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転生王子は何をする?  作者: 血迷ったトモ
第2章 学園編
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第100話 ありふれた学園生活? 3

どうも、お久し振りです。まさか一週間近くも間が空いてしまうとは…。お待たせてしまいすみません。

周囲からの圧力に負け、肩を落としながらマルティナに近付くトリス。だがここで、直視し難い事実に気が付いてしまう。


「どう運ぼうが、当たる(・・・)…。」


そう。マルティナは12歳の時ですら特徴的であったのだが、成長した今彼女の胸部装甲は平均よりかなり凶悪なものとなっているだ。

そのため考えうる限りの女性の運び方を脳内でシュミレーションしても、トリスの身体の一部が接触不可避となっている。

前世と今生を通して女性経験が無いトリスには、耐え難い苦行となってしまう。


「トリス?どうしたの?急に頭を抱えて唸り出して。」


「…いえ、何でもないです。はぁ、覚悟決めるか。」


今のトリスではどうしようもないので、諦めて意識しないよう努力しながら、仰向けに倒れているマルティナの横につく。


「失礼しますよ、先生。…で、ホルス。保健室で何処だっけ?案内頼める?」


素で分からないトリスは、苦行(滅茶苦茶失礼)を終わらせるためホルスに頼む。


「…。」


しかし何故かホルスは全く反応してくれないのだ。


「え?何?何で呆けた顔してんの?」


「…あ、ごめんトリス。トリスがマルティナ先生をお姫様抱っこしている光景が、まるで本物の王子様とお姫様のように見えて、つい見蕩れてたんだ。」


「何じゃそりゃ?どう見てもホルスの方が王子だろ?でしょ?」


『んな馬鹿な』と、トリスは近くに居たリタとリアに同意を求める。


「そ、そうかな?普段は兎も角今はホルス君に同意するけど…。」


「わ、私も同じです。トリスさんがまるで聖剣使いの王子様のような印象を受けました。」


「え、えぇ〜?」


この世界では、所謂『白馬の王子様』を『聖剣使いの王子様』と表現するのだが、由来的には魔王特効の聖剣を持つ者は、勇者であり王子であるという物語が多いためだろう。

それは兎も角ベタ褒めされる事が少ないトリスは、困った表情を浮かべる。


「おやおや?若しかしてトリス、照れてるの?」


「!そ、そんな事は無いって!ただどう反応していいか分かんないだけだよ。」


「ほほう?」


トリスの慌て様に、ホルスはニヤリとする。


「そ、そんな事より、早く保健室に案内してくれ!」


「あ、待ってよ!」


ホルスのニヤリとした顔を見たトリスは、逃げるようにして教室の外に出るのだった。

________________________________________

「ふぅ。漸く着いたか…。」


「そ、そうだね…。」


保健室のドアを前にしてトリスとホルスは疲れた顔で呟く。

ホルスに案内を頼んで道案内をしてもらったのだが、トリスと同じく新入生であるホルスには荷が重かったようで迷いに迷った挙句、近くを通りかかった教員から場所を教えてもらって漸く着いたのだった。

休み時間は15分のだが、迷ったせいで遅刻確定となってしまっている。


「よし、さっさと置いて帰ろうぜ。」


「置くって…。ま、まぁ早く教室に戻るっていうのには賛成だけどね。…失礼します。急病人?を運んできました。」


またまた先生に対する扱いが酷いトリスに苦笑いしつつ、ホルスは頷きながらドアを開けて中に入る。


「は〜い。」


すると中から中年の女性の声が聞こえてくる。男性であったら少々不安なので付き添いも考えていたのだが、心配が無用であったのでトリスは安堵しながらマルティナをお姫様抱っこしたままドアをくぐって中に入る。


「失礼します。…ってオーク!?ホルス!戦闘準備!」


だが保健室に入ったトリスは、中に居た人物を見て驚きの声をあげてしまう。何故ならば、声を出した中年の女性は居らず、代わりに女性服を着たオークが居たからだ。


「オークですって!?何処に居るの!?」


するとトリスの視線の先に居るオークが、唐突に慌てふためきだしたのだ。


「え?」


「トリス…。」


呆気に取られるトリスを、残念な子を見る目でホルスが見てくる。


「ま、まさか。」


「うん、そのまさかだよ。この人は、保健室の担当のリヒャルダ女史だよ。」


「オークじゃなくて人間!?も、申し訳ございません!マルティナ先生に注意を向けていたため、よく見えていませんでした!」


勿論保健室にオークが居るわけもなく、トリスがただ見間違えただけだったのだ。しかし見間違えるのも無理もなく、彼女はあまりにふくよかでいらっしゃるのだ。


「え、若しかして私とオークを見間違えたのですか?」


「い、いえ。後ろにあるカーテンの微妙な膨らみがそう見えました。なんせ、つい最近オーク狩りをしたばかりでして。」


トリスの言っている事は勿論半分嘘であるが、オークを狩っていたのは事実である。そのため特に言い訳のようにならずに自然に口に出す事が出来た。

この世界ではオークは前にも触れた通り女性を攫う事が多く(※第79話の後半部分参照)、被害が出る前に殲滅するのが常であるため、常時依頼としてオーク討伐がギルドから依頼されているため、暇を持て余したトリスとホルスとしては、最高の暇つぶしであったのだ。


「あら、そうなの。なら良かったわ。」


-良いんかい!てか改めて見てもオークにしか見えねぇ!-


あっさりとトリスの言い分を認めたリヒャルダを見て、トリスは額に手を当てて心の中で叫ぶのだった。


次回は金曜日か土曜日あたりに更新できそうです。

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