第72話 暇なのがいけないのです
そ、そろそろ不定期更新になりそうです…。あぁ、折角の連載記録が…。
登録の翌日の昼、学園都市エコール郊外にある、通称『薬草の森』にトリスとホルスは居た。
「トリス!」
「はいよ!」
この森の浅い位置にはゴブリン等の比較的弱い魔物が生息するが、多くの薬草類が手に入るため、新人冒険者達には絶好の狩場となっていた。薬草の森では、奥に行けば行くほど強い魔物が出たり、良い薬草が手に入ったりするという構造になっていて、深入りさえしなければ命を落とす危険性の少ない場所だ。
だが、一定以上の実力を持つ者達には非常につまらない場所である。
ホルスが剣の鞘で吹き飛ばしたゴブリンを、トリスの弓矢が正確に頭を貫く。
「これで、ラストか…。」
そう呟くトリスの周りには、夥しいゴブリンの死体の数々。良く見ると、その大半は首の骨が折れていたり、弓矢で貫かれているため、彼らは全く返り血を浴びていない。
「…せっかくゴブリンの群れに突っ込んだのに、これじゃあただの弱い者虐めになっちゃうよ。」
凄く不満気に言うホルス。態々剣を抜かずに打撃で相手をしていたのも、手加減の意味合いを込めていたのだ。…返り血が嫌だという理由が大半ではあるが。
ゴブリンは黒光りするG以上の生命力を持ち、狩っても狩っても湧いてくるため、絶滅させることは難しいので、別に環境には影響はないのだが、虐殺するのは彼等の趣味では無かったようだ。
「ま、まぁ、しょうがない。何なら七不思議の1つでも明かしに行くか?」
トリスの言う七不思議とは、以前挙げた内の1つである、エコールの森で消える人々についてである。
「う〜ん。でもミイラ取りが…「ミイラになる?」そうそれ!トリスの言うことわざみたいな事になっちゃうよ?」
トリスの言う諺を気に入ったのか、度々使用するようになったホルス。
「でも暇つぶしには丁度いいだろ?昇格試験は一週間後だって言うしさ。」
以前トリスが登録した際に受けたCランク昇格試験だが、王都とは違いここでは一月に1回きりという頻度のため、待つ他は無いのだ。かと言っていつまでもゴブリン相手にしているのも気が滅入るので、いっそのこと身近な問題でも解決しようとトリスは提案したのだ。
「そうだね。うん、暇なんだから仕方ないよね?」
「何に言い訳してるかは知らないけど、そうと決まったのなら、明日あたりから行こうか?」
「いや、善は急げって事で今すぐ偵察しに行こう!」
「え!?マジか!?」
勢いよく駆け出すホルスを、慌てて追うトリス。
-こんな諺教えるんじゃ無かった…。-
そうボヤいてももう遅い。トリスは遠い目をしながら、それでも素早くホルスに追いつくのだった。
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「さて?何処から探索しようか?」
「え?探索?偵察じゃなくて?」
屋敷に戻ってきたトリス達は、裏手の森の手前で会話していた。
「うん。夜まで時間はあるし、広いとは言っても高々1都市分ほどの広さしか無いんだし、今からでも大分探索できると思うけど?」
「う〜ん、それもそうか〜。…この分だと、2日くらいしか持ちそうに無いな。」
折角の暇つぶしが、あっという間に解決する様が頭に浮かんだトリスは、ガックリと肩を落としながらホルスに従う。
「まぁまぁ。終わっちゃったら、また別の何かを探せばいいんだし。何なら一旦王都に戻って、他の七不思議を解決すればいいしね。」
「お、おう…。でも態々王都に戻るのもあれだし、依頼を受けずに森の深奥に行けばいいと思うけど。」
幾つかの七不思議は、解決すれば自身に容易に辿り着ける可能性があるため、それだけは何としてでも避けたいトリス。
「う〜ん、それもそうだね。万が一入学式に間に合わなかったら、色々と学園生活もやりづらいだろうし。」
笑顔を顔に貼り付けて、何とか何でもない風を装うトリス。その甲斐あってか、何の疑問を持たずに納得してくれたホルスに、安堵のため息をつくのだった。
入学前の話も、後少しで終わりです。




