第5話 ステュアート村
乗合馬車に乗って、ガタガタとステュアート村に向かって進む。
イフリュートの領地は、レイニー王国から学園に向かう途中には、ない。
学園を通り過ぎて1時間の距離にあるみたいだ。
「そろそろステュアート村に到着します」
イフリュートのフルネームは現在、①イフリュート・②ルア・③ニイナ・④ステュアート
①は名前
②は繋ぎ言葉、家系の歴史。ルアは第1世代⇒ルイは第2世代⇒ルウは第3世代。ルアとの繋ぎ言葉で同じ爵位でも差別化することがあるみたいだ。
③家名・苗字
④は治める領地の中で大きな村や街の名前
馬車に乗ること2時間。学園に、教科書類を運ぶ予定だったおじいさん。
ステュアート村までイフリュートを連れて行ってくれることになった。
御者台に座り御者をしてくれているおじいさんとイフリュートは世間話をしている。
いろんなことを教えてくれた。
魔法を使うと魔力を消費するが、その魔力の回復方法に、
①休息をとる
②寝る
③食事を取る
④回復薬を飲む
などがあるということ。
起きて安静にしているよりも睡眠をとるほうが魔力回復量は高いみたいだ。
おじいさんは、準男爵位みたいで、魔法についても一般知識的などは詳しかった。
準男爵は、準爵位であり、男爵以上の者からは馬鹿にされたりすることもあるようだ。
イフリュートは自身の村に到着。時間は16時くらいだろうか?
御者のおじいさんにお金を渡して降りる。
おじいさんは、護衛の人たちと一緒に学園に向かった。
イフリュートは、歩いて村に入った。見るからに農村。
モンスターとか入ってきそうな感じ、木でできた柵に門番が立っていた。
通行料などとられることなく村の中に入れた。
「こんばんはー。食事、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
イフリュートはお腹が空いた様子で領主の屋敷に向かう前に食事の食べられるお店にやって来た。
ここに辿り着く前に、イフリュートは村人にお店を訪ねた。
親切に教えてくれた。
ステュアート村には、小さな定食屋兼宿屋、基本的にあまり旅人は訪れない為、宿屋と言っても2人部屋と1人部屋が2つずつしかないと御者のおじいさんに聞いている。
お食事処も宿屋の1階で食べられるだけみたいだ。
小さな村だけあって、旅人もいないのだろう。
他に食事を取るお客さんはいないみたいだ。
席に着くと、パンとスープ、サラダが出てきた。
パンは焼き立てではないのだろう。少し硬かった。スープもうっすら塩味。
サラダはおいしい。
「これおいしいですね」
「サラダですね。この村で採れた野菜を使っているので新鮮でおいしいんですよ」
宿屋のお姉さんは、エプロンを外し、イフリュートと向かいの席に座った。
何故だろう?
「今日は泊まっていかれますか?」
茶髪のショートカットの宿屋のお姉さん。
茶色の瞳が大きくクリっとして可愛らしい。
身長はイフリュートと同じくらいみたいだ。
「住むところはあるので、大丈夫です。多分」
領主の屋敷に泊まれると思うけど、掃除していないから泊まれませんとか言われないよね?とイフリュートは思った。
少し心配になってきたようで、早目に屋敷に向かおうと考えた。
「あれ、だれかの息子さんですか?見たことないですけど?」
「あー、自分今日からこの村の領主になることになりました。イフリュート・ルア・ニイナ・ステュアートです。よろしくお願いします」
イフリュートは、ルーシィー姫からもらった書類をお姉さんに見せた。
「わっ、領主様?同じ席に座ってしまい失礼しました」
急に土下座をして頭を下げたお姉さん。
初めて土下座見た、生で見る機会なんて意外とないよねとイフリュートは思った。
「顔を上げてください。大丈夫ですよ」
立ち上がり、土下座体制のお姉さんの肩に手を置く。
「「娘が失礼いたしました」」
キッチン付近にいた多分夫婦であろう男性おじさんと女性おばさんがイフリュートの前に現れた。
顔を見るに、お姉さんの両親だろう。
お姉さんと同じ勢いで土下座をした。
「あーーーー。大丈夫ですよ、土下座なんてやめてください。全然気にしていませんから」
貴族と平民の関係ってこんなもんなのかな?
僕、結構フレンドリーにお姫様たちと接してたんだけど。
もしかして、不敬ってやつだったのかな?
とイフリュートは今更ながら、ルーシィー姫との接し方について考えた。
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