第136話 とある休日のドタバタ 11(リア編)
水風呂ならぬ、水シャワー浴びたら、見事に熱を出すという悲劇に見舞われました…。
給湯器が壊れてお湯が出ないのです(泣)。明日までそんな地獄が待っているかと思うと、今から気が重いです(笑)。
「それで、今日は何処に行くの?」
ホルスは問う。この学園都市エコールに、昨日のようなショッピングモール等は他に思い当たらないため、同じ場所に行くのではと思っているのだろう。
「昨日と一緒の場所だけど、使う施設が違うから安心して良いよ。流石に2日連続買い物は飽きちゃうからね。」
「え?そ、そんな事は無いけど、皆同じ場所っていうのは、少し失礼な気がしてきてさ。」
使う施設が違うという事が気になりつつも、リアに気を遣わせてしまうのも悪いので、慌てて言い訳をする。するとリアは、イタズラっ子のような笑みを浮かべながら言う。
「どういう施設か気になる?」
「う、うん。」
ホルスは戸惑いながらも頷く。
「教えてあげたいけど、でも今は秘密ね。私も行ったことは無いんだけど、トリス君は『何も知らずに行けば、必ず腰を抜かすよ』って言ってたから、後のお楽しみにね。」
「えぇ〜。そんな〜。…まぁでも、トリスがそんな事言ったなら、期待しとくよ。」
教えて欲しそうな顔をするが、トリスの言葉に考え直し、実に楽しみそうにしている。
それを見て、リアは思う。
-…大丈夫だよね?私が聞いた限りでは、口頭じゃ信じられないような施設だし。-
ホルスの楽しみが、ガッカリに変わらないかと不安に思うが、トリスの言を信じて、今は目的地まで歩みを進めるのだった。
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「え?何ここ?」
ホルスはリアに連れられやって来た、ショッピングモールの一角にある狭い部屋をみて、つい心の声が漏れてしまう。
ホルスの視線の先にある部屋は、最初はスライド式のドアがあったのだが、リアが横についているボタンを押すと、数十秒後に勝手に開いたのだ。
「ホルス君、早く乗ろうよ。」
「の、乗る?入るじゃなくて?」
「お、流石はホルス君。言葉のニュアンスの違いに気付くとは、お見事だよ!…まぁ、これもトリス君が言ってた事なんだけど。」
リアは『あはは』と笑う。
「どういう意味なの?」
ちんぷんかんぷんのホルスは、首を捻りながらリアに聞く。
「これはね、『エレベーター』っていう装置で、上下に高速で移動するものなんだって。」
「エレ、ベーター?」
リアの説明に、オウム返しのように呟くホルス。
「うん。今は私達が居るショッピングモールの3階から、60階までを繋いでいるんだって。大体1分もあれば着くんだって。」
そんなホルスに、リアは丁寧に説明をする。
「へ〜、ここから60階までね。それは凄いね…って60階!?どう見ても、この建物は3階建てくらいだったよね!?」
一瞬流しそうになるが、慌ててホルスはおかしなところにツッコミを入れる。
このショッピングモールの外見は、どう見ても3階ほどしかなかったのだ。
「えっと、詳しくは分からないけど、建物自体に不可視を付与してるんだって。」
「何かもう、色々とぶっ飛びすぎてて、この時点で腰抜かしそうだよ…。」
ホルスは呆れて笑うしかないようだ。
不可視で、上層部分を見えないようにしたのは、中世的な世界観ぶち壊しの巨大建築物を、外から丸見えにするのはなんだかなぁという理由で、トリスが提案したのだ。
また、不可視には、一定程度その物体を光が回り込んで通るような効果があるので、巨大な日陰を作らずにすんでいる。
「おっと。早く乗らないと、他の人に迷惑だよ。」
「あ、ごめん。つい驚いちゃって。」
エレベーターの前で立ち止まっていたので、数人後ろがつっかえていたので、慌てて乗り込むのだった。
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「後少しで着くね!」
リアの目的地は30階にある施設。そこでは、とある幻想的にな光景を目にする事が出来るといい、何故かカップルに大人気の場所であった。
「うん、楽しみだね。」
ホルスはワクワクした様子で、ドアが開くのを待っている。途中体がフワッと浮くような感覚に驚いていたが、既に慣れたようだ。
ホルスが頷いてから数秒後、階数表示が30階になり、軽く体にGがかかる感覚を味わっていると、すぐにドアが開く。
「…魚?」
降りたホルスを出迎えたのは、大分デフォルメされた魚の看板だった。
そんな看板と、受付と思しき場所と奥に大きな半透明の扉が見える、謎の部屋にホルスは首を傾げる。
「えっと、ここは?」
「う〜んと、戸惑う気持ちも分かるけど、取り敢えず受付に行こう。」
戸惑っているホルスを、リアは手を引いて受付まで行く。
すると受付の女性が、笑顔で元気良く言う。
「ようこそ、トゥール水族館へ!」
「あ、はい。えっと、学生2枚でお願いします。」
「はい、かしこまりました。では学生証のご提示をお願いします。」
どこかで聞いた事があるやり取りをしつつ、リアは何処と無くぎこちない様子で、受付と会話する。
「ほら、ホルス君も。」
「え、うん。」
何が何だか分からないが、リアに従って損は無いだろうと、大人しく学生証を差し出すホルス。
「お2人ともトゥール学園ですか。凄いですね。では、少々お待ち下さい。」
「はい。」
10秒ほどで受付の女性は書類を書き終わり、口を開く。
「では学生料金、並びにカップル割で、2名様で銀貨2枚頂戴致します。」
「はい、分かりました。」
リアはトリスの言っていた通りの値段に頷きながら、言われた通りの金額をピッタリ差し出す。
「銀貨2枚、丁度お預かり致します。…ではこちら、入場券です。紛失してしまいますと、再入場出来ない仕組みとなっておりますので、お気を付け下さい。」
「ありがとうございます。ホルス君、行こう。」
イマイチ状況が理解出来ないまま、ホルスはリアに言われるがままに、半透明の扉の方へと向かうのだった。
…全然先に進みませんでしたね。
じ、次回こそは、テンポよく進めたいです。