第87話 ここでバラすのは、予定調和です
後数話で学園です。御付き合い頂きありがとうございます。
「さて、諸君。抵抗せずに大人しく身柄を拘束されるなら、俺が全力で守ってやろう。しかし少しでもおかしな真似をしたら…。分かってるよな?」
トリスは不敵に笑いながらそう言い放つ。しかし研究員達はトリスの言うことが理解できないでいた。
「ま、守る?」
「一体何を?」
「あ〜、分かんない?じゃ、説明してあげるよ。今君たちはとても危うい状況にある。君たちはあまりにも屑すぎた。そして君たちは眠れる獅子を起こしてしまったのだ!その獅子は、今か今かと君たちの命を狙っている。その獅子の正体とは、そう!ここに居るこんな状況にも関わらず、女の子を抱きとめてイチャラブしている、ホルスト・ラ・レンバッハ少年…痛っ〜!何すんだホルス!俺の頭はヤワなんだから、もっと優しく扱ってくれよ!」
理解できないでいる研究員達に、トリスは芝居がかった口調でお巫山戯を入れながら説明していくが、途中でホルスに後から小突かれてしまう。
「トリス!君はまたいらんこと言う!」
「え?事実じゃないの?…ってうぉい!危ないな!急に殴り掛かるなよ!」
ホルスの小言に、トリスは全力で不思議そうな顔をして首を傾げるが、またしても暴力沙汰になりそうだったので、慌ててホルスから距離をとる。
「れ、レンバッハ?ホルス君が?え?ご、ご無礼な事をしてしまった!?」
リアは道中を思い起こし、完全に血の気が失せた顔色で頭を抱えて叫んでいる。レンバッハ家といえばこの国で知らない者は居ないとまで言われている名家のため、当然のごとく侯爵家を連想したのだろう。
「り、リアさん!気にしないでいいから!ほら!トリスなんか平民なのに、普通に僕をからかったりして遊んでるから大丈夫!」
「あ、確かに。で、ではこれまで通りでいいですか?」
「うん!勿論!変わらない態度をとってくれると、僕は嬉しいよ。」
「うん!分かった!」
トリスを引き合いに出されては、リアも苦笑いするしかなく、結局身分が明かされる前と同様にするということで落ち着くのだった。
一方研究員達は膝から崩れ落ち、呻くような声をあげていた。
「お、終わった…。」
「いかに罠を仕掛けているとはいえ、総力をあげて虱潰しにされれば、必ずここは見つかってしまう…。」
「こ、侯爵家怖い…。」
完全に諦めモードである。しかし、研究員達の中に1人諦めていない男が居た。
「狼狽えるな!いつものように、捕らえて記憶を封じれば、それで大丈夫だ!それとあの動きは、恐らくは身体強化を使っている筈!ならば対魔力結界は有効だ!」
そう叫ぶのは、勿論マッド・サイエンスである。彼の言う対魔力結界とは、魔物の持つ魔石に付与して作られた結界で、魔石の摩耗が早いが効果領域内においての魔法を全て無効にするというものだ。
魔法を使う者には、かなりの脅威となるものだ。
マッドの言葉に我に返った研究員達が、次々と魔石に魔力をこめ始める。
「準備完了です!」
「展開せよ!」
「「「「『対魔力結界』起動!」」」」
普通ならば絶望的な状況だが、そんなものはものともしない奴らが、ここには居た。
「魔法?」
「使ってないよ。」
効果領域内でも呑気に、しかし先程と全く同じ速度で移動するトリスとホルス。
「そんな訳あるか!お前達の速度は、検体番号234とほぼ同程度だぞ!」
あまりに理不尽な現実に、マッドは思わず叫ぶ。
「検体番号234?何だろ?」
「ん〜、多分さっきの魔王もどきじゃね?」
「ひ、ひいっ!来るな!」
「うわぁ!?」
2人は会話を続けながらも、高速で移動して研究員達の意識を次々と刈っていく。それはもはや研究員達にとっては、化け物にしか見えなかっただろう。
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!?…ガフッ!」
何が起こっているのか、理解することが出来ないマッドを、トリスが後から頭を殴りつけて気絶させる。
「大人しく寝てろ。」
トリスはそう言うと、ラスト1人にトドメを刺している(殺してない)ホルスに近付いていくのだった。
筆者に語彙力が無さすぎて、マッドさんのセリフが一定になっしまいました(笑)。
それは兎も角、ここらで伏線も張れたので、サクサク学園までもってきたいと思います。___________________________________________
緊急連絡です!
作者の都合で、8月近くまで更新が難しいです。
偶に暇な時に更新はしますが、頻度は落ちます。
よろしくお願いします。




