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黒い竜と白い竜  作者: タカチ
第1章 
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2月13日 夜

2月13日夜

両親に黒雛の事を話したら大層喜んでいた。そして、両親は黒雛を14年間待っていた事を伝え、今の世界情勢、曾祖父のことなどの話をしていた。


俺が加護を受けなくても妙に騒がない両親を怪しんだのは一度や二度ではない。俺は要らない子供なのか、何も期待されていないのか等を考え枕を濡らした日もあった。


(知っていたなら教えてくれれば良かったのに、そしたらこんなに悩む事もなかった。)



弟もまさか誕生日一日前に兄が龍を連れてくるとは思わなかったようで、なんだか微妙な反応をとっていた。


(あいつは大精霊の加護を受けて天狗になっていた面があるから、ちょうどいいお灸になったと思う。俺も兄の威厳を取り戻せて凄く嬉しい!)


実はクロに大精霊がなついてしまい、戸惑いと若干の嫉妬を感じていたのであって、雄輝が考えているようなことは一切なかった。



自分の部屋に戻り、俺はベッドに座り黒雛は向かいの学習机の椅子に座った。自然と向き合う形になり、俺は気まずさを紛らわすために話しかけることにした。


「なあ、黒雛さんはなんで白龍に襲われたの?」

「その名前は好きじゃないから、クロって呼んで?」


(今更名前の訂正かよ!)


「あはは、ごめんごめん」

ごまかしたように笑ってるけどこいつ俺の心が読めているのか!?

確か、昼もこんなことがあった気がするし。


「もしかして、心が読めたりするチートパワーがあったりしますか?」

一応聞いておこう。心の安寧のために。なんか涙でそう。


「うふふ、チートパワーの意味はわからないけれど、心は読めない。でも君たち一族とは付き合いが長いからね。顔を見ただけである程度はわかるようになったのさ」



おどけてるというかヘラヘラしているというか。なんかすごい龍って感じがどんどん薄れている。



「なんで白に眠らせられたかわからないのよ。でも、彼はこの世界が気に入らないようだったから、手っ取り早く破壊活動していると思ったのだけれど、無事のようだし」


さらりと危険な事を言いましたよね?ごくりと唾を飲み込む。


「暴れられたら、被害規模はどれくらいに……?」

クロは胸の前で腕を組み考える素振りをみせた。胸が強調されてグットです!


「止めが入らなければ1カ月もあれば何とかなるはず。破壊状況にもよるけど。今、白が眠っている夕闇どきと思って、太古の龍達はぼけーとしていると思うから、きっとそれも狙っているのでしょうね」


太古の龍?初めて聞いた単語に思考が引き寄せられた。

古い龍?一般的な龍は500~800年の寿命を持つとされる。



「太古の龍って何?」


クロが驚愕の目でこっちを見た。


「え……、まさか人間はこんなことまで忘れているの!?」



そんな言葉聞いたことないし、長生きの龍になる予定の龍は目の前にいるし……。

(馬鹿にしたような目で見ないでください。心が折れてしまいます。)


「俺が知らないだけでほかの人なら知っているかも……?」

クロに睨まれ続け最後のほうの言葉は消えてしまった。


「また、仕事が増えたわね。まあいいわ。これは明日説明します。今日はいろいろあって疲れていると思うから寝なさい」


それには賛成なのだが、なぜ俺の部屋に布団を敷く?

「あれ?今の私隠業出来ないって言ってなかったかしら?」

全然聞いていないので首を振った。ちょっと頭がフラフラする。


「隠業すると白にばれちゃうのよ。だから、しばらくは実体化したまま過ごすことになります。だから明日は買い物に連れて行ってね」


ハートが飛び出すようなウインクをされても嬉しくない!

うら若き男子が元はなんであれ、綺麗なお姉さんと寝るのは精神衛生上宜しくない!



襲ってもいいけど、後悔すると思うから気をつけてね。という嬉しいような悲しい言葉を残してクロはさっさと寝てしまった。


(クロも疲れていたのか、そりゃあ、家の前で倒れていたしなー)

ごちゃごちゃと考え事をしていたが、瞼が重く感じたと同時に寝てしまった。





寝たのかな?

今日は疲れた。熟睡していたところ叩き起こされるし、弱っているところに加護を与えたし。

しかし、この子はあの方によく似ている。顔も声も、性格はまあ違うけど……。

もしかしたら白はこのことに気づいて契約を妨害しようとしたのか?


しかし、ここまで忘れられているとは、私たちの存在意義もあったものではないわね。世界は人間のためだけにあるわけではないから構わないのだけれど。とにかく一回おじい様に合わないといけないわ。飛べばあっというまに行けるから、雄輝も連れていきましょう。


白は何をしようとしているのかな……。



クロは対の存在のシロに思いを馳せながら眠りについた。




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