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転生王子は何をする?  作者: 血迷ったトモ
第2章 学園編
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閑話 フォルツ王国暗部ダンクレスの末路

休みだと、大分執筆が捗りますね。1日で4話(1万字くらい)書けました。ネット小説賞の一般的な募集要項が10万字なので、結構いきましたね。内容が面白く無ければ意味無いんですけどね(笑)。

フォルツ王国の暗部であるダンクレスは、王都から馬で2、3時間の比較的大きな街にそのアジトを持っていた。そのため、トートが魔導師団を退団してから間を空けず、その情報を短時間で手にしていた。


「な、何だと!?」


「あの小娘、死にたいのか!?」


「いや、ありえん!何かの手違いであろう!」


「し、しかし、魔導師団団長が、確かに辞表を受理したと伝達してきたのは、信頼出来る筋からだぞ!?」


その幹部達の話し合いは、最早ただ言いたい事を言うだけの会になっていた。

そしてそこに追い討ちをかけるように、更に彼らを混乱に陥れる報告が入る。


「し、失礼します!」


兵士が慌てながらドアを開けたまま部屋に入ってくる。


「何事だ!?」


「さ、先程から、何者かによる襲撃を受けています!敵は1人なんですが、全兵力を以てしても、まったく抑えきれません!どうかお逃げ下さい!」


『な!?』


幹部一同は唖然とする。何故1人すら抑えきれないのかという以前に、襲撃される前兆すら掴めなかったのだ。本来彼らはフォルツ王国国内においては、絶対的な支配力を持っていたため、事前に襲撃をする者を排除することすら可能なのだ。


唖然とする幹部達。しかしその数秒後、すぐに逃げなかった事を後悔することとなる。


「こ〜んに〜ちわ〜!!」


やけに間延びした声を発しながら、兵士が開けたままのドアから1人の男が侵入する。


「ま、まさか…。」


兵士が青い顔をしながら、後退りをする。


「こ、コイツは!?」


「だ、誰だ!?」


誰何を受けた男、トリス達に情報を提供した『オッサンの止まり木』のマスターは、そのスキンヘッドを撫でながら自己紹介を始める。


「ど〜も〜、自分は名無しっていいま〜す。あ、変身(メタモルフォーゼ)解くの忘れてたわ。『解除』。」


名無しと名乗る男は、闇属性上級魔法の『変身(メタモルフォーゼ)』解除する。するとそこにはローブを深く被って顔の見えない、ひ弱な体型の怪しい人間が居た。


『!?』


変身(メタモルフォーゼ)だと!?それにそのローブ姿。まさかSランク冒険者トリスか!?」


驚愕した様子が幹部達から伝わってくる中、1人の太った幹部がまさかと叫ぶ。


「おぉ〜、当ったり〜。すげぇじゃん。ま、当たっても景品は無いけどな。それよりもさ〜、俺ってば(・・・・)人使い荒すぎるよな〜!今日1日で、どんだけ移動したと思ってんだよ。」


トリスは、いきなりの妙な事を言い出す。勿論幹部には意味が分からないため、ただ困惑するだけであった。


「な、何の話だ?」


「ん?こっちの話。あ、お願いがあって今日はお邪魔したんだよ。」


「お願い、だと?」


先程から、1人の代表格っぽい、丸テーブルの入り口から一番奥に座っている、禿げたオッサンが言葉を発するため、ソイツに対してトリスは合掌しながら言う。


「あんたらさ、ちょっと俺の目的には不要だから、ちょっとこの世から退場してくれない?永遠に。」


『は?』


『ちょっと消しゴム貸して?』くらいなノリで、とんでもない事を言うトリス。要するに死ねとトリスは言っているのだ。


「今なら楽に殺してやるよ。あんたらは悪人だ。こっちも気兼ねなくやれるってもんだ。」


言いながら、トリスは何時の間に持っていたのか、ひと振りの刀を鞘から抜き、そして上段に構えた。


「な…。」


「本気…か?」


「は、ははは…。悪夢だ…。」


すっかり戦意を喪失した様子で、力なく椅子に凭れ掛かる幹部達。

トリスのやってきた事を知っていれば、誰でもそうなるだろう。

ほぼ1人で魔王軍の大軍を殲滅。盗賊狩り。ありとあらゆる、伝説や神話でしか語られないようなモンスターの討伐。…やりすぎ感も否めないが、それらのお陰でだいぶ魔王軍進行後の復興も早まったので、そう悪い事では無いだろう。


「さて、それでは、ご退場願おうか。む?」


トリスが動こうとした瞬間、部屋に1人居た兵士が、雄叫びを挙げながら突っ込んでくる。その手には剣を持っているが、若干震えているところを見ると、大分勇気を振り絞ったのだろう。


「うぉぉ!!」


「尊敬するよ。だが!」


しかし、そんな完全な状態でない一般人の剣など、トリスの敵ではない。

トリスは、左手で握りこぶしを作ると、一言呟く。


「『雷纏』。」


「ぐわっ!」


すると黒の手袋を嵌めている左拳に、電気が纏わり付くように発生する。そして剣を躱すと同時にその拳を軽く兵士の腹に当て、電流を流して気絶させる。

この『雷纏』というものは、オリジナル魔法の一種で、トリスが独自に開発したものだ。最初は素手に纏わせてみたのだが、物の見事に感電し、戦闘どころではなかったため、他の属性でも使えるように耐熱、防水等を備えた絶縁体の魔道具(マジックアイテム)である手袋を開発し、漸く実用化にありつけたのだ。


「さて、殺すか…といきたいところだが、この兵士の覚悟に免じて、あと数時間後に来る者達に大人しく従うならば、命は助けてやろう。」


「そ、それは本当か?」


「あぁ、本当だ。礼ならこの兵士に言ってやれ。あ、それと、目が覚めたら(・・・・・・)お前達に指示を出す奴らの代表者に対して、トリスが頼むと言っていたと伝えてくれ。」


「え、それはどういう事―」


『どういう事だ』と最後まで言い切れなかった代表格を始め幹部達の意識は闇へと落ちるのだった。

前回注意したわりには、暴力シーンが全然なかったですね。思った以上に、名も無き兵士さんが良い働きをしてくれました。

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