第125話 根回しが良すぎましたかね?
夜中に思いつきで、別の作品を始めたら、案外そちらも楽しくなってしまい、『転生王子は何をする?』の執筆が滞るという悲劇が起こりました(orz)。
「「「…。」」」
すっかり思考が停止した様子の3人。
「お〜い?ま、いっか。話の続きだけど、これでフロレンティーナ様やトートさんに関するいざこざは、根っこから完全に解決したってことっすよ。」
固まっている3人を無視して、トリスは『これで終わり!』と結論付ける。
「…え、ちょっと待って。若しかして、作戦名の『害虫駆除は根元から』って、そういう意味?」
そんなトリスの言葉に、ホルスは昨日のトリスの作戦名を思い出し、唖然とする。
まさかそんなに前から、トリスがシナリオを練っていたとは、思いもよらなかったのだろう。
「勿論黒幕の更に裏にいる奴らまで駆除するっていう意味だ。今回の黒幕、つまるところトートさんだけをフルボッコにすれば終わりだというのは、甘い考えだと思ったから、アルヴィトを借りる際に色々と裏から手を回したって事さ。いい教訓になったろ?」
「むぅ…。」
笑いながら言うトリスに、ホルスは『理解はしたけど、納得はしてない』というふうな表情をする。
「そ、そんなむくれた顔すんなって。単純な実力だけじゃ、どうにもならん事は世の中に沢山ありますよっていう、ホルスの身を心配した作戦なんだからさ。」
「う〜ん、それを言われると弱いなぁ。分かった、次からは頭を使って、敵を着実に追い詰める感じで行動をとるよ。」
「おう!…しかし、それはそれで敵も哀れだな。てか、また事件に巻き込まれるのが決定なんだ。」
「トリスと出会ってからというもの、事件に巻き込まれていない期間の方が短いと思うんだけど。」
「いやいやいや!そんな事は無いぞ!小説では、確かに多い気もするけも、平凡な日常については書かれていないだけであって、1ヶ月以上あるからな!?」
「え?小説?」
珍しくメタ発言をするトリスに、『意味が分からない』と首を傾げるホルス。
「す、すみませんでした(ボソッ)。なんの話だ?そんな事より、フロレンティーナ様を屋敷に送り届けようぜ?そろそろ学園都市中で、騒ぎになりそうだしな。」
トリスのメタ発言に謎の意思が脅しをかけて早々に止めさせたため、話題を変えようとごもっともな事を言う。
「あ!確かに!…ど、どう言い訳しようか?」
「下手したら、宣戦布告したという意味に捉えられて、戦争が起きるかも知れませんわね。」
-ま、そのへんは全然問題無いんだけど、俺の正体に対しての疑問を忘れてもらうために、言わないでおくか。-
トリスは一瞬考え、サラッと酷いことを心の中で言う。
「さ、そうならない内に送り届けて、知らん顔してればいいさ。と、いうことで、ホルス、あとは頼んだ!アイ!もう戻って良いぞ!」
慌ただしくその場から走り去るトリス。
そしてそのトリスの言葉に、律儀に従うアイ。
「了解いたしました。」
だが取り残された3人は驚いてしまう。
「え?ちょ、トリス!?」
「あ、アイ?というかこの声はどなた?」
「何処から声が?あれ?飛行船が消えてる!」
混乱したままその場に取り残された3人は、いきなり消えたトリスに若干の怒りを覚えながらも、フロレンティーナの屋敷へと向かうのだった。
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「へ?伝言?」
フロレンティーナの屋敷に着き、さぁ何処から入ろうかと辺りをウロウロしていると、ホルスは浮浪者風の男から1枚の紙を渡され、伝言であると伝えられる。
「あぁ。黒い髪の少年が、これを渡してくれと言っていた。ひひっ!この礼で、今夜は久しぶりに酒が飲めるわい!」
実に懐が暖かそうにしながら、浮浪者風の男はそのまま立ち去る。
「黒い髪の少年って、トリスの事だよね?」
「えぇ、そうですわね。彼以外の黒い髪をした方は、見た事ありません。」
「は、はい。私もそうだと思います。」
3人は頭の中にトリスを思い浮かべながら、頷き合う。
「取り敢えず開けてみようか。」
ホルスはそう言い、手渡された手紙を開く。すると中にはとんでもない事が書かれていた。
『親愛なるホルスへ
この手紙を読んでいるという事は、もうフロレンティーナ様の屋敷の付近に居るという事だろう。あ、因みに俺は別件を片付けてる最中なんで、逃げた事に関しては悪く思わないでください。いや、ホントまじで。
さて、話を戻そう。結論を先に言うと、フロレンティーナ様の屋敷に居たメイドやら何やらは、全てとある商会が始末した後だ。ここまで書けば分かると思うが、つまり彼らはダンクレスの手先だったという事だ。
ははは。唖然と口を開けているのが、目に見えるようだ。ま、そういう訳で、今屋敷の中に居るのは、とある商会、もうここまできたら書いちゃうけど、カレンベルク商会の手先だ。
話は通してあるから、そのまま門から堂々と通ってくれ。
冥福をお祈りします(色んな意味で)。
トリス』
「「「…。」」」
後で仕返しが怖かったので、トリスは茶目っ気も兼ねて最初の方で許しを乞うたが、ホルス達は完全に後半部分に目を取られ、それどころでは無いようであった。
前書きで触れた別の作品の題名は、『外れスキルで最強へ』です。外れスキルはまんま外れなんですけど、そのスキルのおかげで、最強になる事が可能になっていたというストーリーです。
是非を読んでみて…いえ、まだ2、3話しか更新出来ていないので、気が向いたら読んで見てください。