プロローグ2
授業の終わりを告げる鐘の音が響いた。
カイトはその音を目覚まし時計代わりに突っ伏していた机から体を起こした。今は七時間目。次はホームルームだ。先生が来るまであと五分はある。
あちこちから「やっと終わった~」「速く帰りたい」という声が聞こえた。
カイトも机の中からノートや筆記用具を抜き出し、横に掛けてある鞄に仕舞おうとした。
「あっ、ごめ~ん。足が滑っちゃった」
鞄に勉強道具を仕舞う直前、横から速い何かと男の声が聞こえた。
「痛っ」
どうやら手ごと蹴られたようで勉強道具が飛び散った。周囲からはクスクスあざ笑う声が聞こえども自分を気遣う声は聞こえない。
カイトは何も言わずにノートに手を伸ばそうとしたがぐしゃりと踏みつぶされた。
「その足を避けてくれないかな?杉本くん」
名前を呼ばれた男子は嫌そうな顔をしながら、しゃがんでカイトと視線を合わした。
「てめぇに名前を呼ばれると吐き気がすんだよ」
その言葉とともに飛んできたのは鉄拳だった。カイトは歯を食いしばり、衝撃に備えた。が、いつまで経っても衝撃が来なかった。
カイトが薄らと目を開けると困惑した皆の姿が映った。そして、発光していり床も。
「なんだこれ?」
その言葉とともにこの日、クラス四十人が学校から消えた。