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黒い竜と白い竜  作者: タカチ
第1章 
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2月14日 日曜 (俺の誕生日)

2月14日 日曜 (俺の誕生日!)


くぁー、と欠伸が聞こえてきた。昨日から俺の部屋に居候している龍の声だろう。

からかってやろうと思いベッドから寝ている姿をのぞきこんだ。



枕に黒くて長い髪が広がり、シャツが大きいのか首筋から肩までが露わな姿になっていた。

朝なんだから男の子に不用意な刺激を与えないで!


寝ている顔だけ見ていると、肌が透けるように白く人形のように整った顔をしている。そういえば、他の龍をマジマジと見たことはないが、髪や瞳の色が属性の色に対応していると聞いたことがある。


黒目黒髪、改めて、黒龍なんだなとしみじみ考え、言われなければ龍だとは気付かないだろうなと思った。

暫く眺めていたら突然クロの目が開かれた。

眺めていたわけだから必然的に目があってしまう。

気まずい沈黙が流れ、クロににらまれ続けることになった。



「ねえ、なんかいやらしい目で見ていなかった?」

う……!

「見てねーよ!」



正直に見とれていましたなんて言えねー!!


「まあ、見られて恥ずかしがる年齢はとうに超えているから気にしてないわ。遠慮せず触っても良いのに」


ニタニタ笑いながらクロは俺を言葉攻めしてくる。



こういう趣味の友達がいるから紹介してやろうかなと思いつつ、どぎまぎした気持ちを落ち着かせることにした。




朝ご飯を食べ終わった頃に今日の予定を聞かれた。


「ああー、遊ぶ約束はしていない。夜に帰れればそれで良い」

誕生日会を開く歳でもないしな。決して友達がいないとかではない。断じて違うぞ!



「そう、じゃあ今日はさっさとおじい様のところへ向かい、私の買い物をしてから、雄輝に加護の引き出し方を教えましょう」

クロはうんうんと一人で頷いている。


俺の事は後回しですね。わかります。

(早く加護の力使ってみたいな……)


「雄輝の訓練はいつまでかかるか分からないから、後回しよ?だいたいお母さんに進学の事とか全部任せてあるのだから時間なんていくらでもあるでしょう?」


うわー、言われたくない所言われちゃった。耳が痛いね。

そう、自分の守護者によって学校が変わるのだ。雄輝の場合2月に入ってから、契約を結んだために、今まで入る予定の一般高校から、龍の加護を持つ子供が通う高校へと進路が変わってしまった。

(龍属性専門第一高等学校か、クラスメイトも数人行くはずだから不安はそんなに感じないけど……)



主な教育は一般教育、龍の加護の使い方等である。そして、龍の加護は戦闘向きの力が多く、戦闘訓練や、国防についてなども教えられ、この学校をでた生徒は戦争時に駆り出される制約がある。それが嫌で一般高校に通う人もいる。


しかし、この学校に通えるというのはエリートの証であり、学費も格安、これからの人生に明るい光が差し込む事間違いなしである。そのほかにもいろいろ特典盛りだくさん!



「じゃあ早くおじい様とやらに会いに行こうぜ」

「そうねー。寒いと思うから、なるべく厚着してきて。私は外で待っているから」


クロはそそくさと外に出てしまった。

あいつは炬燵に未練を感じないようだ。なんとうらやましい能力!



ニット帽をかぶりマフラー、手袋つけコートを羽織り準備万端、どんな寒波でもきやがれ的な装備で外へ出たら目の前が真っ暗になった。



「へ?」


黒くて

   細長い

      角が生えた

           龍が俺を見下ろしていた。


リニアで行くんじゃないのか……、つうかクロはリニアってしっているのかな?

つか行き先どこ?

呆然と立ち尽くし、クロの艶やかな鱗を眺めていたら上から声が降ってきた。


「早く乗りなさい」

「飛んで行くの?」

「もちろん」

「遠いの?」

「飛んで1時間くらいかしら」

「リニアで行かない?」

「なにそれ?」

「ワァオ」


結局飛んでいく事になりました。

(お母さん、死なないように祈っていてください)


「雄輝、私は載せた人を落としたことがないのが自慢なのよ?」

「俺が落下第一号にならなきゃ良いけど。あと心を覗かないでください。死んでしまいます」


初めての空はそんなに苦痛ではなく、むしろ癖になる類のものだった。地上を見下ろし風が当たる感覚を楽しんでいるとあっという間に目的地に着くことが出来た。

もの足りない分は帰りに楽しもうと思う。




2/8誤字修正

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