「あっ、でしたら、これをどうぞ」
城下町で購入した土産物の花柄のハンカチをお姉さんこと、18歳のユアに両親の分も含めて渡す。
「こんな上等なものをありがとうございます」
イフリュートは、最初に良いものを渡しておこうと思って、結構奮発してハンカチを購入した。
かさばらず、場所もあまり取らない。
女性も男性もハンカチは、使うだろうという理由でハンカチを選んだ。
宿屋を出て、領主の屋敷に向かった。
村の一番奥にあるお屋敷らしい。
1階建ての家が、ほとんどなためか、屋敷はすぐ見えてきた。
領主の屋敷は2階建てみたいだが、そこまで大きくない。
1階がお店、2階が居住のコンビニくらいの大きさ、庭もあるけど、これもコンビニの駐車場くらいの大きさだな。とイフリュートは思った。
もちろん1階でお店をしているわけではない。
セバスに聞いたところ、ここの前の領主アスリア子爵は滅多に訪れなかったようだ。
学園のある大きな街に、屋敷がある為、わざわざここに泊まることがないのだとか。
「りょうしゅしゃま」
屋敷の扉を開けると、2名の大人びたメイドさんであろう者たちが頭を下げる。
5歳くらいの身長100cmくらいの女の子が『りょうしゅしゃま』とイフリュートに言う。
大人びたメイドさんは20歳後半くらいだろうか?
「右から、娘のセリナとセニア、そして、孫のシェナです。あと、シェナの父でセリナの夫、コルトンもいますが。コルトンは現在、執事学校にて教師をしておりまして不在でございます」
1人1人からその後、あいさつを受けた。
シェナは5歳。
シェナは、『シェナでしゅ。5しゃいでしゅ。よろしくおねがいしましゅ』とイフリュートに自己紹介をした。
イフリュートはかなり気持ちが和んだ様子で頭を優しく撫でた。
「自分が新しく領主になったイフリュート・ルア・ニイナ・ステュアート子爵です。引き続き子爵領としての領地となります。よろしくおねがいします。初めての領地運営です。明日からは、学園の寮で暮らそうと思っていますので引き続きセバスさんにステュアート村はお任せします。休みの日には帰ってくると思います。色々と分からない事ばかりでご迷惑をおかけするとは思いますが精一杯頑張りますのでよろしくお願いしますね」
『きょとん』とした顔をするメイドさん。
下手に出すぎた感じかな?
威張り散らした態度は僕の、キャラじゃないんだよね。
日本にいたころもあまり怒ったりなんてなかったし、怒ると言うよりもむかついたら黙る。
嫌いな人は無視してシャットダウンって感じだったなとイフリュートはメイドさんたちの反応をみて思った。
「あっ、明日は、領地の畑を見て回りたいのと、領民の皆さんにお土産を渡したいと思いますので、朝方に起きてきます」
お風呂に入り、自室の前までついてきたセバスに伝える。
「かしこまりました。隣の部屋がセバスの部屋でございますので、お困りのことがありましたら、テーブルの上に置いてありますベルをお鳴らしください」
セバスは頭を下げ、イフリュートが部屋に入るのを見送ってから去って行った。
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