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メイク マイ デイッ!  作者: 平野ハルアキ
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番外編 まんがレヴェリア昔ばなし ももたろう そのいち

※番外編です

 本編とは一部設定、雰囲気等異なる場合がございます

 昔々あるところに、レイナールおじいさんとイリーナおばあさんが住んでいました。


「誰がおばあさんよ誰がぁ!!」

「誰に向かって言っているのですか……」

 イリーナおばあさんは猛り狂っておりましたが。


「ほら、イリーナ様。そろそろお洗濯の時間ではありませんか?」

 そう言ってイリーナおばあさんをなだめるのは、メイドのミーアです。昔々の一般家庭に何故メイドが居るのか、と言う疑問は無視です。


「おや、もうこんな時間ですか。では、私も仕事に出掛けますか」

「へーへー。行って来ますわよ、……ったく」

「ではわたくしは留守番をしておきます。お二人共お気をつけて」

 ミーアに見送られて、レイナールおじいさんは山へ芝刈りに、イリーナおばあさんは川へ洗濯へ行きました。


「あー、なんか魔法の力でお洗濯もラクラク! ……みたいなのないかしら―。いっその事私が研究して……ん?」


 おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れて来ました。


 普通であれば、そんな桃は怪しすぎるため、迂闊に持って帰ろうとはしません。しかし、


「おお!? デカい桃ねー! 魔力の影響受けてるっぽいし、持って帰って研究材料にしましょー!」

 そんな事をいちいち気にするようなイリーナおばあさんではありませんでした。 見た目通りに結構な重量物ではありましたが、そんなのは知った事ではありません。イリーナおばあさんは、小躍りしながら自宅へと持って帰って行きました。


「お帰りなさいませ、イリーナ様。……おや? そちらの桃は……?」

「ただいまー。ああ、この桃? 良いでしょー、川で拾って来たの。研究材料にしようと思って」

 掃除をしながら出迎えたミーアに、イリーナおばあさんは上機嫌で桃を見せびらかしました。それを見たミーアは、呆れ顔でたしなめます。


「子供ですかあなたは……。外で拾ったものをそんなホイホイ持って帰ってはいけませんと何度も言ったはずですわ」

 それでも本気で注意しないのは、割といつもの事だからです。そうこうしている内に、レイナールおじさんも帰って来ました。


「戻りましたよ。……一応聞きますが、何ですか、その桃は?」

「拾った」

「……本当にしょうがない人ですね、あなたは……」

 実にスムーズに現状把握を済ませたレイナールおじいさんは、ため息一つで事態を受け入れました。環境は人を育てるものです。


「じゃあ、早速この桃切り刻んじゃいましょー。包丁、包丁っと」

 そう言って、台所から包丁を取りに向かいます。細かく切り分けて、実験に使わない分は保存しておくためです。包丁片手に戻って来たイリーナおばあさんは、桃の前に仁王立ちをします。


「まずは景気良く、ド真ん中から一刀両断しちゃいましょうか。行くわよ―!!」

 叫び、包丁を大上段に振りかぶります。危ないので真似をしてはいけないのですが、テンションの上がったイリーナおばあさんを止める術はありません。二人も止める気がありません。


 イリーナおばあさんが包丁を振り下ろしたその時――


「わーーーー!? 切らないでよーーーー!!」

 突然、桃が独りでに『パカッ』と割れ、中から可愛らしい幼女が姿を現したではありませんか。


「…………へ?」

 異変に気が付いたイリーナおばあさんですが、勢いの付いた腕は止まりません。そのまま吸い込まれるように、包丁が女の子へと振り下ろされ――


「……っ! ええーい!!」

 女の子が咄嗟に手をかざすと、瞬間的に火球が膨れ上がりイリーナおばあさんへと放たれました。


「うっぎゃあぁぁーーーーーー!?」

 まともに火球を食らい爆炎に煽られたおばあさんは、悲鳴を上げながら吹っ飛ばされ、壁に叩き付けられてしまいました。


「ふー、危なかったぁ……。……あ、大丈夫、みね打ちだよ」

 安堵の声を漏らす女の子は、目を丸くして驚くおじいさんとメイドへ、にっこりと笑ってそう補足しました。


 イリーナおばあさんは薄れ行く意識の中で、火球や爆炎の一体何処にみねがあるのかしら、と思いました。






「どうも初めまして、リコです!」

 桃から出て来た女の子は、元気な声でそう名乗りました。


「よしっ、じゃああなたの名前は、桃から生まれたから『ももたろう』ね!」

 ガン無視して、イリーナおばあさんはそう言い放ちました。


「この人の話は置いておくとして……初めましてリコさん、私はレイナールと言います。こちらはミーアさんです」

 幼女相手にも丁寧な態度を崩さずレイナールおじいさんは挨拶を返し、続いてミーアも「初めましてお嬢様。ミーアです」と返します。


「それで、ももたろう? さっきの火球は何よ? 人間が単独で発揮出来る魔力なんて、たかが知れてるはずよ?」

「私、リコなんだけど……」

 ジト目でささやかな抗議をしつつ、リコは説明をします。


「……うーん、私ものすごい量の魔力を持ってるみたいで、あれぐらいの事は普通に出来ちゃうの」

「稀にそう言う強大な魔力を持った人間が居ると聞いた事があります。リコさんもその類でしょう」

 リコの話にレイナールおじいさんは頷きます。


「なるほど、そう言う事ね。……それで、リコたろう? これからどうするの?」 彼女の名前に関して、何やら良く分からない折衷案を織り交ぜながら、イリーナおばあさんは尋ねます。反論するのも面倒なので「もうリコたろうで良いよ……」と言いつつ、返答しました。


「どうするも何も、私が聞きたいよ……。行くあてないもん……」

「それでしたら、わたくし達の家に住んではいかがですか?」

 うなだれるリコたろうへミーアがそう提案します。家主を差し置いて一介のメイドが決める事ではない気もしますが、


「そうですね。リコたろうさんがそれで良いのであれば、私は異存ありません」

「良いんじゃない? 住んじゃえ住んじゃえ」

 レイナールおじいさんとイリーナおばあさんはこころよく迎え入れてくれました。


「やったあ! ありがとう皆! これからよろしくね!」

 リコたろうは大喜びでお礼を言いました。


 こうしてリコたろうは、おじいさんとおばあさんとメイドの家で暮らす事になりました。


 そうして、数ヶ月の時が流れました。



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