第80話 姉妹仲が良いのは良いことです(但し、時と場所によります)
あれ?思った以上に進まないです。黒幕出す予定だったんですけど…。
「これか。」
「うん、これだね。」
「はい、ここです…。」
トリス達は洞窟の前まで来ていた。この洞窟は高さは2メートル、幅は大人2人が両手を広げたくらいのもので、そこまで大きいとは思えないものだった。
リアの話では、この奥に大規模な研究所があるそうだが。
「さて、マッピングとか必要?」
「要らないよ。というかトリス、分かってて言ってるよね?」
「まぁね。あはは。」
「?どういう事ですか?」
他人には分からないようなツーカーのやり取りに、疑問符を浮かべるリア。トリスは、別に蚊帳の外にするつもりは無いので説明する。
「えっとですね、今ホルスはかなり機嫌が悪いです。」
「え?あれでですか?」
驚いたリアの視線の先にはニコニコ顔のホルス。
「はい、あれでです。で、ホルスはかなりの実力を持ってます。強いて言うなら人類五本指に入るレベルでは。」
「え?そうなんですか?」
「そ、それは言い過ぎじゃないかな?」
トリスの説明が恥ずかしかったホルスは、実力を高くかってもらえていることに照れながらも否定する。しかしトリスはそんなホルスをスルーして話を続ける。
「ホルスは強いです。それこそ辺りを一撃で更地にするくらいには。」
「はい…え!?」
何でもないように言われたホルスの実力を危うく流しかけたリアだが、言葉の意味を理解し驚きの声をあげてしまう。そんなリアもスルーしてトリスは更に説明を続ける。
「そんなホルスが機嫌が悪いんです。最初は道を普通に進むにしろ、救出すべき人間を救出した後、果たして彼は態々道を辿るなんていうめんどくさい事をするでしょうか?いいえ、しません。出口に向けて、真っ直ぐ最短距離で、あらゆる障害物を破壊しながら進みます。それこそ壁なんてあってないようなものです。」
「つ、つまり?」
人外じみた説明にリアは若干引きつつ、トリスに話の続きを促す。
「つまり地図を作っても、全てをぶち壊すので無駄です。囚われている人が居なければ、多分ここから洞窟そのものを破壊したい気分でしょうしね。」
「そんなに破天荒な方なんですか!?」
思っていた印象とは真反対な行動をすると言われ、驚いてしまうリア。
「そ、そこまでしないよ?確かに洞窟を吹き飛ばしたい衝動に駆られそうになってるけど…。と、兎に角早く行こうよ!」
慌てて否定に入ったホルスだが、ポロッと本音がこぼれてしまい、『うわぁ…』という視線に晒されて洞窟に逃げ出してしまう。
「あ、ちょい!罠でもあったらどうするんだよ!」
「だ、大丈夫!僕のスキル『直感』で、大体あるかないかは分かるから!入口付近には無いよ!」
「はぁ、さいですか。じゃ、行きましょうか。」
「は、はい!」
何ともしまらない雰囲気のまま、3人は敵の本拠地へと赴くのだった。
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「で、何か拍子抜け感あるよな。いや、ホルスが化け物なだけか。」
「うるさいよ!何度も言うけど、トリスも大概だからね!」
醜く言い争う2人の周りには、黒装束の者達が10数人転がっている。
黒装束の者達は、洞窟に入ってから暫く進んで少し拓けた天井の高い部屋のような場所で襲ってきたのだ。突然現れたのでリアは悲鳴をあげてしまったが、気配を感じ取っていたトリス達はまったく動じず、獣のように襲いかかってきた黒装束達を全員ご丁寧に投げ飛ばしたのだ。
その後は数人マウントをとって殴り気を失わせた後、残る10人ほどを首トンと鳩尾に一撃で黙らせ、今に至るのだ。
その間約20秒で、黙々と敵を倒していく姿は、作業のようであった。
「お2人とも、とてもお強いんですね。私達は3人でしたけど、一瞬で負けてしまいましたし…。」
自分の時を思い出しているのか、若干落ち込んだ様子のリア。比べる対象が悪すぎるので不甲斐なく感じるのだろうが、彼女は弱いという訳ではなく、寧ろ彼女くらいの年代では強い部類に入る。
これはただ魔法に対しての相手が近接で動きが早かったという相性の問題であるので、そこまで落ち込む必要は無いのだ。
「き、気にしない方が良いですよ。俺は兎も角ホルスはマジで化け物ですから。奴が怒り狂った場合は、それこそ一国が滅びますからね。」
トリスはホルスを引き合いに、冗談めかしてリアを元気づけようとする。
「そういえば、僕達にトゥール学園で『非常識コンビ』っていうコンビ名が付いてるんですよね。」
ホルスが自分だけ異常だと思われるのは嫌だったらしく、トリスまで巻き込んでくる。するとリアは予想とは違い、別のところに食いついてくる。
「え?あの試験の成績が、100点超えていた上位2名の方々のコンビ名ですよね?あれってホルスさん達だったんですか?」
「え?知ってるんですか?」
「あ、そういえば『学園に受かってから』とか最初の方に言ってたね。若しかしてリアさんもトゥール学園の入学者なんですか?」
リアが何故知っているかについて心当たりのあったトリスは、リアに聞いてみる。
「はい、そうなんです!リタも一緒に受かったんですよ!」
すると敵地にも関わらず、リアは笑顔で熱く語り始めるのだった。
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