第2話 願いを叶えてもらいました
「あの、何でも願いは叶えてくれる感じかな?」
イフリュートはラピィに質問した。
「願いは3つまで叶えれるわ。3つ叶えた後は、わたしの魔人族のエネルギーが回復次第、またお願いを聞くって感じね。生き物を殺す行為・心を動かす行為・死者の蘇生・叶える願いの数を増やす・一度叶えた願いを取り消す・世界に瞬時に変動を与える行為は不可の6つの行為として叶えられないわ。他にも細かい部分で叶えられないこともあると思うけど、その都度伝えるわ」
ランプの妖精の教本と書かれた本をラピィが読む。
「わかった。ありがとう。もう1つ質問なんだけど、ここって、僕のいた地球じゃないよね?どんな世界なの?」
神隠しにでもあわなければ、瞬時にこんな山奥にいることはないだろうと考えたイフリュート。
「ここは、地球ではないわね。魔法のある世界、魔物あるいはモンスターのいる世界。地球の歴史で言うと中世ヨーロッパっていうところかしら。でも、化学が発展していない代わりに魔法が発展しているみたいね。わたしも、そこまで詳しくないわ。わたしは自身のために能力を使うことはできないから、あなたがこの異世界の情報を知りたいと願えば、その時に同時にわたしも知ることになるわ」
『ランプの妖精が出てくるランプが存在するのを見るに、うすうす感じてはいたけれど、ファンタジーな世界みたいだね』とイフリュートは思った。
右手をあごに持ってきて、若干下に目線をかえて考え込むポーズをとる。
「じゃぁ、僕が魔法を使えるようになるって言うのは可能かな?」
少し考えた後、魔法のある世界と言っていたのを思いだしたかのように口を開いた。
「可能ね。もともと、あなたは、純粋な地球人じゃないみたいだし、この世界の血を引くみたい。練習お時間が経過すれば魔法が使えるわ」
「なっ!?どういうこと?」
「それは、わたしもわからないわ。でも、この異世界に飛ばされていることと何か関係があるんじゃないの?」
ラピィはわたしは何でも知っているわけじゃないのよ?と言った感じで言葉を返した。
「うーん、そしたら、ラピィちゃんに魔法を使えるようになるっていう願いを叶えてもらわないほうが良いのかな?異世界に飛ばされたっていう理由を知りたいのもあるけど、今、この現状で生きて行けるように力を得たほうが良いかな?」
「魔法を使えるようになるって言っても、練習や環境が必要ね。環境って言うのはこの世界にある魔法のエネルギーを身体に染み込ませないといけないんだけど、あなたは、魔法のエネルギーがない世界でいたから、いくら血を引くとはいっても、後10年は魔法は使えないわね」
今から10年、そのころにはイフリュートは24歳。
興味がある魔法、早く使いたいなとイフリュートは思った。
「じゃぁ、僕をすぐに魔法を使える身体に。そして、できたら、日本のゲームとかで使われている魔法とかも使えるようになりたいな。後は、この異世界の生活用品を一式お願い」
ラピィの言い方的にこの世界の魔法は勉強すれば覚えられる。
ならばと、この世界にはなさそうな魔法を覚えるのも一興であろうと考えた。
「分かったわ、お安い御用よ。頑張ってね。あっ、その前にベッドの上に座って」
ベッドの上にイフリュートが座るのを確認した後、ラピィは不思議な踊りを舞い始めた。
わぁー、かわいいなー。にしても、頑張ってね?ってどういう意味だろう??
次は、どんな願いを叶えてもら……………
イフリュートは意識を手放した。
「うぅー。なんか身体がだるいな」
イフリュートは目を覚ました。
ベットに寝かせられ、しっかりと毛布を掛けられている。
「ラピィちゃん??」
ベッドから起き上がりランプの妖精ラピィを探すイフリュート。
『起きたかしら?やっぱり、身体が耐えられなかったみたいね。人間ってか弱い生き物よね?だから、数が多いのかしら?言うのを忘れていたのだけれど、ご主人様に直接関係する願いを叶えるとご主人様の身体に疲労感を与えるのよね。いのちに別状はないのだけど、願いごとの大小によって疲労感も変わるの。何日も眠り続けることもあるみたい。人によっては1ヶ月寝たきりって言うのもあったみたいよ?伝え忘れていてごめんなさいね。それで、願いごとの達成度についてだけど、魔法を直ぐに扱える身体については問題なくできるようにしておいたわ。他の願い事に支障が出ないようにする為に、この世界の平均よりもだいぶ下くらいの魔力量にしたわ。物足りなさそうだったら、ランプを使ってまた、わたしを呼びだしてお願い事することね。そして2番目の願い、日本のゲームとかで使われている魔法とかも使えるようになりたいについては、そのゲームとやらのレベル10までの魔法などは取得してあるわ。テーブルの上に魔法書があるでしょ?それがあなたの使える日本のゲームでの魔法などが記載されている魔法書よ?この異世界の魔法については誰かに聞いて学ぶのが良いわ。学園にでも通ったらどうかしら?最後の願い、この異世界の生活用品を一式については、クローゼットの中に入れてあるわ。あなたに疲労感を与えすぎないように、本当に最低限しかないわ。最後に、この家の説明をするわね。この家は、ご主人様とわたしが許可した生き物しか見えないし、入れないわ。だから、安全ね。森を出て、東に2時間ほど歩けばレイニー王国があるわ。一先ずそこに行ってみることをお勧めするわ。近くに強い魔物は居ないみたいだけど、安全第一でね。あなたが亡くなったりしたら悲しいわ、また会いましょう』
ラピィはかなり親切みたいだ。
イフリュートが1人で何日も寝たきりにならないように最低限の疲労感の配慮をしてくれたのだろう。
「ありがとう、ラピィちゃん」
そう言って、イフリュートはランプをこすってみたのだが、出てくる様子はなかった。
「ラピィちゃん、次はいつ会えるのかな?」
イフリュートは少し寂し気にランプを手に持って、少しボーっとした。
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