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黒い竜と白い竜  作者: タカチ
第1章 
7/24

おはよう

溺れるのを覚悟して息を止め眼を瞑っているとクスクス笑われていることに気付き、クロの手を握り締め恐る恐る眼をあけると目の前には草原が広がっていた。

緑の絨毯が広がり、野兎が駆け、小鳥が舞っているさまは、まるで絵本の世界のようでここが湖の中だとは思えない。だが遥か上空には水面が映り、静かに波を立てているのがみえる。


その中でも一際目を引くのが薄ら灰色と緑を基調とした小山だ。岩山のようで、表面はごつごつとしている。高い木は生えていなく、苔や低木、野草などが生えている用だ。


なんとなく予想は付いているが質問をしようと思う。



「もしかして、あれがおじい様?」

「はい、今日は一段と苔むしているようですね」



そうかー、いつもより苔むしているのか。ところで呼吸している様子すらないのだが、生きているのだろうか。ちょっと心配になる。



「さて、起きていただきましょう」



クロは繋いでいた手を離し、水面に向かって手を伸ばし何やら掴んで引きずり下ろす動作をした。

それからの光景は衝撃的だった。


それは、風呂の水が抜けている様子を下から見ているようで、上から落ちてくる水の柱が岩山に落下し水圧と水流で苔や低木をはぎ取りみるみる白亜色に変って行った。

そして、水は高いところから低いところへ流れるので濁流になって俺たちに押し寄せる。



「ちょっと、待ってー!!水来ているから!!」

「大丈夫大丈夫、この水は常に上にあるように設定されているから。私の力が関与しなくなれば上に戻るわ」



濁流が来るのに平然としているあたりが人間とかけ離れているが、せめて俺にも教えて欲しかった。教えていてくれればこんなに取り乱したりしなかっただろうし、こんなことが続いたらびっくりしすぎて髪がすべて白髪になってしまう。



「派手な行動をとる時は前もって言っておいてくれない?俺寿命が縮みそうなんだけれど。さっきもいきなり池に入るとか止めて欲しいし」

「あれ、もしかして雄輝は意外とビビりなんだね。これは驚かし甲斐があるってものじゃないの!」




もしかして、いたずらっ子キャラですか?いい年こいた龍が?身体は大人、頭脳は子供とか止めてください。


そうこうしているうちに、水が一か所にまとまりだした。大きい水滴の様な形になったそれは、僅かに薄くなった水面に吸い寄せられるかの様に上空に戻っていき、タプンという音と共に一つになって行った。


次に地響きの音が聞こえてきた。ズズズ、ズズズ、ズズン。目の前にいた大きな龍がこっちを向くために移動を開始したのだ。

おじい様とやらは、4足歩行型の竜でどっしりとした足つきでこちらに向かって来ようとする。

少し怖い。



龍にも様々な大きさや色形がある。一般的に西洋型のドラゴンや、東洋型の龍、そしてトカゲの様な4足歩行型の龍などである。

四足歩行型でも飛行することは可能だがドラゴンや龍のように速度は出せない。しかし、土の中を高速移動できるというメリットがある。そして、だからと言うべきか土属性の龍に4足歩行型が多い。


ちなみにクロは東洋型の黒い龍だ。サイズは変更可能らしいが、通常サイズは長さが約1キロの太さ直径で10メートル~20メートルらしい。本人もしっかり計った事はないと言っていた。

俺が背に乗せてもらった時は5~8メートルほどの長さだったようだ。


おじい様の移動は3分ほどかかり完了した。


「おはようございます」

「おはよう」


おじい様の声は素晴らしく低く、地響きがまだ続いているのかと思うほどだった。


「私は常々言っていると思うが、水をかけて起こすのはやめたまえ。年寄りにあった丁寧な起こし方があると言っておろう?」

「しかし、直ぐに起きて頂きたかったもので」


クロはしらーっと言っているが、こいつ次もあの起こし方をするつもりだな。暇なときでも絶対にあれをやるぞ。そして、おじい様の前だと幾分かしゃきっとする様で、いつものふざけた雰囲気は伝わってこなかった。


「お伝えしたい事があります」

「ふむ、なんだい?」


ちなみに俺やクロのしゃべりの速度を1とするとおじい様は5位になると思う。これは増えるほど遅くなる。様はおじい様しゃべるのめっちゃ遅い!


そしてクロは目をつぶり無言になった。これは思念での会話をしている様子だ。龍や麒麟が会話するときに使う方法で、これならおじい様の会話速度が上がるだろう。

俺には聞こえないけど。


(いつもどおりでこれなのか、俺に聞かれたくないからこれなのかはさっぱり分からないが)


長くなりそうなので草原に座り野兎と遊ぶ事にした。人懐っこい様でなでられていると目を細め喜んでいるようだった。


30分ほどそうしていると会話が終わったようで、クロとおじい様は別れのあいさつをしている。

おじい様は俺にも別れの挨拶をして再び蹲る様にして眠った。


後から聞いた話だがおじい様とクロの血は繋がっていない。他の龍と違いクロたちは世界が前任者の寿命を感知すると、前任者の前に卵が現れると聞いた。そして、前任者は次の代の教育が終わると世界に同化し生涯を閉じるらしい。


何だか龍の世界って複雑。


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