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パートナーと旅立ち

カイトは懐かしい感覚に包まれていた。ベッドだ。辺りに響くのは、じょろじょろと水が落ちる音。その音が消えると今度はこちらに歩み寄る音。その気配に害意は一切感じない。足音が止まると冷たい布を額に当てられた。状況から考えると介抱されているようだ。 


カイトは重たい瞼を開けると、狭い視界に映ったのは心配そうにこちらをのぞき込む女性の顔だった。その女性は急にカイトが起きたことにビックリしたのか顔を上げた。


「おはようございます。お身体の調子はどうでしょうか?」


「あぁ、大丈夫だ。ありがとう。俺はカイト。カイト・シノハラだ。君は?」


「私はトウヤ・アルミタイトの娘、サクヤ・アルミタイトです。サクヤとお呼びください」


サクヤ・アルミタイトと名乗る女性は、歳がカイトとあまり変わらないように見える。端整な顔立ちに肩より少し長い艶やかな黒の髪を束ねるその姿は日本のモデル以上に魅力的だった。


その名を聞いたカイトの眉がピクリと無意識に動く。


「なんで俺を助けた?お前の親を殺したのは俺なんだぞ?」


訝しげな視線で聞いた。


「父が望んだことです。それに父の顔は清々しいものでした。感謝こそすれど恨むことなんて何一つありません」


サクヤは首を振って答えた。そして、今度は頭を下げた。


「ありがとうございました。父は自分の死期を悟っていました。そして言ってました。最期は戦いの中で死にたいと。それが叶ったのです。無事成仏できます。本当にありがとうございました」


ポタリと雫が床に落ちる。


「そうか」


カイトは短く告げる。サクヤは顔を上げ、涙を拭うと部屋から出て行った。



カイトはサクヤが出て行ったのを確認すると自分の左目に何も映らないことに溜息を吐いた。


トウヤの最後の一太刀。黒炎の熱が刀に伝わったのか鋭い痛みとは別に傷口を灼かれる痛みがあった。額や頬に触れて確認するが治りが遅いようだ。高速再生で治る可能性はあるが、もう左目は再生しないとほぼ確信に近い予感がした。


過ぎたことは仕方ないと割り切り、体を起こそうとした。


「ウグッ」


体中に激痛が走る。辛うじて動かせるのは首から上だけ。あまりに暇すぎるカイトはステータスを見ることにした。


カイト シノハラ 17歳 男

Lv481

HP 39765/39765

MP 40735/40735

攻撃力 42100

防御力 39960

敏捷力 47200

スキル

固定Lv5 移動Lv5【悪路走破、縮地】 刀剣術Lv5【居合い、受け流し、二刀流、幻影剣、飛剣、魔斬】格闘術Lv5【受け流し、受け身、無刀】 爪術Lv5【滅爪、魔力爪、飛爪】 高速思考Lv5 並列思考Lv5 雷魔法Lv5 石化魔法Lv5 幻覚魔法Lv5 重力魔法Lv5 振動魔法Lv5 音波魔法Lv5 龍魔法Lv5 結界魔法Lv5 全属性魔法Lv5 隠密Lv5 気配感知Lv5 気配遮断Lv5 毒耐性 麻痺耐性 連携 指揮 猪突猛進 高速再生 限界突破 神威 言語理解


悪路走破

歩きにくい道を通る時に敏捷力に1.1倍の補正がかかる。


縮地

目に見える範囲を一瞬で移動できる。


刀剣術Lv5 

統合スキル:剣術+刀術

基本効果……刀剣の扱いに補正がかかる。

     刀技、剣技の習得に補正がかかる。


受け流し

相手の斬撃を流しやすくなる。


二刀流

二刀の扱いに補正がかかる。


幻影剣

魔力を実体の持たない剣に変えられる。斬ると相手の魔力を削ることができる。


飛剣

魔力を剣に纏わせ、振り抜くと魔力で形成された刃が飛ぶ。


魔斬

放たれた魔法より高い魔力を剣に纏わせ斬ることで魔法を乱し、魔力へと還元される。


格闘術Lv5

基本効果……体術の扱いに補正がかかる。

     格闘技の習得に補正がかかる。

Lv1‥‥攻撃力に1.1倍の補正がかかる。

Lv2‥‥攻撃力に1.2倍の補正がかかる。

Lv3‥‥攻撃力に1.3倍の補正がかかる。

Lv4‥‥攻撃力に1.4倍の補正がかかる。

  敏捷力に1.1倍の補正がかかる。

Lv5‥‥攻撃力に1.5倍の補正がかかる。

  敏捷力に1.2倍の補正がかかる。


受け流し

受けた力を流し、ダメージを軽減できる。


受け身

衝撃を流し、ダメージを軽減できる。


無刀

手に魔力で形成した刃を作り出す。


魔力爪

魔力を圧縮することで実体の持つ爪に変えられる。


高速思考Lv5

Lv5‥‥一秒で五十秒分の思考ができる。


並列思考Lv5

Lv5‥‥七つの思考をできる。


幻覚魔法Lv5

基本効果……魔力を使い、相手に幻覚を見せる。

     魔物固有魔法

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


重力魔法Lv5

基本効果……魔力を使い、重力を操れる。魔物固有魔法

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


振動魔法Lv5

基本効果……魔力を使い、振動を操れる。魔物固

     有魔法

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


音波魔法Lv5……魔力を使い、音波を操れる。魔物

       固有魔法。

使用制限……手からのみ使用可能。

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


龍魔法Lv5 

基本効果……魔力を使い、自分の持つ属性のブレ

     スを操れる。魔物固有魔法。

使用制限……手からのみ使用可能。

Lv1‥‥初級魔法ブレス使用可能。

Lv2‥‥中級魔法ブレス使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法ブレス使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法ブレス使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


結界魔法Lv5……魔力を使い、結界を操れる。魔物

       固有魔法。

使用制限……手からのみ使用可能。

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


全属性魔法Lv5 

統合スキル:火魔法+水魔法+土魔法+風魔法

      +光魔法+闇魔法+空間魔法

基本効果……魔力を使い、火、水、土、風、光、

     闇、空間を操れる。

Lv1‥‥初級魔法使用可能。

Lv2‥‥中級魔法使用可能。威力上昇。

Lv3‥‥上級魔法使用可能。威力上昇

Lv4‥‥超級魔法使用可能。詠唱省略可能。

Lv5‥‥無詠唱使用可能。


毒耐性

毒物に対して耐性を得る。


麻痺耐性

麻痺に対して耐性を得る。


指揮

自分の指揮下にある者の全ステータスに1.1倍の補正がかかる。


猪突猛進

突撃に攻撃力1.2倍の補正がかかり、敏捷力に1.1倍の補正がかかる。


限界突破

魔力を常時消費する代わりに全ステータス1.5倍の補正がかかる。


神威 

統合スキル:威圧+獣王の威厳+天馬の嘶き

      +龍王の重圧

自分よりレベルが低い相手を平伏させる。精神力が強いと抵抗される。


ステータスを見終わった頃に扉をノックする音が聞こえた。自分の家なのに律儀だなと思いながら返事を返す。


「お食事をお持ちしました」


持ってきたトレイの上にはパンとスープがあった。久々のちゃんとした食事に思わず、頬が緩む。


「ありが、グッ」


体が動かないことを忘れていたカイトが再び激痛に襲われる。


「大丈夫ですか?もしよろしければ食べさせましょうか?」


「頼む」


「それでは」


そう言ってパンをちぎってカイトの口元に近づける。カイトは恥ずかしがらずにパクリと食べる。続いてスープをスプーンで掬うとカイトの口へと運ぶ。


「美味いな」


自然に出た言葉にサクヤは照れた様子で「ありがとうございます」と返す。




「ごちそうさま」


全て食べ終わると日本にいた頃からの習慣が出てしまった。


「?」


カイトの言葉が分からないのか首を傾げるサクヤ。カイトはいただきますと合わせて言葉の意味を教えると感激したように「次から私も言わせていただきます」と言っていた。


その後も色々な話をした。カイトがこの世界に召喚されたことやこの島に転移させられたいきさつを話すとひどく驚き、まるで自分のことのように悲しんでくれた。サクヤはサクヤで龍人の話や言い伝えを話してくれた。


時間も忘れ(そもそも分からないが)長く話し込む二人だったが、カイトが小さくあくびをすると「今日はこの辺で、お休みなさい。カイトさん」と言って出て行った。


サクヤが部屋から出て行った後に病み上がりだからかあっという間に眠気に誘われ、ベッドの感触もあり、カイトは眠った。


目を覚ますと視界が変わっていた。寝返りを打っていたからだ。カイトは体の鈍痛で寝返りを打つことができなかった。


カイトはゆっくりと体を起こす。少し痛むが動けることが分かったカイトはベッドから降りて、寝汗をかいていた服を着替えた。


カイトはいつもより少し遅い速度で歩きながらドアに辿り着いた。ドアを開けると見えたのはリビングとキッチンが一体化したような部屋だった。


カイトが出たドアの他に三つドアがある。その内、カイトが出たドアの反対のドアが開けられた。


「カイトさん、もう大丈夫なんですか?」


立っていたのは花束を抱えたサクヤだった。その表情は憂いを帯びていた。


「あぁ大丈夫だ。それより墓参りか?」


「はい」


「俺も行っていいか?責めて手は合わせておきたい」


「はい。もちろんです。私についてきてください」




幾つか部屋を渡った先にトウヤがいた。そこは何もない部屋で、真ん中にポツンと置かれた長方形の台にトウヤは横たわっていた。首と胴が繋がった状態で。トウヤは凍結処理を受けているのか腐敗もしていなかった。


花束を備え、二人は手を合わせる。しばらくして、目を開け横を見るとサクヤの目から一筋の涙が出ていた。


サクヤが顔を上げて落ち着いたのを確認すると重たい口を開いた。


「サクヤ、話がある。話を聞き終わってムカつくなら殴ってくれても構わない」


サクヤはカイトの真剣な表情に真っ直ぐ目を見据え話を聞く。カイトは大きく深呼吸し、同じくサクヤの目をしっかり見る。


カイトは移動のスキルのこと、それを使って生きているトウヤさんからステータスを奪ったことを伝えた。


生きている者からステータスを奪う。生きる為には仕方ない行為。それでも最低なことには変わらない。


カイトは話し終えた後に頭を下げた。どんな罵詈雑言も流さずに真正面から受け止める覚悟を持って。


しかし、聞こえたのは恨みつらみは一切含まれていない、ただ優しい声音だった。


「カイトさん。頭を上げてください。前も言った通り父が望んで戦い、負けた結果です。カイトさんが謝る必要はありません」


「それに」と前置きをして真剣な声音に変化する。


「私が言うことも人とは思えないほど最低なことで、軽蔑してくれて結構です。カイトさんの左目に父の眼を使ってください」


「ッ!何でだ?」


「父が持つ左目は魔眼と言います。強い者に引き継がれるべきだと思います。おそらく父もそれを望んでいます。お願いします」


「‥‥‥なぁサクヤ」


「なんでしょうか?」


「後悔しないか?」


「はい、絶対に」


「分かった」


それだけ聞くとトウヤへ近づく。小さく「すまない、ありがとう」と呟くと遺体に触れ、移動を発動する。


魔眼が左目に移動された瞬間、まるで長年そこにあったように不自然なまでに自然に収まった。


魔眼になった左目には物の輪郭が二重に映る。トウヤが言っていた動きの予見だ。


「どうですか?」


視界にサクヤが映るとその動きが何重にも重なって見える。カイトは反射的に左目を覆った。トウヤが眼帯をしていた理由に納得しつつ、どうすればいいか考える。


「大丈夫ですか?」


「あぁ大丈夫だ」



カイトは部屋に戻り、ボフンとベッドに座る。閉じていた左目を開けた。やはり、静物は二重に見える。目の前で手を振ろうとすると少し早めに手が視界に入る。視界に入る物の動きを予見する度に自動的に魔力が減る。一回の予見で100~1000を使う。1000まで使うと動きの軌跡が見える。


カイトは魔眼に使われる魔力の供給を止める。すると今まで二重に見える輪郭が普通に見えた。


「意外にできるもんだな」


簡単に言うが、そんなに単純なものではない。魔力の制御は難しく、意図的に移動させることが出来るならば一流。それを無意識に出来るならば超一流だ。


だが、カイトにはスキル:移動がある。魔力の移動は余裕なのだ。


「カイトさん、ご飯が出来ましたよ」


「今行く」


扉越しのサクヤの声に返事をするとベッドから立ち上がり、リビングに向かう。


出されたのは、パンにスープ、ステーキ、サラダ。サクヤの対面に腰掛けると合掌をする。パンと小気味良い音かが室内に響く。


「「いただきます」」


カイトはパンを食べながらサクヤを見る。サクヤの食事の動作は優雅で気品がある。たわいもない雑談をしながら二人は食事を終えた。


「「ごちそうさま」」


食後、サクヤが用意してくれた紅茶で喉を潤す。上等な茶葉なのかサクヤの腕が良いのかその紅茶はとても美味しく感じた。


「そういえばサクヤ、この島には結界か何か張ってあるか?」


一度、移動で人族領に移動しようとしたときに阻まれたことを思い出してカイトが尋ねる。


「はい。魔物を外に出さないように父が作りました。向こう百年は大丈夫です」


「じゃあこの島から出る方法はないのか?」


少し落胆した様子で尋ねたカイト。だが、次の一言に思わず大声を出してしまった。


「ありますよ。そちらの扉に魔法陣があります。魔力の消費がすごいですけど」


「本当か!ならそろそろこの島から出て行くか。地球にも速く帰りたいしな」


「そう‥‥ですか。寂しくなりますね」


先程のカイトと同じ、いや、それより深く落胆した表情をするが、すぐに笑顔に戻す。その笑顔は無理しているのが一目瞭然だ。


「サクヤも来るか?」


「行ってもいいんですか!」


カイトの言葉でサクヤの瞳に期待が色濃く映っていた。この反応を見る限りもう返事は決まったようなものだ。


「あぁ。一人旅は味気ないしな。大歓迎だ」


「私も行きたいです!行かせてください!」


テーブルから身を乗り出して答える。あまりの食い付きにカイトは軽く苦笑いする。サクヤも恥ずかしくなったのか自分の席に座る。心なしか小さくなった気がする。


サクヤが旅についてくると言ってから三日?が経った。その間、主にサクヤの荷造りやトウヤの部屋の荷物の片付け、部屋の大掃除などをしていた。


そして、今日ここを旅立つ。カイトは今トウヤの遺体の前にいた。サクヤには魔法陣の前で待って貰っている。


カイトがここに来たのはトウヤへ誓いを立てに来ていた。


カイトは遺体の前に立つと静かに誓約をする。


「龍人族が生き残り、トウヤ・アルミタイト。あなたの娘、サクヤ・アルミタイトを旅に連れて行くことに対する謝罪を。そして、あなたの娘を守り抜くと、この左目に誓います」 


そう言って、手に持っていた一輪の花を手向け、部屋から出て行く。



「話は終わりましたか?」


魔法陣のある部屋に着くと、そこには柔らかい笑みを浮かべたサクヤが立っていた。


「あぁ」


「そうですか。では行きましょうか」


魔法陣が眩い光を放つ。視界を塗りつぶすその眩しさにカイトは思わず目を瞑ってしまう。光が止むのを感じた。冷ややかな空気が肌を刺激する。


そこはカイトがいた洞穴のように岩を削り出したような部屋だった。そこから先が見えない程真っ暗な通路が伸びている。サクヤの案内のもとその通路を進んでいく。


「サクヤ?行き止まりだけど?」


「大丈夫です。これは幻覚魔法です」


サクヤが目の前の壁に手を当てるとズブリと飲み込まれた。サクヤはそのまま岩の奥へ姿を消す。


カイトは改めてその壁をまじまじ見つめる。その存在感は本物にしか見えない。いつまでも待たせてはサクヤに悪いと思い、通ろうと手を触れる。手は壁にぶつかる。


「ハッ?」


無意識に間抜けな声が出る。壁をすり抜けることなく触れた。間違いなく実体を持っている。実体を持つ幻覚。高速思考で考える。


「あ~、そういうことか」


カイトは恐怖心など一切なく壁に突っ込んだ。


「カイトさん、遅かったですね。どうしたんですか?」


壁を抜けた先にはサクヤがいた。


「何でもないよ。それよりこの魔法凄いな」


カイトが後ろにある巨岩をコツコツと拳で叩く。


さっきの幻覚は幻覚と分かっていれば幻覚となり、実体を持っていると思えば実体を持つ。その見事な魔法にカイトは舌を巻いた。


ザワザワと草が揺らぎ、肌を撫でる風が吹く。久々に感じる太陽がジリジリと肌を灼く感覚に懐かしいと思って辺りを見渡す。


カイトが出てきたのはだだっ広い丘の上だった。丘の頂点には縦十メートル、横三十メートルの巨岩が置かれている。


「サクヤ、ここはどこだ?」


「商業都市カゲツキから少し離れた場所にある丘です」


「そっか。ようやく戻ってきたか。あの島から出れたのか。長かったようで短かったなぁ」


「ふふふ、そうですか」


「‥‥‥なぁサクヤ。ちょっと行きたい場所があるんだが、いいか?」


「いいですけど。どこですか?」


「王城だ」





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