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転生王子は何をする?  作者: 血迷ったトモ
第2章 学園編
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第113話 突撃開始です 2

新キャラ登場です。ネーミングに関しては、勘弁してください(笑)。

「うわ〜。昨日は夜だったからあんまり実感湧かなかったけど、すごい速さで飛んでるんだね!」


モニター(・・・・)に映し出された映像を見て、ホルスは興奮した声を挙げる。

船室では、ファンタジー感台無しの機器類が並び、上下左右360度全体を映し出したモニターも設置されているのだ。

現在の高度は大体500メートル程なので、地上の様子は雲に遮られることなく良く見えるのだ。


「だろ?まぁ、俺が作ったんじゃないけど、褒められるのは嬉しいな。あ、あとこれ全速力じゃないから。」


「え?それホント?もっと出るの?」


トリスの言葉に、ホルスは目を輝かせる。しかしトリスは首を振る。


「…出さないからな?万が一ドラゴンに激突して、ドラゴンの一部が落下したら大変だからな。」


「え?ドラゴンにぶつかったら、ドラゴンが粉々になるのは決定なの?船体にダメージは?」


衝撃発言にホルスは目を見開いて驚いている。


「船体にダメージ?ないない。だって素材にミスリルとアダマンタイト、オリハルコン、ヒイロカネの合金を使ってるから、壊れないんだよな。」


トリスはにこやかな笑顔で、とんでもないことをぶっちゃける。


「え?王国の裏側で密かに囁かれている、ヤマト合金とかいうやつ!?それって実在したんだ!?」


「うん、みたいだな。ま、俺はこれの制作に関わってないから、詳しい事は知らんがね。」


ネーミングから分かるように、勿論ホルスが作ったのだが、知らん顔で運転席(全自動運転なので魔力を注ぐだけ)に座り、前方のモニターを見ている。

ヤマト合金は、トリスが以前素材を持て余した際作った物で、冗談のつもりで適当に4種類の金属を溶かし、割合も適当にぶち込んだ結果、魔力伝導、強度、しなり、耐熱、酸化のどれをとってもアホみたいに最高の性能を持つ金属が爆誕してしまったのだ。

流石のトリスもこれには驚き、慌てて師匠のアリアーヌ、カレンベルク商会会長のグレゴールに伝えて、この金属の再精製の研究を依頼し、つい数ヶ月前に方法が確立したばかりのものであるのだ。


「ま、マジで?僕は今、機密情報がたっぷり詰まった物に乗ってるのか…。ホントに、トリスは一体何者なんだい?」


「え?ただの平民?」


「「それは無い(です)!」」


トリスに対して盛大なツッコミが入る。


2人して(・・・・)そんなに褒めるなよ〜。照れちゃうだろ?」


「「褒めてない(です)!」」


またしても元気よくツッコミが入ったトリスは、笑いながら言う。


「え?そう?ホルスもアイ(・・)も、息ぴったりだな〜。結婚しちゃえば?」


「え?結婚?誰と?」


第三者が居るかのような口振りになったトリスに、ホルスは首を傾げて聞く。


「?アイ(・・)と?」


不思議そうなトリスの言葉に反応し、どこからともなく機械的な女性の声が聞こえてくる。


「僭越ながらマスター。私には人間のような肉体が無いため、結婚は出来かねます。創造主様には好きな人が出来たら、いつでも言ってくとは言われていますが、正直恋愛感情は人工知能である私には芽生えないかと。」


「そう?アイみたいに複雑な思考が可能なら、恐らく人間と同じように恋愛に近しい考えは可能だと思うけど?」


「え?え?え?だ、誰と話してるの?え?何処に居るの?」


聞こえてくる声に対して、自然に言葉を返すトリスを見て、ホルスは混乱のあまりまともに思考が回らないようだ。


「あ〜、言ってなかったか。アイ、自己紹介を頼む。」


「はい、了解致しました。初めまして、ホルスト・ラ・レンバッハ様。」


「は、初めまして…。」


いきなり名前を呼ばれたホルスは、辺りをキョロキョロ見回しながらも、一応挨拶をする。

しかし辺りに誰も居ないので、ホルスはますます訳が分からなくなってしまう。


「私は、アルヴィトに搭載されている人工知能の、アイと申します。魔力の制御、機体の制御、周囲の警戒などを担当させて頂いております。以後、お見知り置きを。」


「は、はぁ…。あの、質問いいですか?」


アイの畏まった自己紹介に、ホルスは訳が分からないという表情のまま問う。


「はい、なんなりと。」


アイの許しが出たホルスは、遠慮なく疑問をぶつけていく。


「えっと、ではまず人工知能とは何ですか?」


「人工知能とは、人間が自分達と同じように思考が可能なように作り出した存在です。この世界ではまだ私1人のようです。」


当然ホルスにはこれだけでは意味が分からないようで、顰めっ面で次の質問に移る。


「う〜ん?じゃあ、どちらにいらっしゃるのですか?」


「私には肉体がありませんので、言うならば飛行船自体に居ます、という表現が正しいかと。飛行船に住み着いている精霊とでも思って頂ければ、分かりやすいかと思います。」


アイの説明に、ホルスは驚いた表情で質問する。


「えっと、つまりアイさんは、この飛行船を操作するためだけに生み出された存在だという事ですか?」


ホルスの言い方には、少し創造主に対して棘を含んであった。どうやらアイを、自由の制限された、自我を持つ存在と捉えてしまったようだった。


「はい。あ、創造主曰く、外出可能な肉体も用意しているそうなので、別に囚われの身とかそういう訳では無いので、怒りを覚える必要は無いですよ?」


そのためアイは創造主、トリスの擁護を行う。


「え?そうなのですか?というか、よく僕が怒りを覚えたと分かりましたね?」


「言い回しやイントネーションから判断させて頂きました。」


「へ〜、凄いですね。本物の女性と会話をしているようにしか思えませんね。」


「お褒めいただき、ありがとうございます。しかし私には自我は無く、ただ計算に基づいて発言しているに過ぎないので、お気になさらずに、マスターと話していたような口調でお願いします。」


全く嬉しそうだとは思えない口調で、アイは礼を言う。更にホルスに対して普段の口調で話せとも要求をしてくる。この要求は、『主人に仕える従者』を想定して人格の設定を行ったためか、敬語を使うとこのように言うようになったのだ。


「う、うん、分かったよ。」


戸惑いながらも要求をのむホルス。2人のやり取りを見ながら、トリスは小さく口角を上げながら呟く。


「運要素も大分あったけど、出だしは順調か。これなら希望通りになるかは五分五分ってとこか。本当に楽しみだよ…。」


ホルスには背を向けているため気付かれなかったが、寝室や屋内プールの更衣室以外に設置されている付与を駆使した異世界版防犯カメラにより、アイにはその口の動きを読むことは出来たのだが、大した事ではないと判断して触れないので置くのだった。

はい、という訳で、人工知能のアイさん登場です。勿論作成者はトリスですが、認識阻害などの隠蔽工作を行った状態でテスト起動したため、アイさんにはトリス=創造主とは分かっていません。

因みに名前の由来は、Artificial Inteligenceアーティフィシャル・インテリジェンスのそれぞれの頭文字からとってます。安直ですが、作者の残念な頭ではこれしか良いのが思いつかなかったのです…。

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