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転生王子は何をする?  作者: 血迷ったトモ
第2章 学園編
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第117話 突撃開始です 6

この間、書籍化作品のPV見てみたんですが、更新していないのに、この作品の1日分を1時間ちょいで突破していたので、流石に笑いました。

トリス達は情報屋から出たあと、また屋根伝いに城へと走り、交代時間の20分前には城付近の商店の屋根の上に着いていた。


「さてさて〜。いよいよ潜入するわけっすけど、気分はいかがですかね?」


トリスは、オリジナル魔法について考えているであろうホルスを慮り、わざと茶化して言う。


「え?そうだねぇ。オリジナル魔法の使い手となると、ちょっと不安だよね。効果も分からないしさ。」


しかし、案の定オリジナル魔法を不安に思っていたホルスから、馬鹿正直な答えが返ってくる。


「はぁ〜。」


「え?何?僕、何か変な事言った?」


『やれやれ』と肩を竦め、ため息をつきながら首を振るトリスに、ホルスは首を傾げる。


「あのなぁホルスさんよ。」


「え、どうしたの急に。」


いきなり口調がおかしくなったトリスに、ホルスはぽかんとしている。

そんなホルスを見て、トリスは仕方ないとばかりに真面目な顔で言う。


「ホルスは、それはもう人間辞めてるレベルで戦闘能力が高いんだ。」


「え、そ、そんなに?」


「あぁ、そんなにだ。で、そんな人間辞めてるホルスが、高々オリジナル魔法が使える程度の奴に、負ける訳がないだろう?それに、万が一に備えて俺もバックアップするんだ。それなりに力を出したホルスに、まぁ着いていける俺がだ。」


自画自賛のようで、若干恥ずかしいがトリスは言葉を紡ぐ。

一方ホルスは、『いきなり何を言い出してるんだろう?』と思ったが、トリスが何かを伝えたいという事は分かったので、戸惑いながらも大人しく相槌をうつ。


「う、うん。」


「で、しかもだ。緊急時は俺は、あの飛行船レベルのやばい魔道具(マジックアイテム)を使ってでも、盤面をひっくり返してやる。どうだ?これでもまだ不安か?」


「う…。負けるビジョンが全く見えないよ。」


トリスから、圧倒的にこちらが優位であることを至極丁寧に説明されたホルスは、半笑いで呟く。


「だろ?とはいえ、全く警戒しないのはただのアホだから、気合い入れてけよ〜。」


不安を払拭出来たとひと安心したトリスは、軽く冗談を挟む。


「うん、分かった!でも、まだ交代する気配は無いから、もう少し待機…え?トリス?」


トリスの冗談に、元気良く返事を返すホルス。そして城の警備兵の様子を見てから視線をトリスの居た方に向けると、何とそこにはトリスの影も形も無かったのだった。


「え?え?ど、どこ行ったんだろ?」


慌ててキョロキョロと辺りを見回すと、下の方から元気なトリスの声が聞こえてくる。


「お姉さん!この『鶏肉とトマトの7種のスパイススープ』を2人前お願い!」


「お姉さんだなんて、照れるわ〜。よし!サービスしてあげちゃう!」


「え、ほんと?ありがとう!」


見ると、何とトリスは不可視(インビジブル)を解き、呑気に露店でスープ系の食事を購入していた。


「な、な、なんでやねん!?」


ホルスは似非関西弁でツッコミを入れてしまう。


「!…あれ?何か声が聞こえなかったかしら?」


「え?そうですか?多分どこかで朝から酔っ払いが喧嘩してるんじゃないんですか?」


ホルスの声が聞こえた露店の店員は、辺りをキョロキョロと見回す。

勿論トリスには、誰の声か分かっているので、落ち着いて適当な事を言う。


「あぁ、そうよね。よくある事だけど、朝から酔っ払ってるだなんて、やぁねぇ〜。」


「えぇ、そうですね。お姉さん美人だから、酔っ払いとかに目を付けられたら大変ですから、気を付けて下さいね?」


「あらやだ。そんなに持ち上げても、何も出ないわよ?」


あと20年若ければ確かに美人であったであろう女性を褒めつつ、話を逸らすことに成功するトリス。


「あいよ!お待たせ!具はたっぷり入れといたからね!その器は使い捨てだから、返さなくていいよ!あ、代金は銅貨2枚だよ!」


「ありゃ?ちょっと安くないですか?」


「良いのよ!お兄さんイケメンだし、今私機嫌が良いからね!」


「ありがとう!はい、銅貨2枚ね。うん、美味しそうだ!」


代金と引き換えに受け取った料理を見て、トリスは満足そうに頷く。


「それ食べて、今日1日頑張ってね!」


「うん!また来るよ!」


トリスは元気良く返事をすると、そのまま路地に消える。そして不可視(インビジブル)を発動させると、ホルスの居る屋根の上まで登る。


「ほれ、これでも食って、これからに備えないとな!腹が減っては戦ができぬ、だ。」


「トリスの切り替えの速さには、たまに着いていけなくなるよ…。」


トリスの突飛な行動に、ホルスはげんなりとした表情をする。


「そうか?…美味いな。」


だがトリスは呑気に食事の感想を述べている。

それを見て、ホルスはトリスなりの緊張していた自分への気遣いと分かったため、ため息をつきつつスープを口にする。


「はぁ…。ん、美味しい!」


温かいスープに、すっかり和む2人。柔らかく煮込まれた鶏肉に、トマトの酸味、スパイスが絶妙にマッチし、敵陣へと赴く前の腹ごしらえとしては上出来な代物となっていた。


「よっしゃ、行くか!」


「うん!」


腹も膨れたところで、丁度交代時間になったため、トリス達は行動を開始する。


「貰った地図によると、門じゃなくて壁を越えた方が早そうだから、フロレンティーナ様を担ぐのはホルスに頼むわ。」


「…トリスが運んでも、全く支障ないよね?」


「さぁ?何のことやら?女性だったら誰しも、ホルスみたいな奴に抱えられた方が嬉しいと思う…ぞ!」


ホルスにフロレンティーナの運搬を頼むと、少し雲行きが怪しくなってきたため、トリスは屋根から飛び降りて慌てて逃げる。


「あ!待ってよ!」


逃げるトリスに驚きながらも、ホルスは寝かせていたフロレンティーナを抱きかかえて後を追う。

その様子は、最早これから王城に侵入する者達には見えないものであった。

『鶏肉とトマトの7種のスパイススープ』。今お腹空いてるんで、涎が出そうです(笑)。

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