日常
2月14日、明後日は俺の誕生日俺にとって人生を左右する大きな意味を持つ日だ。
普通の14歳はこんなに悩んでいないと思う。
皆生まれて直ぐか、15歳になるまでには加護を貰う。
貰わない人間もいるが少数だ。この少数には決して入りたくない。
加護を貰っていないからと言って、差別されることはない。公には……。
「ああー、俺の人生もここまでか……、短い人生だったなー」
学校の帰り道に独り言を言う。加護がないからと言ってあからさまな苛めを受けたことはない。これから加護を貰いクラスの子の守護龍や精霊を超える何かを連れてくるかもしれないからだ。だからクラスの皆は仲好くしてくれている。
しかし、明後日からは違う、確実に加護を貰えない。そんな弱い人間を中学生が放置しておくわけがない。
「くそー、彼女も出来ないまま終わるのかよ」
「そんな卑屈な奴に彼女は出来ませーん」
「どっから出やがった!」
こいつは幼馴染の清水ハルカだ、馬鹿力で成績優秀、見た目も愛らしく俺以外には優しい。まったくもって迷惑な性格をしている。
「はー、お前にはわからないよ。生まれて直ぐに麒麟に愛される人間なんだからさー」
「そーゆー所でひがむのは悪い癖だよ?それに明後日までに守護が貰えるかもしれないし。」
「楽天的でいいよな。最近夢見も悪いし良いことねーな」
「もらえなくても、あんたには私が付いているんだから問題ないでしょ!!」
バシーンと背中を思いっきり叩かれる。
なんだこのツンデレは、馬鹿力がなければ萌の1つくらいさし上げるんだが。
「で、どんな夢見てんの?」
顔が赤いから照れ隠しがばればれなんだが……。
ここで指摘しても第二撃を食らうので指摘はしないでおく。
「ああー、女の人が寝てる夢、で俺に似てるけど俺じゃない男の人が俺を連れて女の人の方へ行こうとするけど、そこで起きちゃうみたいな?」
「いやいや、全然意味わからないから。ちゃんと聞こうとした私がバカだったわ」
そこまで馬鹿にすることないんじゃないかと思いながら話を続ける。
「女の人を起こさないといけないんだが、どうしても前に進めないんだよね」
「その人に見覚えは?」
「ない……、かな?」
「かなってなによ?」
「寝ているからよくわからない。でも髪の長い人だよ」
その後はハルカが最近見た夢の事を話してくれたり、明後日の予定をそれとなく聞かれたりした。
ハルカを家まで見送る。(俺の帰り道にあるため寄り道ではない)
一人になって夢について改めて考えてみる。
まず男の人は誰なんだろう?
俺の未来の姿?なんか違う気がする……、女の人はあの人の知り合い?必死に起こそうとしてるしなー。
うだうだ考えていると家についてしまった。
「ただいま」
「兄ちゃん、俺今から遊びに行ってくるから。お母さんに言っておいて」
「おう、飯までには帰ってこいよ」
手をふり行ってしまった。
弟の幸樹は兄が見ても見た目が良い、そして、大精霊の加護を受けている。
精霊は加護を与える者にちょっとした幸運等を与え、大精霊はそれを他人にまで分ける事が出来る。そして、それぞれの特性に合わせた能力を使う事も出来る。
「俺も精霊で良いから加護が欲しい……」