第三話「もっくん登場!!」
次の日。またしても寒さで目が覚める。結局私はあのまま床で寝ていたようだ。うっすら目を開けると、ぼんやりした視界の中には昨夜の美少年が。夢じゃない……!!「ヒャッハー!(歓喜)」と「誰?(恐怖)」がごちゃまぜでなんとも形容しがたい。とりあえず、結論が出せないので何も見なかった事にして顔を洗おう。
「ん……」
あ、ここでまさかのお目覚めですか。えっ、とりあえず「誰?」って聞くべきだよね。いやとりあえず「おはよう」?
「あ……」
「あ、あの。お、おは、よう」
なぜかあいさつしてしまった。
「……オハ、ヨウ?」
美少年は言葉の意味が分からないようにきょとんと首をかしげる。かわいい。
「かわっ…って、違う違う違う!!えっと…、君、誰?」
「だれって、なに?」
えっ寝ぼけてるのかな?可愛さはんぱないよ?
「んーと…そう、名前!名前は!?」
「……もっくん」
「もっ……?」
「もっくん。」
「~~~~~~ッ」
もっくん……すか……。そうすか……若干電波な印象否めないけど、そんな事どうでもいい。
「もっくんは、なんでここにいるのかな?」
そう、そうだよ。かわいいとかじゃないんだよとりあえず家宅侵入の件について問いただそうよ大人として。
「なんででしょうか。」
まさかの逆質問。泥棒にしては無防備すぎる。変質者にしては幼過ぎる。
「ごめん、全然わかんない。って、え!!??八時!!??」
ベッド脇の目覚まし時計を見て目玉が飛び出る。連日遅刻とか、さすがに冗談じゃない。しかし状況が状況なだけに、会社に電話して一日休みをもらおうかととっさに考える。けど、この状況をどう説明しても信じてもらえないだろう。それに、何気に仕事が溜まっててやばい。ミステリーというかファンタジーな状況と超現実的な問題をてんびんにかけたが、私の本能は現実を選択した。
「ちょっと、とりあえず仕事行くから帰ってきてからちゃんと話そうね!!」
半ばパニックで支度を整え、まだぽやーっとしている美少年を部屋に残し大急ぎで会社に向かう。
・・・
二日連続上の空でどうにか定時で直帰する。溜まっていた仕事は結局超絶手を抜いてどうにか片づけた。確実に最低の出来だったけど。
「ただいま……」
恐る恐るドアを開けると、玄関で例の美少年がにっこり笑った。
「おかえりなさい!」
「う、うん……。」
私の帰り待ち侘びてた感前面に出しちゃって……ああ、やっぱかわい……って、違うちがーう!
ほだされそうになるのとニヤニヤ笑い出しそうになるのを必死でこらえ、どうにか「良識ある大人」っぽい顔を作り上げる(無駄な努力)。
「じゃあ、お話聞かせてもらおうね。」
「はぁい!」
(じかいにつづく。。。。。。)